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464 影達の暗躍とかノアズアーク隊とか 4(sideチャリオン)
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※最後だけちょっと嘔吐表現あり。食事中の方などはご注意を。
薄暗い道を横に並びながら門に向かって歩く。
さっきのちょっとドギマギした空気は霧散し、何時ものように話をしていた。
「カガシさん、今日は何かお目当ての薬草とかあったりするんですか?」
並ぶと頭一つ分高いカガシを自然と上目遣いに見上げることになるのを、本人は自覚していない。
よく見ればカガシは薄らと頬と耳を染めていた。
しかし薄闇でチャリオンは気付いていないようだ。
山猫で夜目は効くだろうに、恋愛方面には疎いので分からないのだ。
カガシはチャリオンに微笑んだ。
「ああ、うん。幾つかあるね。あとは珍しいのとかあれば良いかなあってところかな」
「へえ。じゃあ僕も、カガシさんみたいに詳しくないけど、頑張って見つけます!」
「ははっ、うん。ほどほどにね。浅いところとはいえ古の森だから魔物とか危険でしょ? 俺の側を離れないでね」
「あっ、そうでした。はい、離れません!」
チャリオンは逃げ足の速さには自信があるが攻撃はからっきしなので、なるべく迷惑にならないようにしようと誓った。
そうして着いた時には朝日が昇っていたが、古の森は鬱蒼としていて浅いところとはいえ薄暗い。
魔物を刺激しないように、お互い暫くは黙ったまま森の中を探索した。
カガシは迷い無く進んでいく。
さすが、手慣れている。
いつの間にかチャリオンの右手を繋いで迷わないようにしてくれていた。
---うわ、カガシさんの手、剣ダコがある。
白くて細い長い指なのにごつごつしていて、普段から剣を握っている人のよう。
やはり強いんだなと、ヘンなところで感心してしまった。
それに蛇獣人だからか自分よりも体温が低い気がする、と思考が逸れてしまい、今、森のどこら辺にいるのか分からなくなってしまった。
---うわあ、ここで逸れたら帰れる気がしない。
思わずカガシにぎゅっとしがみ付いてしまい、カガシがビクッとしたのに気付いて慌てて離れた。
「どうしたの? 怖い?」
「あっ、いえ、あの、迷子になったらどうしようって思って・・・・・・すみません!」
恥ずかしくて手も離そうとしたが、逆にギュッとされてしまった。
「大丈夫、離さないから。迷子になんてさせないよ」
「---は、はひ」
クスリと笑うカガシにドキッとしてチャリオンは上擦った声で返事をしたのだった。
そして目的地に着いたらしいカガシがあちらこちらで薬草を摘んでいたとき、不意にチャリオンの鼻を良い香りが掠めた。
その香りにフラフラと誘われるように歩いていくと、一つの見慣れない草を見つけた。
「・・・・・・コレ、なんだろう?」
「どうした、チャリオン?」
チャリオンの挙動に気付いたカガシがいつの間にか側に来ていた。
チャリオンはカガシに香りの事を話す。
「・・・・・・へえ、君には良い香りなんだ。俺には何も感じないけど。・・・・・・ふむ」
そう言って暫くジッとその草を見ていたカガシ。
どうやら鑑定をしていたようで、一つ頷くとその草を数本、根っこごと掘り返してマジックバッグにしまった。
「・・・・・・カガシさん?」
カガシのキレイな眉に皺が寄った気がして心配になって声をかけたが、すぐにいつも通りのカガシだったので見間違いかと思ったチャリオン。
「ああ、うん。アレ、どうやら猫系の獣人に効果がある特殊な草らしくて。ほら、猫にマタタビって酔ったような多幸感で効くっていうだろう? あんな感じ?」
「へえ?」
マタタビは確かに気持ち良くなってフラフラしちゃうな、とチャリオンは思い起こした。
自分はお酒を飲まないから分からないが、酔うとあんな感じなんだと一人納得した。
「初めて見つけたよ。チャリオンが気付いたからだね。猫系の獣人以外には分かりにくいみたいだし、俺も鑑定で分かったくらい。とにかく持ち帰って詳しく調べてみるよ。ありがとう、チャリオンのおかげだ」
「え、そんな。でも良かった、役に立てて」
そう言ってはにかんだチャリオンに、カガシは顔を逸らしてぽそっと呟いた。
「---やっぱ、カワイイ」
そうしてもう少し周りを探してみようかと歩いていると、いつの間にかチャリオンがあの草を食んでいるのにカガシが気付いた。
「---っチャリオン?!」
「・・・・・・ふへへ・・・・・・おいし・・・・・・」
「---馬鹿! 良く分からないモノを口にするなんて、何考えて!」
「らって、いーにおいぃ」
「---! うわ、まさかここまで猫獣人に悪さするなんて、迂闊だった! チャリオン、すぐにペッしなさい! ペッ!」
先ほどカガシが鑑定したあの草には、実は猫獣人には毒となるごく微量の成分が入っていたのだ。
慌てたカガシはチャリオンの口の奥に躊躇無く指を突っ込んで、急いで吐かせるのだった。
※うわーん。終わらないチャリオン編。
最後、ちょっと嘔吐、すみません。
次話、お待ち下さいませ。
薄暗い道を横に並びながら門に向かって歩く。
さっきのちょっとドギマギした空気は霧散し、何時ものように話をしていた。
「カガシさん、今日は何かお目当ての薬草とかあったりするんですか?」
並ぶと頭一つ分高いカガシを自然と上目遣いに見上げることになるのを、本人は自覚していない。
よく見ればカガシは薄らと頬と耳を染めていた。
しかし薄闇でチャリオンは気付いていないようだ。
山猫で夜目は効くだろうに、恋愛方面には疎いので分からないのだ。
カガシはチャリオンに微笑んだ。
「ああ、うん。幾つかあるね。あとは珍しいのとかあれば良いかなあってところかな」
「へえ。じゃあ僕も、カガシさんみたいに詳しくないけど、頑張って見つけます!」
「ははっ、うん。ほどほどにね。浅いところとはいえ古の森だから魔物とか危険でしょ? 俺の側を離れないでね」
「あっ、そうでした。はい、離れません!」
チャリオンは逃げ足の速さには自信があるが攻撃はからっきしなので、なるべく迷惑にならないようにしようと誓った。
そうして着いた時には朝日が昇っていたが、古の森は鬱蒼としていて浅いところとはいえ薄暗い。
魔物を刺激しないように、お互い暫くは黙ったまま森の中を探索した。
カガシは迷い無く進んでいく。
さすが、手慣れている。
いつの間にかチャリオンの右手を繋いで迷わないようにしてくれていた。
---うわ、カガシさんの手、剣ダコがある。
白くて細い長い指なのにごつごつしていて、普段から剣を握っている人のよう。
やはり強いんだなと、ヘンなところで感心してしまった。
それに蛇獣人だからか自分よりも体温が低い気がする、と思考が逸れてしまい、今、森のどこら辺にいるのか分からなくなってしまった。
---うわあ、ここで逸れたら帰れる気がしない。
思わずカガシにぎゅっとしがみ付いてしまい、カガシがビクッとしたのに気付いて慌てて離れた。
「どうしたの? 怖い?」
「あっ、いえ、あの、迷子になったらどうしようって思って・・・・・・すみません!」
恥ずかしくて手も離そうとしたが、逆にギュッとされてしまった。
「大丈夫、離さないから。迷子になんてさせないよ」
「---は、はひ」
クスリと笑うカガシにドキッとしてチャリオンは上擦った声で返事をしたのだった。
そして目的地に着いたらしいカガシがあちらこちらで薬草を摘んでいたとき、不意にチャリオンの鼻を良い香りが掠めた。
その香りにフラフラと誘われるように歩いていくと、一つの見慣れない草を見つけた。
「・・・・・・コレ、なんだろう?」
「どうした、チャリオン?」
チャリオンの挙動に気付いたカガシがいつの間にか側に来ていた。
チャリオンはカガシに香りの事を話す。
「・・・・・・へえ、君には良い香りなんだ。俺には何も感じないけど。・・・・・・ふむ」
そう言って暫くジッとその草を見ていたカガシ。
どうやら鑑定をしていたようで、一つ頷くとその草を数本、根っこごと掘り返してマジックバッグにしまった。
「・・・・・・カガシさん?」
カガシのキレイな眉に皺が寄った気がして心配になって声をかけたが、すぐにいつも通りのカガシだったので見間違いかと思ったチャリオン。
「ああ、うん。アレ、どうやら猫系の獣人に効果がある特殊な草らしくて。ほら、猫にマタタビって酔ったような多幸感で効くっていうだろう? あんな感じ?」
「へえ?」
マタタビは確かに気持ち良くなってフラフラしちゃうな、とチャリオンは思い起こした。
自分はお酒を飲まないから分からないが、酔うとあんな感じなんだと一人納得した。
「初めて見つけたよ。チャリオンが気付いたからだね。猫系の獣人以外には分かりにくいみたいだし、俺も鑑定で分かったくらい。とにかく持ち帰って詳しく調べてみるよ。ありがとう、チャリオンのおかげだ」
「え、そんな。でも良かった、役に立てて」
そう言ってはにかんだチャリオンに、カガシは顔を逸らしてぽそっと呟いた。
「---やっぱ、カワイイ」
そうしてもう少し周りを探してみようかと歩いていると、いつの間にかチャリオンがあの草を食んでいるのにカガシが気付いた。
「---っチャリオン?!」
「・・・・・・ふへへ・・・・・・おいし・・・・・・」
「---馬鹿! 良く分からないモノを口にするなんて、何考えて!」
「らって、いーにおいぃ」
「---! うわ、まさかここまで猫獣人に悪さするなんて、迂闊だった! チャリオン、すぐにペッしなさい! ペッ!」
先ほどカガシが鑑定したあの草には、実は猫獣人には毒となるごく微量の成分が入っていたのだ。
慌てたカガシはチャリオンの口の奥に躊躇無く指を突っ込んで、急いで吐かせるのだった。
※うわーん。終わらないチャリオン編。
最後、ちょっと嘔吐、すみません。
次話、お待ち下さいませ。
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