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連載
406 はた迷惑な猫獣人 2
しおりを挟む「---ッノア!!」
「ノアちゃん?!」
「「ノア殿?!」」
振り向いた先の光景にアークがいち早く反応し、ウラノスや近衛騎士のパーシヴァル達も叫んでいた。
アークの隣にいたノアがいつの間にかレイン達を背に庇うように立ち塞がっていて、向かい側には顔を真っ赤に染めてフーッフーッと鼻息荒く、興奮状態の猫獣人のスーラ侯爵家次男エレンが牙を剥いていた。
ノアが頬を張られた勢いで背けていた顔を戻すと、頬から顎にかけて赤いモノが滴った。
「---ノア、血が・・・!!」
アークが素早く駆け寄り、そっと優しい仕草で手を添えて自分に向かせると傷の確認をする。
赤く細い線が左の頬、耳の方から口元にかけて三本ほど付いている。
どうやら鋭い爪で引っかかれたようで、そこから血が垂れたようだ。
「---あー・・・・・・ごめん。そういえば猫獣人だったっけ? 爪かぁ・・・・・・油断してた。精々が赤くなる程度だと・・・ごめんなさい、アーク」
---だから殺気と威圧を抑えて?
そう言ってアークの唇に自分の唇をちゅっとくっつける。
一瞬でハッと殺気と威圧を消したアークが、ほっとして離れようとしたノアの後頭部を押さえつけて深い口付けをし返す。
「---っん、あー、く・・・ちょっ待っ・・・!」
「・・・・・・ックソ、後でお仕置きだからな?」
「・・・・・・ぅ、はぃ・・・・・・」
真っ赤になってぴるぴる震えたノアを心配そうに見守っていたウラノス達が見つめていて、ソレに気付いたノアは『ぴゃっ!!』と声を上げてアークに抱き付いて。
それを見て再びほっこりの空気になった。
しかし、さすがに今の暴力はレインにも見えていたらしく、めちゃくちゃ心配された。
何なら泣かれて大変だった。
「ノアッ! 痛そう、もしかして僕のせい? 庇ってくれたんでしょ? ・・・・・・ごめんねぇ・・・うっ、ひっく・・・ううっ・・・」
「レイン、コワイ思いさせちゃってごめんね。レインが傷付かなくて良かった。これくらい、かすり傷だから気にしないで? ・・・俺は、笑って『ありがとう』って言って貰える方が嬉しいな」
そう微笑んだノアを見て、レインは一生懸命笑顔を作って言った。
「---ありがとう・・・っ」
「うん。じゃあこれでこの件はお終い」
後は番いのアル義兄様に任せてっと。
そそくさとアークの元に戻ると、アークが申し訳無さそうに声をかけてきた。
「・・・・・・ノア」
「ああ、うん。傷はまだこのままで。そろそろ来るでしょ?」
「・・・・・・とっとと直してぇが、悪いな」
ノアだって記録媒体の魔導具を耳に着けてるからさっきのやり取りもバッチリ記録しているが、実際、この現場と傷を第三者にも確認して貰ってしっかり証拠に残しておきたい。
「まあ、意図してやったわけじゃ無いけど、コレって立派な不敬罪だよね? 良い交渉材料になるんじゃない?」
にっこり笑ってそう言えば、ルドヴィカが苦笑しながらツッコんできた。
「やっぱり、行きたくないんじゃん」
「言ったよね、俺。進んで関わりたくは無いって。薬くらいは良いかなとは思うけど」
不意に表情を消したノアを気にもせず、ルドヴィカが続ける。
「ああ・・・言ってたね。アレ、ソッチが本音だったんだ?」
「獣人国の王様やお妃様に思うところは無くもないけど、俺には直接関わっていないし、面倒だなって思うくらい? でも大祖父様の顔も立てないとだし」
スンッとしたまま冷たい声で応えるノアに、パーシヴァル達は呆れた顔になった。
「・・・・・・一国のトップを面倒・・・・・・」
「・・・・・・面倒だけど顔を立ててって・・・さすが竜王陛下のお孫様」
「いや、血は繋がってないけど」
「何だろう・・・そうなんだけど、動じないところとか、割と大ざっぱなトコロとか・・・大物感が凄く似てる気がする」
「容姿は全く正反対だけどな!」
パーシヴァル達の言葉に笑ってツッコむルドヴィカ。
ソレに速攻で同意するパーシヴァル達。
「「ソレだけはほんっと良かった」」
「・・・・・・お前らも充分不敬だろ」
パーシヴァル達やルドヴィカの会話にアークが呆れてツッコんだ頃、漸く近衛騎士団の者達が先ほど別れたばかりの陛下とリュウギ、シスカリオンとリュカリオンと共に現れた。
「---お主ら、無事か?!」
「アレが騒ぎを起こしたと聞いて---」
「・・・・・・無事と言えば無事ですけど・・・」
クリカラとリュウギが慌てて聞けば、ウラノスが半目で応えた。
ソレに怪訝そうに頷くも、例のアホの身柄を問えば・・・。
「ソレで問題のアホは・・・?!」
「ああ・・・そこでホラ、伸びてますよ」
ウラノスが指し示した場所には、先ほどアークの怒りの殺気と威圧で失禁し、泡を吹いて倒れている猫獣人。
---匂いがアレなのでノアが結界で囲っていたのだ。
「勝手に突っかかってきた上に暴言を吐き、ノアに手を上げましたのでアークがキレかけまして・・・」
「何っ?! ノア?!」
「---はぃっ! アーク、ちょっ・・・うぎっ」
アークにクイッと顔を挟まれ、叩かれて赤くなり血を流す頬を曝され、居心地の悪さを感じるノア。
「・・・・・・此奴、如何してくれようかの・・・」
「---ひいっ?!」
ズモモモッという音が聞こえそうなクリカラの威圧をぴるぴるしながら咄嗟に結界で囲うノア。
「ナイス、ノア!!」
死人が出るレベルだったので、周りの者達、全員拍手を送ったのだった。
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