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510 やらかしちゃった
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アークがエレフと留守にしている間に、俺はちょっと実験をすることにした。
いやだって、気になるじゃん。あの香水は偶然の産物だったろうけど、俺の見立てではいくつかの素材を合わせると他にも錬成出来るはずなんだ。
どうせ世に出せないモノなんだから俺が色々試験的に錬成しても大丈夫だよね?
危険なモノはもちろん錬成しないけど、今ならお偉い方々が実験の証人になってくれるだろうし。
「───♪」
思わず鼻歌が漏れる中、真っ新な作業机に新たに材料を出していく。それをギョッとして見つめる宰相や側近の人達とワクワクしながら見つめる王族二人。
「・・・・・・ノア殿、つかぬ事をお窺い致しますが、何をしておいでで?」
何かを感じたらしい宰相オウランが、おそるおそる聞いてきたので、俺は簡潔に応える。
「例のヤツを俺の手持ちの錬成品と色々合わせて錬成したらどうなるかなって思って」
「そ、それは危険では?」
「もちろんヤバいモノは作らないように考えて使うよ。いくつかやってみたい組み合わせがあるんだ」
さすがに人道にもとることはしないしそんなモノも錬成する気ないし、万が一出来ちゃったら破棄してレシピは封印するから安心して。
そう言ったら一応は納得したのか大人しくなったけど。・・・・・・うん、リオネル達は相変わらずウキウキしてるね。そんなに好きなの?
「先程のような前例があるので、何が出来るのか怖ろしいのですが・・・・・・」
「何を言う、オウラン。ノア殿の善良な心根が分からぬ訳ではなかろう。大丈夫だ」
「いやあ、錬金術師としては試したいですよね!」
オウランが不安げにそう言うのをリオネルとリンクスがうまく丸め込んでいるようだ。側近達も護衛騎士達もどちらかといえばオウランに賛同しているようだけど、王族には強く言えないようで静観している。
「いやいや、ノア殿。側近達もたぶん興味津々な方だと思うぞ」
「もう、ノア殿が何をしでかすか楽しみです」
うん? そうなのか?
チラッと見るとことごとく目を逸らされた。えええ? どっちの意味か分からない。でもまぁ、どっちでも構わずやるけどな!
ていうか、しでかすって酷くないか、リンクス。
「もう別にいいよ。さっさとやったもん勝ちだもんね」
独りごちて机に出したのは、ハイ、いつぞやに錬成した『ミドガルズオルムの酒』。それと以前、猫獣人の村で作った『またたび酒』。
「・・・・・・それは?」
「こっちは『ミドガルズの迷宮』のボスの蛇肉を漬け込んだ酒で滋養強壮効果がある」
「え、ソレって要塞都市ライズのところの迷宮ですよね!? 凄い・・・・・・」
リンクスが驚きの声をあげて、リオネルはもう一つの方を指差した。
「そっちは? 何やら微かに惹かれる香りがするが・・・・・・」
「コレは『またたび酒』だから猫系の獣人達には効果てきめんかー。リオネルは獅子だしリンクスは猫だもんね」
「なるほど」
納得したのか頷いたあと席に座ってリオネル達も俺のやることを静観するようだ。
コレに魅了効果のあるアレを合わせたら、もっと凄い効果が出ると思わない?
誰もツッコんだり止める人がいないからやりたい放題な俺は、最初にまたたび酒で錬成を始めた。
例のアレとまたたび酒と香り付けにスッキリミントのハーブを加えていざ錬成。
ぱあっと一瞬光って、残された錬成品の小瓶を鑑定すれば───。
「おお、なるほどこうきたかー」
言われてみれば確かにそういう効果が付くな、うん。
そう一人で納得していればリオネル達が待ちきれずに聞いてきた。
「ノア殿! 一体何が出来たのだ!?」
「あー、うん。『惚れ薬』が出来た。【品質:HGS】のヤツ。さすがに実験は出来ないな」
ここから惚れ薬を中和するための解毒薬も作れるけど。万が一悪用されたら困るからあとでソレも作っておこう。
「───は?」
「・・・・・・惚れ薬?」
「・・・・・・しかもさっきのみたいにHGSですか」
俺がそう言ったら、ポカンとして皆で仲良く頭を抱えたり天井を仰いでみたり。
───まぁ、こういった人の心に作用する薬はアウトなので普通に破棄もしくはインベントリに死蔵だな。
「ヨシ、気を取り直して次行ってみよう! お次はメインのミドガルズオルムの酒!」
このままでも十分美味しいし滋養強壮効果も強力なんだけど、どうなるのかな?
ワクワクドキドキしながら追加でミドガルズオルムの肝も入れて錬成してみた。・・・・・・結果。
「『月下美人』【品質:HGS】───危険な快楽。常習性や中毒性は取り除かれた安全な媚薬。量はほんの一滴で効果てきめん」
「・・・・・・更にヤバい媚薬・・・・・・」
「でも危険な快楽と言いつつ安心安全な成分なのが何ともノア殿らしいというか・・・・・・」
リオネル達が呆れたような困ったような顔でめいめいに話している。
───うん、何となく分かってた。アレの元が魅了効果だもんね。こっち方面のヤツが出来るよね?
ただ『惚れ薬』は使えないけど、コッチは実験出来そうだよね?
なんて考えていると、さっきよりも早くエレフがアークと戻ってきた。俺は考え込んでいてアークが近付いて『月下美人』の瓶を掴み、鑑定したことに気付くのが遅れた。
───結果。
「ノア? コレは没収な」
「───ぴえっ!?」
笑顔のアークの笑っていない瞳を見て、俺はぴるぴる震えるしかなかった。
※お待たせいたしました!
コレが書きたかったんです!
ちなみに月下美人の花言葉で危険なモノにあったのが『危険な快楽』ですが、普通は儚い恋とか艶やな美です。
いやだって、気になるじゃん。あの香水は偶然の産物だったろうけど、俺の見立てではいくつかの素材を合わせると他にも錬成出来るはずなんだ。
どうせ世に出せないモノなんだから俺が色々試験的に錬成しても大丈夫だよね?
危険なモノはもちろん錬成しないけど、今ならお偉い方々が実験の証人になってくれるだろうし。
「───♪」
思わず鼻歌が漏れる中、真っ新な作業机に新たに材料を出していく。それをギョッとして見つめる宰相や側近の人達とワクワクしながら見つめる王族二人。
「・・・・・・ノア殿、つかぬ事をお窺い致しますが、何をしておいでで?」
何かを感じたらしい宰相オウランが、おそるおそる聞いてきたので、俺は簡潔に応える。
「例のヤツを俺の手持ちの錬成品と色々合わせて錬成したらどうなるかなって思って」
「そ、それは危険では?」
「もちろんヤバいモノは作らないように考えて使うよ。いくつかやってみたい組み合わせがあるんだ」
さすがに人道にもとることはしないしそんなモノも錬成する気ないし、万が一出来ちゃったら破棄してレシピは封印するから安心して。
そう言ったら一応は納得したのか大人しくなったけど。・・・・・・うん、リオネル達は相変わらずウキウキしてるね。そんなに好きなの?
「先程のような前例があるので、何が出来るのか怖ろしいのですが・・・・・・」
「何を言う、オウラン。ノア殿の善良な心根が分からぬ訳ではなかろう。大丈夫だ」
「いやあ、錬金術師としては試したいですよね!」
オウランが不安げにそう言うのをリオネルとリンクスがうまく丸め込んでいるようだ。側近達も護衛騎士達もどちらかといえばオウランに賛同しているようだけど、王族には強く言えないようで静観している。
「いやいや、ノア殿。側近達もたぶん興味津々な方だと思うぞ」
「もう、ノア殿が何をしでかすか楽しみです」
うん? そうなのか?
チラッと見るとことごとく目を逸らされた。えええ? どっちの意味か分からない。でもまぁ、どっちでも構わずやるけどな!
ていうか、しでかすって酷くないか、リンクス。
「もう別にいいよ。さっさとやったもん勝ちだもんね」
独りごちて机に出したのは、ハイ、いつぞやに錬成した『ミドガルズオルムの酒』。それと以前、猫獣人の村で作った『またたび酒』。
「・・・・・・それは?」
「こっちは『ミドガルズの迷宮』のボスの蛇肉を漬け込んだ酒で滋養強壮効果がある」
「え、ソレって要塞都市ライズのところの迷宮ですよね!? 凄い・・・・・・」
リンクスが驚きの声をあげて、リオネルはもう一つの方を指差した。
「そっちは? 何やら微かに惹かれる香りがするが・・・・・・」
「コレは『またたび酒』だから猫系の獣人達には効果てきめんかー。リオネルは獅子だしリンクスは猫だもんね」
「なるほど」
納得したのか頷いたあと席に座ってリオネル達も俺のやることを静観するようだ。
コレに魅了効果のあるアレを合わせたら、もっと凄い効果が出ると思わない?
誰もツッコんだり止める人がいないからやりたい放題な俺は、最初にまたたび酒で錬成を始めた。
例のアレとまたたび酒と香り付けにスッキリミントのハーブを加えていざ錬成。
ぱあっと一瞬光って、残された錬成品の小瓶を鑑定すれば───。
「おお、なるほどこうきたかー」
言われてみれば確かにそういう効果が付くな、うん。
そう一人で納得していればリオネル達が待ちきれずに聞いてきた。
「ノア殿! 一体何が出来たのだ!?」
「あー、うん。『惚れ薬』が出来た。【品質:HGS】のヤツ。さすがに実験は出来ないな」
ここから惚れ薬を中和するための解毒薬も作れるけど。万が一悪用されたら困るからあとでソレも作っておこう。
「───は?」
「・・・・・・惚れ薬?」
「・・・・・・しかもさっきのみたいにHGSですか」
俺がそう言ったら、ポカンとして皆で仲良く頭を抱えたり天井を仰いでみたり。
───まぁ、こういった人の心に作用する薬はアウトなので普通に破棄もしくはインベントリに死蔵だな。
「ヨシ、気を取り直して次行ってみよう! お次はメインのミドガルズオルムの酒!」
このままでも十分美味しいし滋養強壮効果も強力なんだけど、どうなるのかな?
ワクワクドキドキしながら追加でミドガルズオルムの肝も入れて錬成してみた。・・・・・・結果。
「『月下美人』【品質:HGS】───危険な快楽。常習性や中毒性は取り除かれた安全な媚薬。量はほんの一滴で効果てきめん」
「・・・・・・更にヤバい媚薬・・・・・・」
「でも危険な快楽と言いつつ安心安全な成分なのが何ともノア殿らしいというか・・・・・・」
リオネル達が呆れたような困ったような顔でめいめいに話している。
───うん、何となく分かってた。アレの元が魅了効果だもんね。こっち方面のヤツが出来るよね?
ただ『惚れ薬』は使えないけど、コッチは実験出来そうだよね?
なんて考えていると、さっきよりも早くエレフがアークと戻ってきた。俺は考え込んでいてアークが近付いて『月下美人』の瓶を掴み、鑑定したことに気付くのが遅れた。
───結果。
「ノア? コレは没収な」
「───ぴえっ!?」
笑顔のアークの笑っていない瞳を見て、俺はぴるぴる震えるしかなかった。
※お待たせいたしました!
コレが書きたかったんです!
ちなみに月下美人の花言葉で危険なモノにあったのが『危険な快楽』ですが、普通は儚い恋とか艶やな美です。
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