389 / 534
383 古竜の宝 4
しおりを挟むひとしきり泣いてノアが落ち着いた頃、レインがポツリと言った。
「その箱に刻まれた言葉を・・・ノアの黄金色の翼とノアとアークの名前で思い出したの。ノアの纏ってる魔力がそっくりだし、二人の名前と『ノアズアーク』って似てるでしょ?」
「確かにそうだが・・・・・・え、レインはこの文字が読めるのか?」
レインの言葉にアルジェントがハッとする。
それに他の皆も気付いた。
ココにいる者達は高位貴族と大賢者の養い子だから何も気にせず読めていたが、そもそもこの文字は古代語で、貴族階級か研究者くらいしか読み書きが難しいモノだ。
まさかそれをレインは独学で学んだのか?!
「え? うん。ここには本もたくさんあるから、自分で調べて読み書き出来るようになったよ。ああでも、古代語は何故か最初から読み書き出来たよ? 鶴獣人の里にいたときも読み書き出来て、皆に変な目で見られたような気がする・・・。普通は読めないの?」
「読めないねえ。私達貴族は皆、幼い頃から教わって勉強してたから読み書きが出来るんだよ。それでいくと、レインはとってもお利口さんなんだね。義父様は嬉しいよ!」
不安そうなレインに気付いたウラノスは、そう言ってなんてことないように褒めてあげた。
後で詳しく聞く必要はあるだろうが、それは今ではない。
ワケありなのはとうに分かっている。
ノアの時のように皆で解決していけば良いだけだ。
我々はもう、家族なのだから。
---さて、ノアが贈り物のプレートを再びしまって爆散魔法に護られた倉庫を出る。
「良かったのか? 置いてきて・・・」
「うん。あれはいつか父さんが目覚めたときに、父さんに贈って貰いたいんだ。その為に、二人が用意したモノだから」
そう、ノアはせっかく見つけた両親からの贈り物を、元に戻して置いてきてしまったのだ。
アークが気遣わしげにノアに声をかけると、ノアは振り切れたように微笑んだ。
「---そうか。じゃあ、がんばって古竜を起こす方法を見つけないとな」
「そうだね。これからも俺と旅をしてくれる? アーク」
「愚問だな。死んでも離さねえぜ」
そう言って笑うアークにノアも満面の笑みを返す。
「何だか分からないけど、頑張って?」
レインは分からないまでも、そう応援した。
その様子にほっこりしたアークとノア。
「・・・ふはっ! うん、レインはそのまま大きくなれ」
「可愛いねえ」
それに反応したアルジェントが牙を剥く。
「やらんぞ!」
「はいはい、威嚇しないの。アルはレインと持ち帰る荷物を纏めてね。私達はその間、家の周囲をちょっと見てくるから」
ウラノスがアルジェントを苦笑しながら窘めて、この後の予定を告げる。
「「俺達も行く」」
と、ノアとアーク。
『我は腹ごなしに駆けてこよう!』
《ふむ。我は結界魔法とかの確認をしてこようかの》
ヴァンとエレフも返事を返すと、ウラノスはうんうんと頷いた。
「じゃあ、各自別行動で、一時間後にここに戻ること。良いね?」
「オッケー」「了解」《分かった》『良いぞ』
めいめいに返事をして散っていく皆を見送りながら、レインはアルジェントとともに自分の私室に向かうのであった。
※遅くなりました。短めですが、一旦これで。
185
お気に入りに追加
7,352
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる