525 / 538
517 カガシと薬師と錬金術師は混ぜるな危険 3
しおりを挟む
カガシとわいわい騒いでいたら、気になって覗いていた他の薬師達が我も我もと結界を抜けてやって来た。
防音の魔法は使っていないので声が漏れていたんだろう。
「ノア殿、カガシさん、何をしておいでで?」
「珍しくカガシが叫んでいたからどうしたのかと気になって」
薬師達が興奮した様子で聞いてきた。おそるおそるとかじゃなくて確実に面白いことだろうって確信しているような口調だ。
「ああ・・・・・・認識阻害魔法で発言内容はぼやけるけど音は抜けてるか。防音したほうがいいのかな、これ」
「したほうがいいですよ。たぶんこれだけの薬師が集まったら大騒ぎです。───色々な意味で」
「うん、そうだね。予防は大事」
頭が痛いとばかりに手で額を押さえたカガシがそう言ったので、それもそうかと納得して防音魔法も重ねて張った。
俺も集中すると色々やらかすし、昨日の獣人国の王宮専属薬師長みたいにここの薬師達も絶対に俺と同類だろう。
そういうわけで更に万全を期した結界の中にぎゅうぎゅう詰めの薬師達。何人いるんだ?
「ちょっと狭いね。結界の範囲を広げるから」
数えたら一五人+俺とカガシで総勢一七人だった。密過ぎる。俺は結界の範囲を倍に広げた。
「ヨシ、これでやりたい放題!」
「やっちゃ駄目でしょ」
「・・・・・・えへ?」
わくわくして思わずそう言えばすかさずカガシのツッコみが入って笑って誤魔化す。意外と真面目だなぁ。
「気を付けないとまたお仕置きされますよ」
そう呆れた顔でカガシに言われてハッとした。
そうだった。俺はお仕置きされる側だった。うん、気を付けよう。
そんなわけでさっきのやり取りを他の薬師達に話す。それとこれを色々と検証したいことも。
最初の品質HGSではなく、カガシの指摘でさっき錬成した方の検証ね。こっちは品質がSだったから使えるよね?
「ちなみに好奇心もあるけど、ゆくゆくは閨事に困ってる人とか、子供欲しいけど夜の営みが今イチな人とかに使ってほしいなって」
だから分量とか時続時間とか感度の変化とか色々とたくさんの人で検証したい。
「マンネリ解消とか」
「あとはお仕事で春を売る人達とかが苦痛じゃなくなればいいですね。もちろん好きでなさってる方もおりますが」
「いわゆる娼館ですな」
「なるほど。行ったことないから全然気付かなかった。参考になるね」
そっか、娼館か。確かに事情があって仕方なく働く人もいるし、喜んで仕事している人だって体調とかで苦痛のときがあるかもしれない。
こういう意見が聞けるのも大勢の薬師達と出会えたからだもんね。
「ウラノス義父様に感謝だな。カガシ達を連れてきてくれてありがとうって今度行っておこう」
「・・・・・・何の話をしてるんだ、ノアは?」
「あ、アーク!」
いつの間にかそばに来ていたアークに驚く。全く気付かなかった。
「だから言ったろう? ノックをしても気付かないって」
「えへ」
その通りだったので素直に認めて笑っておいた。アークは苦笑したけど怒ってはいないみたいでよかった。
「───で? どうしたんだ? やたら盛り上がって」
「ああ、うん。例のヤツの劣化版をね、カガシのおかげで錬成できたから検証したいって話をしてるんだ」
「・・・・・・劣化版って言っても品質Sだろう? 大丈夫なのか?」
「うん、思い付きで入れてたミドガルズオルムの肝を抜いて錬成し直したから大丈夫!」
俺がそう言ったら、カガシ以外の全員が唖然としたあと叫んだ。
「思い付きでミドガルズオルムの肝なんか使ったのかよ!」
と、アーク。
「薬師バカだ、真性のバカがいる、いい意味で!」
「さすがはノア殿!」
「試したくなる気持ちは分かる!」
「色々混ぜてどうなるかって検証したいよな!」
などなど賛同してるのは薬師達。
「・・・・・・そりゃあ、俺も色々実験はしたいけども、さすがにアレはないな、と思いますよ」
どうみてもヤバい予感しかしないでしょ、とカガシは真顔でそう言った。
ええ? でも生きてたらラグ爺さんも鼻息荒く、率先して実験・検証してると思うけどなー。
ヘンなテンションで盛り上がっている結界の中で、アークとカガシだけが頭を抱えて溜め息を吐いていた。
※カガシは実はストッパー役でした。他の薬師達が暴走気味。
お待たせしてたのと書き上がったのでいつもの時間より早めに更新します。
猛暑や地震や台風諸々、皆様、お気をつけ下さい。
※起こって→怒って
誤字ってたのを訂正しました。
防音の魔法は使っていないので声が漏れていたんだろう。
「ノア殿、カガシさん、何をしておいでで?」
「珍しくカガシが叫んでいたからどうしたのかと気になって」
薬師達が興奮した様子で聞いてきた。おそるおそるとかじゃなくて確実に面白いことだろうって確信しているような口調だ。
「ああ・・・・・・認識阻害魔法で発言内容はぼやけるけど音は抜けてるか。防音したほうがいいのかな、これ」
「したほうがいいですよ。たぶんこれだけの薬師が集まったら大騒ぎです。───色々な意味で」
「うん、そうだね。予防は大事」
頭が痛いとばかりに手で額を押さえたカガシがそう言ったので、それもそうかと納得して防音魔法も重ねて張った。
俺も集中すると色々やらかすし、昨日の獣人国の王宮専属薬師長みたいにここの薬師達も絶対に俺と同類だろう。
そういうわけで更に万全を期した結界の中にぎゅうぎゅう詰めの薬師達。何人いるんだ?
「ちょっと狭いね。結界の範囲を広げるから」
数えたら一五人+俺とカガシで総勢一七人だった。密過ぎる。俺は結界の範囲を倍に広げた。
「ヨシ、これでやりたい放題!」
「やっちゃ駄目でしょ」
「・・・・・・えへ?」
わくわくして思わずそう言えばすかさずカガシのツッコみが入って笑って誤魔化す。意外と真面目だなぁ。
「気を付けないとまたお仕置きされますよ」
そう呆れた顔でカガシに言われてハッとした。
そうだった。俺はお仕置きされる側だった。うん、気を付けよう。
そんなわけでさっきのやり取りを他の薬師達に話す。それとこれを色々と検証したいことも。
最初の品質HGSではなく、カガシの指摘でさっき錬成した方の検証ね。こっちは品質がSだったから使えるよね?
「ちなみに好奇心もあるけど、ゆくゆくは閨事に困ってる人とか、子供欲しいけど夜の営みが今イチな人とかに使ってほしいなって」
だから分量とか時続時間とか感度の変化とか色々とたくさんの人で検証したい。
「マンネリ解消とか」
「あとはお仕事で春を売る人達とかが苦痛じゃなくなればいいですね。もちろん好きでなさってる方もおりますが」
「いわゆる娼館ですな」
「なるほど。行ったことないから全然気付かなかった。参考になるね」
そっか、娼館か。確かに事情があって仕方なく働く人もいるし、喜んで仕事している人だって体調とかで苦痛のときがあるかもしれない。
こういう意見が聞けるのも大勢の薬師達と出会えたからだもんね。
「ウラノス義父様に感謝だな。カガシ達を連れてきてくれてありがとうって今度行っておこう」
「・・・・・・何の話をしてるんだ、ノアは?」
「あ、アーク!」
いつの間にかそばに来ていたアークに驚く。全く気付かなかった。
「だから言ったろう? ノックをしても気付かないって」
「えへ」
その通りだったので素直に認めて笑っておいた。アークは苦笑したけど怒ってはいないみたいでよかった。
「───で? どうしたんだ? やたら盛り上がって」
「ああ、うん。例のヤツの劣化版をね、カガシのおかげで錬成できたから検証したいって話をしてるんだ」
「・・・・・・劣化版って言っても品質Sだろう? 大丈夫なのか?」
「うん、思い付きで入れてたミドガルズオルムの肝を抜いて錬成し直したから大丈夫!」
俺がそう言ったら、カガシ以外の全員が唖然としたあと叫んだ。
「思い付きでミドガルズオルムの肝なんか使ったのかよ!」
と、アーク。
「薬師バカだ、真性のバカがいる、いい意味で!」
「さすがはノア殿!」
「試したくなる気持ちは分かる!」
「色々混ぜてどうなるかって検証したいよな!」
などなど賛同してるのは薬師達。
「・・・・・・そりゃあ、俺も色々実験はしたいけども、さすがにアレはないな、と思いますよ」
どうみてもヤバい予感しかしないでしょ、とカガシは真顔でそう言った。
ええ? でも生きてたらラグ爺さんも鼻息荒く、率先して実験・検証してると思うけどなー。
ヘンなテンションで盛り上がっている結界の中で、アークとカガシだけが頭を抱えて溜め息を吐いていた。
※カガシは実はストッパー役でした。他の薬師達が暴走気味。
お待たせしてたのと書き上がったのでいつもの時間より早めに更新します。
猛暑や地震や台風諸々、皆様、お気をつけ下さい。
※起こって→怒って
誤字ってたのを訂正しました。
970
お気に入りに追加
7,355
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる