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422 竜王と獅子王の対談 4
しおりを挟む記録媒体のコピーを手にした獅子王と宰相、後は姿は見えないがおそらく周りにいるであろう護衛や側近達の緊迫した様子が窺えた。
宰相が震える手で再生させる。
果たしてそこには、スーラ侯爵の子息による王宮内での使用人達への連日の暴言や王子達へ媚びへつらう様子がありありと映し出されていた。
そして一番の問題行動となる、ヴァルハラ大公家への暴言や妄想。
自分勝手な思い込みで礼儀も無く、不敬と咎められてなお、謝罪の言葉すら無い。
唯一の侍従らしき者が賢明に謝罪し頭を下げ続ける様のみ。
そしてどうやってそこに向かったのか、謁見後の待ち伏せからの暴言と暴力が映し出された頃には、獅子王達は顔を真っ青から真っ白にさせて無言だった。
「如何かな? この仕打ちを受けて『諾』と応えられようか? 例えノアが許しても儂らは到底許容出来よう筈も無い」
「私達も同様です。優しいノアでさえ、さすがに快諾とはいきません。そもそも準王族に他国の、しかも爵位が下の、ただの子息が働いた無礼。・・・・・・当然、こちらで、この国の法で裁く権利はございますよね?」
クリカラは抑えているが、こめかみに青筋が立っていて誰が見ても怒りの形相だった。
ウラノスも胡散臭い笑顔で、しかし目が笑っていない。
獅子王達にもの凄い圧を発していた。
獅子王達は、コレだけやらかした証拠を示されては、反論する余地は無いと項垂れた。
『確かに、使者として遣わせたスーラ侯爵の子息は不敬罪で斬り捨てられていてもおかしくは無い・・・。竜王国側での裁きを御願い致す』
獅子王が力無く、そう言った。
クリカラ達は『言質とったぞ!』と、内心でほくそ笑む。
「その旨、しかと受け取った。---さて、こちらは前座よ。本題はこれからじゃ」
『・・・・・・はい?』
クリカラの言葉に、獅子王はポカンとした。
さっきからコレばかりで、本当に大丈夫なのか?
「・・・実は、招喚は断ったが優しいノアは薬・・・ポーションなら作製して送っても良い、と言っておってな」
『---っ本当ですか?!』
先ほどまで項垂れて萎れていた獅子王がガバッと顔をあげた。
しかも敬語になっている。
---そう言えばレナード王は、コレまでの獅子王とは違い、温厚で穏やかな気質らしいと言っていたな。
時に冷酷とも言える判断を迫られる問題の時は大丈夫なのかと心配になる。
・・・今回の対談のように。
一気にテンションが上がる獅子王に、感情出過ぎだろうと、クリカラ達は内心で思った。
・・・これも愛故なのだろうか。
しかしトップに立つ者がこうも気持ちを顕わにし過ぎては交渉事は上手く行くはずが無い。
宰相も馬鹿では無いのだろうが、コレほど焦るということは、メーレ王妃の容態は相当悪いと見える。
---コレはノアが知ったらポーションだけとはいかないかもしれないな・・・。
ノアを知る者達は小さく溜息を吐く。
だがまあ、どちらにせよ、コレならばこちらのペースで上手く事が運べるな、と竜王国側は真面目な顔の裏でニヤリと笑うのだった。
※遅くなりました。中々進まなくてスミマセン。
今はまだノアはお仕置き中ですので。
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