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506 濃ゆい時間だった(sideアルカンシエル)
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「───で? 何かよけいなヤツが一人増えてるんだが?」
アレから少ししてようやく落ち着いてきた冒険者ギルドの酒場で、マーカスと俺と精霊王、それにフェレスとセオドアが集まって話をしていた。
もちろん飲物は普通にお茶だが。
もうこっそり隠れる意味がなくなったので、こうして堂々と顔を出しているわけだが。
「それがなあ、『儂も行く』って聞かなくてな」
「セオドアだけに行かせるのは儂の気が済まん」
「・・・・・・過保護だな」
「・・・・・・スマン」
俺がそう言うとフェレスは当然のように言い、マーカスが呆れてセオドアが何故か謝った。
「まぁ、一人増えようがこっちは問題ないんだが、そっちは? 確か領主やら門衛に連絡するって・・・・・・」
「ああ、サブギルマスのリクレに任せた。・・・・・・まだ戻らないが」
若干目を逸らすマーカスに、面倒事を押し付けたんだな、と察する。押し付けた形の俺が言うことじゃないが、ギルマスなんだからもう少し仕事しろよ。
「・・・・・・それ、戻ったらまた一人増えたって再び連絡するヤツ」
「そうだな」
俺とマーカスが苦笑する。
リクレって、俺、会ったことないよな。ここの見守り隊の運営のトップって言っていたと思うが。
ソイツにもノアのポーションを置き土産にしていくか。胃薬も必要かな?
「とりあえず、二人を連れて転移するから。で、用が済んだらまたここに転移して連れ帰るからよろしくな」
「ああ、あんまり遅くならないようにな」
「夕飯時までには戻れるだろう」
マーカスとそんな会話を交わしていると、フェレス達が顎が外れそうになるほど口をぱかんと開けていた。
「どうした?」
「・・・・・・いや、転移? てっきり馬車とかで移動なのかと・・・・・・」
「・・・・・・転移って、確か生き物はスプラッタだよな・・・・・・?」
言われて気付く。そういやこの二人には移動手段を話してなかった。そもそもマーカスだって初めて見て驚いてたしな。
どおりで二人とも結構な量の荷物だったわけだ。まぁマジックバッグに入ってるから量は問題ないんだが。
「普通はな。ただ精霊王の転移なら可能なんだよ。だから今日もさっき転移でここまで来たって訳」
「はあ」
「・・・・・・精霊王様っていうのは凄いんじゃなあ」
《フフン。もっと褒め称えてよいぞ》
「ドヤるな、威張るな」
《あ、はい》
俺が軽く説明するとセオドアはポカンとして、フェレスは驚きつつもそう褒め言葉を言った。
俺は即座に調子に乗ったエレフに釘を刺す。
シュンと大人しくなったところで席を立つとセオドア達にも立ってもらう。
「じゃあ、邪魔したな。遅くなるからもう行くわ。エレフ」
《おう、任せろ》
「マーカス、あとは任せた。また夕刻頃な」
「おう、二人を頼む。精霊王様、よろしくお願いします」
《うむ、ではな!》
そう言うとエレフはセオドア達を含めて魔法を発動し、キラキラ金色の光を散らしながら転移した。
転移間際、辺りにどよめきが走ったような気がする。
今更だが、せめて執務室で転移すればよかったかな?
こうしてノアの待つあの調薬室に無事転移して戻ったわけだが───。
アレから何をどうしていたのか、作業台には薬やら魔導具やらがところせましと広げられていた。
その周りでは何枚もの紙にびっちりと何かを書き付けている薬師長や第四王子のリンクス、更に王太子であるリオネルも同じような様相を呈していた。
「・・・・・・ただいま、ノア・・・・・・?」
「あっ! おかえりなさい、アーク・・・・・・と、あれ? 素材屋の店主はともかく何で薬草屋の店主まで?」
「うん、まぁ、俺も聞きたいことがあるが、ノアも色々聞きたいよな?」
どう見ても講義を受けている生徒のように見えるんだが。
さしずめノアが先生でリオネル達は生徒、医師長や側近達は傍観者っぽい立ち位置かな?
そんなことを勝手に思っていると、ノアがハッとして作業台の上を片付け始めた。
「ごめんなさい、すぐに綺麗にするから。皆もまたあとでね」
「仕方ないな」
「あとで必ずだぞ!」
「うん、分かってる」
・・・・・・何やらリンクス以外の約束事も取り付けてねえか、コイツら。
俺とノアの大切な時間をこれ以上奪うんじゃねえよ!
───一方その頃のエイダンの冒険者ギルド。
マーカスに使いっ走りにされたリクレが倒れたりふらついたりしていた住民の手助けをしながら戻ったときには、もう俺達は転移したあとで。
「・・・・・・は?」
「だーかーらー、もう一回行ってきてくれって! 頼むよ!」
「もう一人? 薬草屋の店主も一緒に行ったって? はあ!?」
住民が倒れた件とか詳しい説明もないうちに再度追い出されたリクレが不憫すぎると『ノアズアーク隊』のヤツらが同情的だったとかなんとか、二人を戻しに転移したときにぼやかれるのはもう少しあとのこと。
※ようやく帰ってきた。
次話はノア視点に戻ります。
最初はノアとアークがお互いどうしていたのかのおおまかな説明になると思います。
内容が重複します。ご了承下さい。
※日・月は更新出来ないと思います。すみません、お待ち下さい。
アレから少ししてようやく落ち着いてきた冒険者ギルドの酒場で、マーカスと俺と精霊王、それにフェレスとセオドアが集まって話をしていた。
もちろん飲物は普通にお茶だが。
もうこっそり隠れる意味がなくなったので、こうして堂々と顔を出しているわけだが。
「それがなあ、『儂も行く』って聞かなくてな」
「セオドアだけに行かせるのは儂の気が済まん」
「・・・・・・過保護だな」
「・・・・・・スマン」
俺がそう言うとフェレスは当然のように言い、マーカスが呆れてセオドアが何故か謝った。
「まぁ、一人増えようがこっちは問題ないんだが、そっちは? 確か領主やら門衛に連絡するって・・・・・・」
「ああ、サブギルマスのリクレに任せた。・・・・・・まだ戻らないが」
若干目を逸らすマーカスに、面倒事を押し付けたんだな、と察する。押し付けた形の俺が言うことじゃないが、ギルマスなんだからもう少し仕事しろよ。
「・・・・・・それ、戻ったらまた一人増えたって再び連絡するヤツ」
「そうだな」
俺とマーカスが苦笑する。
リクレって、俺、会ったことないよな。ここの見守り隊の運営のトップって言っていたと思うが。
ソイツにもノアのポーションを置き土産にしていくか。胃薬も必要かな?
「とりあえず、二人を連れて転移するから。で、用が済んだらまたここに転移して連れ帰るからよろしくな」
「ああ、あんまり遅くならないようにな」
「夕飯時までには戻れるだろう」
マーカスとそんな会話を交わしていると、フェレス達が顎が外れそうになるほど口をぱかんと開けていた。
「どうした?」
「・・・・・・いや、転移? てっきり馬車とかで移動なのかと・・・・・・」
「・・・・・・転移って、確か生き物はスプラッタだよな・・・・・・?」
言われて気付く。そういやこの二人には移動手段を話してなかった。そもそもマーカスだって初めて見て驚いてたしな。
どおりで二人とも結構な量の荷物だったわけだ。まぁマジックバッグに入ってるから量は問題ないんだが。
「普通はな。ただ精霊王の転移なら可能なんだよ。だから今日もさっき転移でここまで来たって訳」
「はあ」
「・・・・・・精霊王様っていうのは凄いんじゃなあ」
《フフン。もっと褒め称えてよいぞ》
「ドヤるな、威張るな」
《あ、はい》
俺が軽く説明するとセオドアはポカンとして、フェレスは驚きつつもそう褒め言葉を言った。
俺は即座に調子に乗ったエレフに釘を刺す。
シュンと大人しくなったところで席を立つとセオドア達にも立ってもらう。
「じゃあ、邪魔したな。遅くなるからもう行くわ。エレフ」
《おう、任せろ》
「マーカス、あとは任せた。また夕刻頃な」
「おう、二人を頼む。精霊王様、よろしくお願いします」
《うむ、ではな!》
そう言うとエレフはセオドア達を含めて魔法を発動し、キラキラ金色の光を散らしながら転移した。
転移間際、辺りにどよめきが走ったような気がする。
今更だが、せめて執務室で転移すればよかったかな?
こうしてノアの待つあの調薬室に無事転移して戻ったわけだが───。
アレから何をどうしていたのか、作業台には薬やら魔導具やらがところせましと広げられていた。
その周りでは何枚もの紙にびっちりと何かを書き付けている薬師長や第四王子のリンクス、更に王太子であるリオネルも同じような様相を呈していた。
「・・・・・・ただいま、ノア・・・・・・?」
「あっ! おかえりなさい、アーク・・・・・・と、あれ? 素材屋の店主はともかく何で薬草屋の店主まで?」
「うん、まぁ、俺も聞きたいことがあるが、ノアも色々聞きたいよな?」
どう見ても講義を受けている生徒のように見えるんだが。
さしずめノアが先生でリオネル達は生徒、医師長や側近達は傍観者っぽい立ち位置かな?
そんなことを勝手に思っていると、ノアがハッとして作業台の上を片付け始めた。
「ごめんなさい、すぐに綺麗にするから。皆もまたあとでね」
「仕方ないな」
「あとで必ずだぞ!」
「うん、分かってる」
・・・・・・何やらリンクス以外の約束事も取り付けてねえか、コイツら。
俺とノアの大切な時間をこれ以上奪うんじゃねえよ!
───一方その頃のエイダンの冒険者ギルド。
マーカスに使いっ走りにされたリクレが倒れたりふらついたりしていた住民の手助けをしながら戻ったときには、もう俺達は転移したあとで。
「・・・・・・は?」
「だーかーらー、もう一回行ってきてくれって! 頼むよ!」
「もう一人? 薬草屋の店主も一緒に行ったって? はあ!?」
住民が倒れた件とか詳しい説明もないうちに再度追い出されたリクレが不憫すぎると『ノアズアーク隊』のヤツらが同情的だったとかなんとか、二人を戻しに転移したときにぼやかれるのはもう少しあとのこと。
※ようやく帰ってきた。
次話はノア視点に戻ります。
最初はノアとアークがお互いどうしていたのかのおおまかな説明になると思います。
内容が重複します。ご了承下さい。
※日・月は更新出来ないと思います。すみません、お待ち下さい。
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