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454 メーレ王妃復活!
しおりを挟む介護要員としてやって来たエレンとミオが森での生活に何とか慣れた頃、世話の甲斐あってかメーレ王妃の意識がハッキリ戻ってきた。
ノアが攫ってきてからちょうど二週間。
拠点にしている精霊王の住処の一画。
何故か薄暗い古の森なのに空から自然の光が良く差し込む場所にノアが錬金術で寛ぎスペースを作っていた。
ウッドデッキのような板張りの上にふわふわの柔らかく毛足の長い絨毯を敷き、大きくて広い、簡易ベッドになりそうなカウチソファを置いて。
向かいには座り心地の良い二人用と一人用のソファ。
ローテーブルにワゴンもある。
屋根代わりの透けるような総レースの布が四隅の柱に取り付けられている。
そのカウチソファに、たまにはお日様も感じないとね、とノアがメーレ王妃を抱き上げて連れ出して寝かせていたのだ。
未だ夢うつつの状態のメーレ王妃だが、ちまちま食べさせていた甲斐があってか、瘦けた頬も少しふっくらしてきた。
コレならば少し陽や風にあたっても良いだろうという判断で。
お昼前から午後二時くらいならば大丈夫だろうと寝かせていた。
「悪いけど、俺も少し横になるね」
「はい、お任せ下さい」
ノアも夜に備えて少し午睡をすると言うと、エレンはキリッとした顔でそう応えた。
少し前の我が儘坊ちゃんとはまるで別人である。
本人が一番ビックリしていたが。
そうしてお昼も過ぎてエレン達も暖かな光にうとうとし出した頃・・・・・・。
不意にメーレ王妃が身じろいだ。
何時もの緩慢な動きかと、エレンとミオはハッとしながら王妃の顔を覗いていると、目蓋がはっきりと開いて、虚ろだった瞳がエレン達をしっかり映したのだ。
「・・・・・・けほ、こ・・・・・・こは?」
「「---っ!!」」
掠れた声で、でもしっかり話す声にエレン達は一瞬驚いて固まるが、ミオが先に立ち直った。
「ノア殿に知らせて来ます!」
その声にエレンもハッと我に返り、水差しの水を吸い吞みに入れてそっとメーレ王妃の口に含ませた。
「あっあの、メーレ王妃様。僕はエレンと言います。僕が誰だか分かりますか?」
エレンは、小さいときに何度か会ったことがあるので、自分が分かるか尋ねてみた。
メーレ王妃は少し考えて応えた。
「・・・・・・その、泣きそうな顔・・・・・・スーラ侯爵家の、下の子、かしら。・・・・・・エレン、よね?」
「---っはいっ! ・・・・・・良かった。本当に、良かっ・・・・・・」
「・・・・・・相変わらず、泣き虫さんだね。・・・・・・それにしても、私は、一体・・・・・・」
カウチソファに凭れるように床に膝を付けて思わず縋るように涙を溢すエレンの頬を震える手で撫ぜていると、ミオがノアとアークと彼にしがみ付くブラウとイェルを連れて来た。
「---っ本当だ。意識がハッキリしてる。良かった」
「おう、やっと目覚めたか。ひとまず安心したな、ノア」
「うん。コレでご飯ももりもり食べればあっと言う間に元気になるよ」
エレンの後ろから顔を覗かせているノアとアークにメーレ王妃が驚いていると、ブラウとイェルがびょんとカウチソファに飛び降りた。
『元気になりました?』
『良かったねえ』
「・・・・・・あらあら、可愛らしい猫獣人の・・・・・・子供?」
「あー、ゴーレムです。俺が錬成しました」
「・・・・・・え? えと、貴方方は・・・・・・?」
メーレ王妃がキョトンとした。
ソコでノア達は自己紹介がまだだったことに気付き、カウチソファから離れて挨拶をした。
「初めましてメーレ王妃殿下。竜王国ヴァルハラ大公家が三男、アルカンシエルと申します。今は冒険者をしております。こちらは番いのノアです」
「ノアと申します。アルカンシエルの番いです。冒険者で薬師で錬金術師です。王妃様の具合があまりにも悪かったので、強制的にこちらで静養させて頂いてました」
「ちなみにここは古の森の精霊王の棲んでいる場所ですよ」
淡々と説明してくれているが、メーレ王妃はポカンと口を開けたまま固まっていた。
「・・・・・・そうなりますよね、それが普通ですよね」
おいおいと泣くエレンを穏やかな目で見ながら、ミオはメーレ王妃の気持ちが分かる、とうんうんと一人頷いていたのだった。
※やっと王妃様目が覚めた。
眠り姫を目覚めさせてくれたのは王様じゃ無かった(笑)。そして荊(蔦)に囲まれてたのは王様自身。
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