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414 獣人国の裏事情 2
しおりを挟むここ獣人国では、現在、第一側妃から正妃になった猫獣人のメーレ王妃が病に伏せっていた。
獅子王レナードがメーレ王妃の為にあらゆる治癒魔法やポーション、薬をかき集めては試していたが効果が無く・・・。
日に日に窶れ、魘され、熱に浮かされる王妃を悲痛な面持ちで見舞うレナード王。
一時は感染症ではないかと見舞いにも行けずにヤキモキしていたが、他は誰も倒れず発症もしていないことからその線は消えた。
それではもしやメーレ王妃の生家特有の病でもあるのかと調べても全く心当たりは無く。
途方に暮れていた中で偶然にもアインの街に新領主として着任していたメーレ王妃の二人目の王子フィフスが『コレではどうか』と送って寄越したポーションを宮廷医師が飲ませると・・・。
「---おおっ!! 完治とはなりませんが、明らかに効果があったようです。呼吸もだいぶ穏やかになりました!」
「なんと・・・! そのポーションは一体どのようなモノなのですか?! コレの製作者はどのような御方で?!」
宮廷医師の反応に、王宮専属の薬師長が驚愕の声をあげて宮廷医師に詰め寄る。
その勢いにタジタジになりながら宮廷医師は応えた。
「これはフィフス王子殿下が手に入れた上級ポーションです。製作者は『ノア』という方で・・・ただ、今回のポーションは薬師の調合ではなくて錬金術で錬成されたモノになります」
「---錬金術ですと?!」
薬師長は大袈裟なほどに驚いた。
何故なら、この王都に僅かにいる錬金術師は腕が悪いことで有名だからだ。
有り体に言えば薬師の調合したポーションにも劣る品質である。
なので今はさほどの実績も無いはずだ。
ヤツらは珍しい錬金術師だというだけで胡座をかき、矜持だけは一人前・・・いやそれ以上に高い厄介なヤツらばかり。
故に研鑽して品質を高めようという気も起きないのだ。
そして何時も薬師達を下に見て自分達の方が素晴らしいのだと言って憚らない。
---そんなヤツらの誰かがその様な凄いモノを錬成したというのか?!
信じられん!
そう心の中で憤っていると、宮廷医師は続けた。
「・・・ですが王都に唯一ある錬金術師ギルドに確認を取ったところ、その様な名前の方は登録されておられないと窺っておりますので、詳しいことはフィフス王子殿下にお聞きになられた方がよろしいかと・・・」
・・・どういう事だ?
そんな凄いポーションを錬成できる腕があるのに何故登録していない。
もしや錬金術師ギルドの存在を知らないのか?
薬師長の頭には色々な考えが過るが、どれも的を射ない。
やはりフィフス王子殿下に直に聞いてみないことには始まらないか。
「しかし王子殿下に窺うにしても、確か今は何処ぞの領主に着任していてご不在中のはず・・・」
「ええ、少し前にアインの街の新領主として着任しております。お忙しい中、お母上の病の為に奔走なさったのでは? お優しいことです」
そう言った宮廷医師殿の言葉に違和感を覚えた。
---待て。アインの街?
・・・・・・ノア?
薬師長はハッとした。
「このポーションのことは、陛下はご存知なのですか?」
「もちろん、王妃殿下のお身体に使う物ですからね。ちゃんとフィフス王子殿下からも鑑定書付きで来ましたし、こちらでも効能は鑑定致しました。その上で使用させて頂きました。・・・まさかこのようにかなり改善されるとは・・・きっと陛下もお喜びになりましょう」
「---では、ご報告の折には私も是非! この製作者に少々心当たりが御座いますれば、陛下に是非ともご確認をしたく」
「なんと! 分かりました。もう少し王妃殿下のご様子を確認してから向かいましょう。誰か、陛下に先触れを」
「はっ」
宮廷医師の声に近衛騎士が一人、返事をして立ち去った。
おそらく先触れに行ったのだろう。
その様子をみつめながら薬師長は一人、思いを巡らせていた。
---コレは大事になりそうだな・・・。
久しぶりに穏やかな顔になったメーレ王妃を見つめて、深い溜息を吐く薬師長だった。
※遅くなりました。夢中で断捨離をしていたら執筆時間が・・・。
勢い余って必要なモノまで捨てないように気を付けましょう。
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