拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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459 密会と外れた思惑 1

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意識を取り戻したメーレが口にしただが、この時すでにその姿は獣人国の王宮に無かった。

今から遡ることおよそ二ヶ月前、メーレ王妃が体調を崩す少し前の事。

王宮専属薬師で犬獣人の副薬師長ペルルは深夜、錬金術師ギルドのギルドマスターで犬獣人のロキと密会していた。

王宮専属薬師というのは、その名の通り主に王族や王宮に勤める者のために薬を調合する専門職である。
当然、数多の薬師達が厳しい試験をくぐり抜けて合格した者が就ける名誉ある役職なのである。
よって薬師ギルドのギルド長と同等レベルくらい凄い事なのだ。

そんな彼等は王宮内に個人の工房と部屋を与えられる。
そこで求められた薬を調合したり新たな薬を研究開発したり。
その中で薬師長や副薬師長ともなれば薬師ギルド長よりも高い地位になる。

そんな王宮専属薬師の副薬師長が、王都でも悪評高い錬金術師ギルドのマスターと密会していた。

現地集合をして人目を避け、騒がしい酒場兼宿屋の二階の一室に籠もった二人はお互いに防音と結界の魔法を張った。

ペルルは三十代で小型系の茶色の垂れ耳が印象的だが顔立ちは平凡で目立つところは無い。
ロキは四十代に届くくらいの歳の大型系でピンと立った黒い耳と鋭い目付きのそこそこ男前だ。

「---で、どうなんだ?」

防音結界を張っているが、用心深くロキが声を潜めてペルルに聞く。
ペルルもそれに小さな声で応えた。

「政務に忙殺されてだいぶ弱っておられます」
「そうか。前正妃が病弱で早世したのは予想外だったが、現正妃は獅子王に寵愛されている方だ。ならば却って上手くいくはず」

ロキは口の端を歪めて笑った。
ペルルはあまり表情を変えなかったが、若干渋い顔をしていた。
そんなペルルにフンッと鼻を鳴らすロキ。

「お前は俺の言うことを聞いていれば良いんだ。誰のおかげで今の地位にいられると思っている」
「・・・・・・貴方様のおかげです」
「そうだ、それで良い。だからコレからも頼むぞ?」
「・・・・・・分かっております」

目を伏せ、静かにそう言うペルルに満足して、マジックバッグからポーションの瓶を二つ取り出して手に握らせるロキ。

「コレをお前のタイミングで良いから、メーレ王妃に飲ませるんだ」

ペルルはそれをテーブルの灯りにかざして見る。
一見、ただのポーションのようだが・・・・・・。
この時すでにペルルは中身の成分を知らされていた。

「鑑定されればバレるのでは?」
「もう一つをお前が目の前で飲んで見せてやれ。何、我等には効果がないに効くモノだから心配するな」

自信満々にそう告げるロキに思わず顔を向けたペルルだが、ロキはなおも問題ないと告げた。

「お前が毒見してやれば疑わずに口にするだろう。それに厳重に隠蔽魔法で隠してあるから、普通の鑑定ならまず分からない」
「現正妃様は確かレベルの高い鑑定スキル持ちです。目の前で毒見をしても疑われて鑑定されたら気付かれる可能性が」
「そこはホラ、疲れて気が回らないような状態になれば忘れて飲んでくれるだろう? お前は誘導するそういうの、上手いだろう?」

そう言って悪どい顔でニヤリと笑うロキに小さく溜息を吐いて頷くペルル。

「・・・・・・畏まりました」
「では、健闘を祈る。何、一度飲ませてしまえば、あとは他の手の者が引き継いでくれるからお前は最初だけで良い。安いモノだろう。ふふふ」
「・・・・・・」

ペルルは顔を伏せたまま無言だ。
しかしロキは気にしていないようだ。
部屋を出る直前、思い出したように振り返って言った。

「ああ、俺が出てから時間を空けて帰れよ。万が一にもバレないようにな」
「・・・・・・はい」

かろうじて小さくそう返すペルルの手には二つのポーション---に見せかけた毒薬が残った。
部屋を出て行ったロキを見送り、ペルルは一度ぎゅっと目を瞑ると毒薬をマジックバッグにしまう。

「・・・・・・俺には、もう、これしか無いんだ」

---王宮専属薬師になったのは実力だったが、副薬師長の地位を得るためにロキの口車に乗ってしまった自分の心の弱さ。
結果、悪事の片棒を担ぐ羽目になり・・・・・・。

「後戻りは出来ないんだ」

ペルルは昏い瞳で虚空を見つめた。

それから数日後。
その機会は思ったよりも早く訪れ、ロキが言ったように毒見を済ませて安全性を知らしめ、メーレ王妃に疑われずに毒を飲ませる事に成功した。

周りの者はこの時の偽ポーション毒薬の事を知らされておらず、単に副薬師長が体調を崩したメーレ王妃から薬の調合を頼まれただけだと思っていた。
それもロキの手の者が暗躍して誤魔化していたからなのだが、ペルルには誰がその手の者なのかは知らされておらず、結局分からずじまいだった。

そして次の日からメーレ王妃は床に伏せるようになり、ロキの手の者が定期的にポーションと称して毒を盛り続ける。

---しかし間もなくロキの計画の杜撰ずさんさが露呈する。
ロキはタイミングを狙って解毒薬をメーレ王妃に飲ませて王家に恩を売り、錬金術師ギルドの威厳を取り戻そうとしたのだが・・・・・・。

「・・・・・・解毒薬が作れない。どうやったら錬成出来るんだ。何故出来ないんだ!」

そう、評判通り錬金術師としての腕はからっきしのロキ達には解毒薬の錬成が出来なかったのだ。






※お待たせ致しました。一旦、余裕が出来たのでぼちぼち再開しますが、たぶん暫くは不定期更新になると思います。
すみません、気長にお待ち下さいませ。
長くなってしまったので、後半は次話になります。
お休みの間もお気に入り登録が増えてて嬉しいです!😆










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