拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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482 激震の獣人国王都 2(sideヴァン)

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※ヴァンside、一人称か三人称か迷ってヴァンの一人称にしました。ヴァン視点でいくので。



捕縛したヤツらは王城の地下牢に収容されるという。
そっちは他の騎士達に任せて、我は城に同行を頼んできた騎士と共に城内に向かうことになった。
ちなみに会って早々に仔狼サイズになり、抱き上げて運んで貰っている。
え? 楽だから? 何時もアークのフードに潜って寝てるからな。
騎士は喜んで抱き上げてくれたぞ。

その騎士は王立騎士団第二騎士団の団長でティンバー・グレイという名前だそうだ。

「騎士団は第一から第五までありまして、第一は王城の警備、第二と第三が王都内の警備、第四と第五が魔物討伐などを受け持っています」
『なるほど。で、今回は王族絡みの事件だから騎士団自ら動いたと。街の治安維持のための衛兵には荷が勝ちすぎているしな』
「ええ、おっしゃる通りです」

何処となく弛んだ顔のティンバーがヒソヒソと話をしているうちに目的地に着いたらしい。

あれ、そもそも王城に来てくれって言われただけで誰のところに行くとか聞いてなかったな。ここ、何処だ?

「失礼します。第二騎士団団長ティンバー・グレイです」
「───入れ」

ティンバーの名乗りに応えがあり、扉前の近衛騎士が扉を開けてくれた。
ティンバーは我を抱っこしたまま。近衛騎士も何も言わんが、キチンと教育されているのだろう。職務に忠実だ。

「オウラン宰相閣下、件の報告に参りました」
「ええ、分かってます。この書類を書き終わるまで座って少し待っていて。すまないがパンテラ、お茶を───」

書類に目を向けたままのオウランがそう言うと、脇に控えていたパンテラと呼ばれた側近らしい黒豹の青年がギョッとしたあと、ティンバーの膝の上の我におそるおそる声をかけてきた。

「あの、失礼ですが・・・・・・フェンリル様は何をお飲みになりますか?」
「おいパンテラ、何を言って───」
『いやいらん。そもそも我はカップを持てんからな』

飲めるが皿に注いで貰わねばならんし、別に飲食せずとも死なん身体だし。

そう思って応えたのだが、オウランは何を言ってるんだと顔を上げて・・・・・・ポカンとした。

「・・・・・・フェンリル様?」
『おう、初めましてかな?』
「・・・・・・グレイ第二騎士団長?」
「城下で捕り物中にお会いしまして、ご同行願いました」
「・・・・・・・・・・・・」

説明を受けたオウランは暫く固まったのち、とりあえずパンテラに自分とティンバーの分のお茶を頼んで書きかけの書類を片付けてソファへと移動してきた。

「───はあ。すみません、かなり動揺してしまいまして」
『すまんな。急だったもので』
「我々騎士団も大騒ぎでした」

お茶を一口飲み、落ち着いたところでティンバーが事の次第を報告する。
我はのんびり硬い膝の上で寛いでいる。

「なるほど。フェンリル様は嗅覚に大変優れていらっしゃるのですね」
『まあな。あと、我のことはヴァンでいいぞ。言葉ももっと砕けてていい』

我は小っさい仔狼の胸を張ってフフンというような仕草をした。部屋の皆に可愛いと思われていることには気付かない。

「そんな、フェンリル様に馴れ馴れしくなどとても・・・・・・。ではお名前だけ、ヴァン様と」
『別に構わぬのに。まあいい。ともかくアイツが一番臭いのでな、十中八九ソイツが精製してるはずだ』
「ふむ。確かに情報でもそうらしいとありましたが・・・・・・これから尋問で吐かせましょう。動機もはっきりしておりませんし」
『そちらは其方らの管轄だからな。好きにせい。何かあればアークかウラノス辺りに連絡を寄越せば我にも伝わる───』

そこまで言ってから、サーッと青ざめた。いや毛並みでそうは見えないだろうが。

「・・・・・・ヴァン様?」

急に黙り込んだ我に怪訝そうな声で尋ねるオウラン。だが我はそれどころではない。

『そうだった! ヤバいヤバいヤバい。こっそり来たこと忘れてた・・・・・・。もしやすでにノアにバレて──』
「───よく分かってるじゃないか」
『ひっ!』
「「「は?」」」

ここにはいない第三者の声がしてポカンとするオウランとパンテラ、ティンバー。
そしてティンバーの膝の上にいた我の顔面を鷲掴みする手が、ミシミシという音が───。

「出かけるならせめて一言言ってから行けと何度言えば学習するんだ? この駄犬が」

真顔で、更にめちゃくちゃ低い声でそう言うノアと呆れたような顔のアークが、精霊王と共にオウランの執務室に転移してきていた。





※なんだかんだ時間が過ぎていてノア達にバレちゃった。

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