迷い子の月下美人

エウラ

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474 カガシ、捕捉される

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カガシとチャリオンが突発的な事故が原因とはいえ無事に両想いだと分かり、事後報告となった番い休暇明け。

カガシは今、窮地に立たされていた。

「───という訳で、竜王国のヴァルハラ大公家から招喚の手紙が届いておる」
「・・・・・・」

無事に番い終わり、寿命の擦り合わせも上手く行った。
チャリオンには少し無理をさせた自覚はあるが、概ね満足してウキウキしながら王都に戻ってみれば・・・・・・。

間髪入れずに薬師ギルド長に呼び出され、泣く泣くチャリオンを冒険者ギルド職場に連れて行って彼の同僚達に託し、急いで薬師ギルド長の執務室に向かってみれば───。

「・・・・・・意味が分からないのですが?」
「儂もなあ・・・・・・。儂宛ての手紙にはを指名したことしか書いて無くてなあ」

そう言ってもう一通の手紙をカガシに渡すギルド長。
そこには綺麗な筆跡で「薬師カガシ・ナヘカ殿」と書かれていて、封蝋には竜王国ヴァルハラ大公家の印が押されている。
間違いなくホンモノだ。

「・・・・・・俺が戻るタイミングで送ってきたのですか?」
「そうだろうて。・・・・・・お前、で何かやらかしたな?」

ギルド長にそう言われても、カガシがしたことといえばチャリオンの処置と番い行為・・・・・・。

───まさか。

「・・・・・・そういえば、薬師マイスターのノア殿って確か大公家の三男殿の番いでしたっけ」
「ああ、そういえばそうじゃ。それに最近魔人国で噂になっとる。ノア殿は何やら精霊王と親しいらしいぞ」

顎に手を当ててギルド長が思い出したように付け加えた。
それを聞いてカガシは珍しく顰めっ面になった。

「あー・・・・・・、たぶんソレです。チャリオンの処置にスキルアレ使ったんです。・・・・・・精霊かぁ。確かにアソコは古の森の側だったんで、んでしょうね」

そう言って自分宛に来た手紙をペーパーナイフで開封して広げて読んだ。

案の定、濁してはいるがスキルの件が関係していた。
しかもご丁寧にカガシ意外には読めないように魔法で隠蔽してある。
───コレは逃げられないな、とカガシは腹を括った。

「ギルド長、俺、行ってきますよ」
「・・・・・・大丈夫なんか? まぁ、ヴァルハラ大公家は悪い噂を聞いたことが無いから、無茶な事はされんと思うが」

心配そうに声をかけるギルド長ににこっと笑うカガシ。

「とりあえず、何故か窓口が冒険者ギルドのマスターになっているので声をかけて来ます。ついでにチャリオンに癒されてきますね」
「・・・・・・お前、そっちが本音だろうが。まぁ、任せるよ」

気持ちを切り替えてチャリオンに逢う口実が出来たと鼻唄でも歌いそうなカガシは、ヴァルハラ大公家に指定された冒険者ギルドに向かうのだった。




※ちょっと短いですが、キリの良いところで。
一気に冬に逆戻りです。御自愛下さい。


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