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384 隠れ家は秘密のままで
しおりを挟むレインとアルジェント以外の家の外に出た面々は、ぐるりと周りを見渡してからそれぞれ方向を定めたようだ。
『我は林の中を駆けてくるぞ!』
《・・・ふむ。では我も着いていこうかの。結界魔法はドコでも構わんからな》
『はっはっはっ、着いてこれるかな?!』
《・・・我が転移できることを忘れておらんか?》
『早う来るのだ---っ!!』
《・・・・・・ま、良いか・・・》
いの一番に方角を決めたヴァンが、昨日の浮島の時のように駆け抜けていった。
・・・精霊王を置き去りに。
ワッフワッフと飛び跳ねて行くヴァンに呆れ顔のエレフだが、転移はせずに浮遊して着いていくようだ。
その様子を笑いながら見ていたウラノスは、レーゲンとともに最初に辿り着いた方へと歩いて行った。
「・・・じゃあ、俺達は向こうの草原の方にでも行くか」
「そうだな。何かあるかなぁ?」
「結界魔法のおかげで変なモノはいないと思うが・・・大抵の生物は高度の関係でここには来られないだろう。そうすると、古竜が住み始めた頃に元々存在した生物くらいか?」
ノアにそう返答するアーク。
その返答にノアがわくわくしだした。
「それって、もしかしたら父さんくらい昔から生きているって事? それか、繁殖が同種だけで姿形が昔から変わらない生き物とか?!」
「---ああ、有り得るかもな。て言うか、ちょっと落ち着け、ノア。レインに会ってからテンション高いな・・・?」
「いやだって、こんなの、わくわく以外に何があるのさ?!」
アークが宥めるが、ちっとも大人しくならないノアに苦笑しながらふと思った。
---アレ、もしかして・・・ノアの発情期が近いのかも。
時期になると良く情緒不安定になるが、今回は明るい方にはっちゃけてて気付いていないのかもしれない。
「---帰ったら、暫く籠もるかな」
「え? なんか言った?」
「いや」
そう言いつつ、さり気なくノアの首筋をスンッと嗅ぐとやはり薫りが強くなっている。
番いにしか分からないモノだからレイン達には影響は無いが・・・。
「---うん、早めに戻ろう」
「え? え? 何?」
「いや、早くノアとイチャイチャしたいなーって。レイン達見てて思っただけ」
「ああ・・・確かにアル義兄様の変わり様・・・凄いよね? うんうん。俺達も帰ったらうんとイチャイチャしようね」
「言質とったぞ」
「はいはい、気の済むまでどうぞ」
「言ったな?」
「言った言った」
ノアとしては軽いおふざけで返した言葉だったが、これがこの後、後悔するフラグになるとは思ってもみなかったノアだった。
そうして一通り探索した結果、この浮島には、大人しい気性の小動物くらいしかいなさそうだという結論に達した。
「さすがエレフの結界魔法。害になりそうなモノは徹底的に排除してるみたい」
ノアは安心半分、残念半分といったところか。
これといって真新しいモノは無かったようだ。
「ヴァンは? 楽しかったか?」
『当然! 一周ぐるりと駆け回ってきたぞ!』
アークがルンルンな足取りで帰ってきたヴァンを見て当たり前のように聞くと、ヴァンも当たり前のように返した。
「・・・それ、もはやただのイッヌの散歩」
「放し飼いのイッヌ」
ノアが苦笑してアークが呟いた。
「・・・・・・おーい、アーク。頼むからちゃんと手綱握っときなさいよ?」
ウラノスはこめかみを押さえ、レーゲンも苦笑い。
アルジェントは笑いながら、レインはポカンとして呟いた。
「相変わらず扱いがイッヌ」
「・・・・・・フェンリルなのにイッヌ・・・」
ソコに精霊王のエレフがほのほのとしながら戻ってきた。
《今更だな。こちらも綻びは無かったぞ。我もたまに此処に見廻りにこようかの》
「・・・・・・精霊王の日課の散策コースに組み込まれたな」
「・・・楽しそうですね、精霊王」
ウラノスとレーゲンは、日々の散策にココも加わるのかと、諦めの境地だった。
---どうせ大公家経由で行くんでしょ?
---もう良い加減慣れましょうよ。
そんな心の声が聞こえそうな二人だった。
「さて、レインも準備は良いかな?」
「荷物、持ちました!」
「何、何時でも戻れるから・・・俺が一緒だけど」
「うん、よろしくお願いします、アル」
「じゃあ、ウチに帰ろう」
「---っはい! 帰ろう、お家に・・・」
レインの声に、皆、ほっこりして帰路に着いたのだった。
※やっと、秘密の浮島、終わった・・・。
3連休なのに、この間から体調不良で死んでます。
皆様も、御自愛下さいませ。
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