迷い子の月下美人

エウラ

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418 竜王と獅子王の対談 1

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アークのお仕置きセックスでノアが抱き潰されていた頃、竜王クリカラは関係者を集めてあーだこーだと議論を重ねていた。

一番の重要人物がアークのせいで登城出来ないので代理でウラノスと側近のレーゲンが出席している。

王城側はクリカラはもちろん、あの日に集まっていた側近のリュウギとシスカリオン王子、リュカリオン王子。
そしてその場にいた近衛騎士のランスロットにパーシヴァル。

ついでにルドヴィカ。

「ついでって酷くないですか?」

そう言いながらも楽しそうに出席しているルドヴィカは放っておく。

「あの後、聞き取りやら記録媒体の確認で例の使者の馬鹿息子のやらかしは決定的になった。故にコレから獣人国へ正式に抗議の通信を送ることになる」

クリカラがサッサと結論を言うと、皆が当然とばかりに首を縦に振った。

「まあ、当然でしょうね」
「寧ろ今までしていなかったことの方が驚きです」

ウラノスとレーゲンがそう言うと、クリカラはバツが悪そうに眉を下げた。

「・・・まあな。ちょうど魔人国の魔王陛下の懐妊の連絡と被って色々と段取りがな・・・。後手後手に回っていたせいもあるし、ノアちゃんが発情期になってしまって面会も出来なかったし、アルジェントの番いの件も・・・もういっぺんに色々有り過ぎてなぁ・・・」
「ソコは本当に申し訳なく思います。脳筋の陛下では処理が追いつかなかったモノで・・・」
「オイコラ! 言い方!! 大体その為の側近だろうが!」
「私達は陛下ほど体力が無いんですから不眠不休でなんて動けませんよ。そうでなくても何時も貴方の尻拭いをさせられてるんですけど?」
「---うぐっ・・・いや・・・・・・ソレは、スマン」

心当たりが大いにあったのか、さっきの勢いはどこへやら、たちまち萎びるクリカラに皆が笑う。

「ともかく、コッチは獣人国の使者殿の要請をはね付ける大義名分が出来ましたからね。何か言われても交渉はこちらの良いように進められますよ」
「楽しそうですね、ウラノス殿」
「そりゃあねえ。ウチの大事な義息子達が傷付けられたんですから。当然、倍返しどころじゃ無いですよ」

そう言ってふっふっふと笑うウラノス。
リュウギが苦笑してツッコむと不穏な発言が・・・。

普段温厚な人物はキレると一番コワイのだ。

「大体、以前にノアちゃんの件で獣人国には圧をかけているのに、すっかり忘れてるのか無かったことにしてるのか知りませんけど? 巫山戯てんのかって話ですよね」

ウラノスの恨み節が止まらない。
だがココにいる全員が情報を共有していて、その事も当然聞いているため、止めようとはしない。

あの時、アークはノアのために街を滅ぼさなかったが、大公家では国ごと滅ぼしてやるか、くらいの気持ちだったのだから。

その後のやらかした輩もこっそり処分していることはノア以外には周知の事実。

「---ところで陛下、あのアホ猫はどうするんです?」

ルドヴィカが思いついたように聞いた。

今頃は現状を理解して嘆いているのだろうか。
警備の近衛騎士からは大人しくしているようだと報告を受けているが。

「ああ、アレな。獣人国へ抗議するときにこちらで処罰を決めても良いかの承諾を得られたら考えようと思っておる」
「まあ、そうですね。その方がスッキリれそうですよね。ふふふ・・・」

和やかに微笑んでいるのに、その優雅な口から飛び出す言葉が物騒極まりない。

「・・・・・・ウラノス様、相当溜まってるな」
「ヴァルハラ大公家・・・身内溺愛なところは竜人でも特に凄そうですよね」

ランスロットとパーシヴァルが若干引いている。
気持ちは分からないでもないが。

「『目には目を、歯には歯を、毒には毒を。ただし数十倍返しで』。ウチの家訓だ」
「え、そんなのありましたっけ?」
「今作った」
「ですよねー。初耳ですもん。さすがウラノス様」

ウラノスの言葉にすかさずツッコむルドヴィカ。
それにサラッと返すウラノスにルドヴィカも笑って返す。

このままでは埒が明かないのでリュウギが咳払いし、場の仕切り直しをする。

「ひとまずは、ノア殿の招喚に対する返答と獣人国の使者殿の御子息の不敬罪の適応を求めます。ノア殿は招喚を拒否。御子息はこちらの法に則った処罰を求めます。・・・よろしいですね?」
「良い」
「もちろん」
「「当然だな」」
「良いと思います!」
「「私達も是です」」
「それで構いません」

リュウギの言葉にクリカラ達は全員が『是』だった。

「---では明日、午後イチで王宮から獣人国へ抗議の通信を行いますので、その時は陛下と私、ヴァルハラ大公閣下、レーゲン殿が参加なさると言うことで---」
「え? 私は?!」
「・・・・・・アルバトロス団長殿は不参加で」
「煩いからな」
「絶対に面白がるだろう? ダメだ」
「そうそう」
「絶対、茶々入れるだろう」
「ぅ・・・・・・」

クリカラ達から一斉にツッコまれて無言になるルドヴィカ。

しょぼんとなったが誰も彼も知らんぷりで、お開きになったのだった。




「自業自得」


後日、アークにその時のコトを愚痴ったらそう返された。

ノアも苦笑しただけだった。







※次は対談・・・・・・一方的な話し合い?の予定です。






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