迷い子の月下美人

エウラ

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395 仕方ないので報告に行きます 1

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アルジェントとレインが正式な番いになった後、皆でお茶を飲みながらウラノスが言った。

「いい加減、陛下に謁見しないとねえ・・・」
「そういえば、陛下が良く突撃して来なかったな?」
「そうだよね。何時もなら『アルジェントの番い』の情報を得た時点で大騒ぎだよね」
「珍しい事もあるモンだな」

アークやノア、シルヴァラが竜王陛下に対して散々な言い様だったが、事実その通りなのでウラノスは溜息を吐くだけに留めた。

「---あー、ソレね。ちょうどその時、魔人国から使者が来ててねえ・・・ちょっとバタバタしててそれどころじゃ無かったみたいで・・・」
「魔人国? 何故?」
「・・・・・・うん、えっとね・・・・・・魔王陛下がね」
「---魔王陛下?! どうかしたのか?!」

ウラノスが言い辛そうに口籠もって言うので、ノア達は不穏な空気になった。

しかしウラノスの口から出た言葉は・・・・・・。

「魔王陛下・・・セラフィム陛下が御懐妊あそばされたそうだよ」
「・・・・・・は?」
「---え? まさか5人目?!」
「マジ?!」
「マジです」

不穏とは真逆のおめでたいニュースだった。
だったんだが・・・・・・。

「え? いつの間にたんだ?」
「前に魔人国にいたときはそんな素振り無かったよね?」
「---ああ、アレか!! 第三王子のエクシア殿が竜王国ウチに嫁に来ちゃって寂しくなっちゃったんだな!!」
「魔王陛下、ボロ泣きしてたもんなぁ・・・」
「ソレで宰相ラヴィア殿が張り切って仕込んじゃったのかー」
「きっと連日連夜、抱き潰したんだろうな。あそこは王配の宰相がやり手だから、魔王陛下が潰れてても政策は滞りなく回るだろうし」
「おい、お前ら。レインの前でちょっと下品が過ぎる!」

仕込むだの抱き潰すだの・・・とアルジェントがツッコみ、ハッとして口を噤んだ。

「へへへ、ごめんなさい?」
「悪かったよ、レイン、ごめんな」

ノアとアークが罰が悪そうに謝る。
レインは首を振って笑った。

「えっと、今なら言いたいこと分かるから、大丈夫だよ。ようは、子供を作るのにいっぱい・・・シた・・・って事でしょ? 僕は面識無いから分からないけど、そのお二人が幸せなら良いんじゃない?」
「---っレイン!! なんて素直で可愛い子なんだっ!!」

アルジェントがギュッと抱き締めるとレインは照れくさそうにはにかんだ。
ソレをシルヴァラが呆れた目で見つめる。

「・・・・・・アル兄、大丈夫? どっかネジがトんでる?」
「アル義兄様って、こんな人だったんだねぇ」
「うーん・・・・・・信じらんねえくらいオカシクなってるよな」
「・・・番いの前ではこんなモノだよ。シルヴァラも見つかれば分かるから・・・」
「---想像もつかないな・・・」

ノアもアルジェントの変わり様に若干引いている気がする。
ウラノスの言うことも、アークのことがあるから分かるけども。

「---とまあ、こんな感じでそれどころじゃ無かった上に、ノア達の発情期に加えてレイン達も発情期に入ったから、あちらもさすがに自重したようだよ。でもいい加減、痺れを切らしてるだろうからねえ。突撃される前に行かないと・・・色々とから」
「「「「確かに」」」」

そこら辺を知らないレイン以外の皆が一斉に言う。
陛下でなく、周りが大騒ぎになることは明白である。

「そういうわけで、レインとアルは衣装部屋に移動してこの間作った服から謁見用の正装の試着をしておいで。アンジェリクが手ぐすね引いて待ってるから」
「えっ、いないと思ったらそんなとこに・・・うわあ、レイン、覚悟しておけ。母上に着せ替え人形にされるぞ」
「えっと・・・うん、分かった」

一度、経験したらしいレインは若干引いた顔になった。

・・・ご愁傷様です。

ノアも経験済みなのでうへえっという顔になっていた。

移動した二人を見送ってから、ウラノスはアーク達に声をかけた。

「アーク達も自分達で選んで用意しておいて。私とアルジェント達とアーク達も一緒に行く予定だから。・・・虫除け、排除頼むよ?」
「了解」
「任せて!!」

絶対にレインにイヤな思いはさせぬぞ、と三人はふっふっふっと悪い笑みを溢すのだった。

「---我が身内ながら、怖え・・・」

それを見てシルヴァラは苦笑したのだった。




※お待たせ致しました。ドタバタ始まりますよ。



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