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508 いざ本番 1
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そういうわけで、ようやく本題に入る。セオドアのことは軽く紹介をした。
「彼はエイダンの街で錬金術に使うような素材を取り扱う素材屋という店の店主でセオドアと言います」
「セ、セオドアです。見ての通り熊獣人です。よろしくお願いします」
大きな身体をちょっと所在なさげに縮こまらせて緊張しているらしい。そこを薬草屋のフェレスが背中をバシバシ叩いて活を入れている。
フェレスお爺さん、元気だな。
「セオドアは二〇年前くらいにこの王都で錬金術師をしていたんだって。ね?」
「あ、ああ。だが王都の錬金術師ギルドは、その、どうにも合わなくて、数年で辞めてしまったんで・・・・・・」
話を聞くと、どうやらここの錬金術師ギルドはずっと昔から腐ってたらしい。それを知らずに田舎から志高く王都に来て早々に現実に打ちひしがれて、それでも数年は頑張ったんだとか。
だけどどうしても馴染めなかったと。いやいや馴染んじゃダメでしょ、あんなトコ。
それでいい感じにお付き合いしてたお相手にギルドを辞めて田舎に帰るということを言ったら捨てられたそうで。
どうもそのお相手さん、セオドアの収入が目当てだったらしい。辞めるなら別れるって一方的に振られたようだ。可哀想過ぎる。
自信なさげなのが気のいい熊さんっぽくて、人となりが分かるようだ。だけど、うーん。ここは少し自信をつけて貰わないと。
「じゃあさ、何か錬成してみようか。それでどれくらい出来るのか確認しよう?」
「え、うーん・・・・・・、何がいいのか・・・・・・」
セオドアが悩んでいるが、ここはやっぱり基礎の錬成によるポーションでしょう!
「セオドア、錬金術師用のポーション錬成してみて。材料は俺が持ってるし、ここにもたぶんたくさんあるよ」
「・・・・・・分かった」
うろうろ彷徨っていた瞳がひた、と俺を見つめた。どうやら覚悟を決めたようだ。
それからの行動は早かった。王宮専属薬師長のファビアから許可を得て、調薬室にあるマジックボックスから迷いなく必要な材料を必要数取り出す。
俺が何かを指示することもなく、サクサクと、しかし正確に準備を整えていき、一度深呼吸をした。
周囲が見守る中、俺と同じように両手を机の上に置くと、錬成用の詠唱を始めた。
「『我、真理の扉を覗く者。理に従い等価交換を希う』」
ごく一般的な錬成用の詠唱だ。コレと記憶している錬成魔法陣が合っていて、なおかつ等価交換に必要な分の材料と魔力があれば完成する。
このときのその条件でどこかが劣れば失敗もしくは品質が下位になる訳だ。
そして詠唱が終わると錬成陣魔法は輝きを増し、数十秒後に魔法陣と光が消えてそこには瓶に入ったポーションが残された。
それを手に取り自ら鑑定魔法で確認をすると、ホッと息を吐き、俺に手渡してくれた。
そこで俺も遠慮なく鑑定する。
「───うん、いい出来だね。【品質:A】だ」
「ほう、辞めてからほとんど錬成はしてなかったと言っていたが、いい腕だ」
俺が鑑定結果を口にするとリオネルが感心したようにそう溢した。うん、久しぶりでコレは凄いよ。
「いや、その・・・・・・ノア殿が店に来てからちょくちょく錬成はやってたんです。俺もまだまだやれるって思って」
セオドアが照れたように笑ってそう言った。なるほど、俺に触発されちゃった感じ?
でもおかげで勘を取り戻したみたいだ。
「何にしても基礎がしっかりしてるから、教え甲斐がありそう・・・・・・ふふふ」
「───ノア、心の声がダダ漏れてんぞ」
「はえっ!?」
「・・・・・・もの凄く悪い顔をしていたよ?」
「えええ!?」
どうやらいい弟子を見つけたとばかりに笑ったのが声とともにガッツリ表情に出ていたらしい。
アークに言われてハッとし、リオネルにはにっこり笑ってツッコまれて居心地が悪くなってしまった俺は、開き直ってセオドアに今回の錬成のあれやこれやを詳しく伝えるのだった。
セオドアも真面目に聞いてくれるから楽しいな!
※あと二、三日はちょっと諸事情で更新遅れるか止まるかもしれません。
疲れて寝落ちして、昨日書き上がらなかった。
「彼はエイダンの街で錬金術に使うような素材を取り扱う素材屋という店の店主でセオドアと言います」
「セ、セオドアです。見ての通り熊獣人です。よろしくお願いします」
大きな身体をちょっと所在なさげに縮こまらせて緊張しているらしい。そこを薬草屋のフェレスが背中をバシバシ叩いて活を入れている。
フェレスお爺さん、元気だな。
「セオドアは二〇年前くらいにこの王都で錬金術師をしていたんだって。ね?」
「あ、ああ。だが王都の錬金術師ギルドは、その、どうにも合わなくて、数年で辞めてしまったんで・・・・・・」
話を聞くと、どうやらここの錬金術師ギルドはずっと昔から腐ってたらしい。それを知らずに田舎から志高く王都に来て早々に現実に打ちひしがれて、それでも数年は頑張ったんだとか。
だけどどうしても馴染めなかったと。いやいや馴染んじゃダメでしょ、あんなトコ。
それでいい感じにお付き合いしてたお相手にギルドを辞めて田舎に帰るということを言ったら捨てられたそうで。
どうもそのお相手さん、セオドアの収入が目当てだったらしい。辞めるなら別れるって一方的に振られたようだ。可哀想過ぎる。
自信なさげなのが気のいい熊さんっぽくて、人となりが分かるようだ。だけど、うーん。ここは少し自信をつけて貰わないと。
「じゃあさ、何か錬成してみようか。それでどれくらい出来るのか確認しよう?」
「え、うーん・・・・・・、何がいいのか・・・・・・」
セオドアが悩んでいるが、ここはやっぱり基礎の錬成によるポーションでしょう!
「セオドア、錬金術師用のポーション錬成してみて。材料は俺が持ってるし、ここにもたぶんたくさんあるよ」
「・・・・・・分かった」
うろうろ彷徨っていた瞳がひた、と俺を見つめた。どうやら覚悟を決めたようだ。
それからの行動は早かった。王宮専属薬師長のファビアから許可を得て、調薬室にあるマジックボックスから迷いなく必要な材料を必要数取り出す。
俺が何かを指示することもなく、サクサクと、しかし正確に準備を整えていき、一度深呼吸をした。
周囲が見守る中、俺と同じように両手を机の上に置くと、錬成用の詠唱を始めた。
「『我、真理の扉を覗く者。理に従い等価交換を希う』」
ごく一般的な錬成用の詠唱だ。コレと記憶している錬成魔法陣が合っていて、なおかつ等価交換に必要な分の材料と魔力があれば完成する。
このときのその条件でどこかが劣れば失敗もしくは品質が下位になる訳だ。
そして詠唱が終わると錬成陣魔法は輝きを増し、数十秒後に魔法陣と光が消えてそこには瓶に入ったポーションが残された。
それを手に取り自ら鑑定魔法で確認をすると、ホッと息を吐き、俺に手渡してくれた。
そこで俺も遠慮なく鑑定する。
「───うん、いい出来だね。【品質:A】だ」
「ほう、辞めてからほとんど錬成はしてなかったと言っていたが、いい腕だ」
俺が鑑定結果を口にするとリオネルが感心したようにそう溢した。うん、久しぶりでコレは凄いよ。
「いや、その・・・・・・ノア殿が店に来てからちょくちょく錬成はやってたんです。俺もまだまだやれるって思って」
セオドアが照れたように笑ってそう言った。なるほど、俺に触発されちゃった感じ?
でもおかげで勘を取り戻したみたいだ。
「何にしても基礎がしっかりしてるから、教え甲斐がありそう・・・・・・ふふふ」
「───ノア、心の声がダダ漏れてんぞ」
「はえっ!?」
「・・・・・・もの凄く悪い顔をしていたよ?」
「えええ!?」
どうやらいい弟子を見つけたとばかりに笑ったのが声とともにガッツリ表情に出ていたらしい。
アークに言われてハッとし、リオネルにはにっこり笑ってツッコまれて居心地が悪くなってしまった俺は、開き直ってセオドアに今回の錬成のあれやこれやを詳しく伝えるのだった。
セオドアも真面目に聞いてくれるから楽しいな!
※あと二、三日はちょっと諸事情で更新遅れるか止まるかもしれません。
疲れて寝落ちして、昨日書き上がらなかった。
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