迷い子の月下美人

エウラ

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383 古竜の宝 4

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ひとしきり泣いてノアが落ち着いた頃、レインがポツリと言った。

「その箱に刻まれた言葉を・・・ノアの黄金色の翼とノアとアークの名前で思い出したの。ノアの纏ってる魔力がそっくりだし、二人の名前と『ノアズアーク』って似てるでしょ?」
「確かにそうだが・・・・・・え、レインはこの文字が読めるのか?」

レインの言葉にアルジェントがハッとする。

それに他の皆も気付いた。

ココにいる者達は高位貴族と大賢者の養い子だから何も気にせず読めていたが、そもそもこの文字は古代語で、貴族階級か研究者くらいしか読み書きが難しいモノだ。

まさかそれをレインは独学で学んだのか?!

「え? うん。ここには本もたくさんあるから、自分で調べて読み書き出来るようになったよ。ああでも、古代語は何故か読み書き出来たよ? 鶴獣人の里にいたときも読み書き出来て、皆に変な目で見られたような気がする・・・。普通は読めないの?」
「読めないねえ。私達貴族は皆、幼い頃から教わって勉強してたから読み書きが出来るんだよ。それでいくと、レインはとってもお利口さんなんだね。義父様は嬉しいよ!」

不安そうなレインに気付いたウラノスは、そう言ってなんてことないように褒めてあげた。

後で詳しく聞く必要はあるだろうが、それは今ではない。
ワケありなのはとうに分かっている。
ノアの時のように皆で解決していけば良いだけだ。
我々はもう、家族なのだから。


---さて、ノアが贈り物のプレートを再びしまって爆散魔法に護られた倉庫を出る。

「良かったのか? 置いてきて・・・」
「うん。あれはいつか父さんリンデンが目覚めたときに、父さんに贈って貰いたいんだ。その為に、二人が用意したモノだから」

そう、ノアはせっかく見つけた両親からの贈り物を、元に戻して置いてきてしまったのだ。
アークが気遣わしげにノアに声をかけると、ノアは振り切れたように微笑んだ。

「---そうか。じゃあ、がんばって古竜リンデンを起こす方法を見つけないとな」
「そうだね。これからも俺と旅をしてくれる? アーク」
「愚問だな。死んでも離さねえぜ」

そう言って笑うアークにノアも満面の笑みを返す。

「何だか分からないけど、頑張って?」

レインは分からないまでも、そう応援した。
その様子にほっこりしたアークとノア。

「・・・ふはっ! うん、レインはそのまま大きくなれ」
「可愛いねえ」

それに反応したアルジェントが牙を剥く。

「やらんぞ!」
「はいはい、威嚇しないの。アルはレインと持ち帰る荷物を纏めてね。私達はその間、家の周囲をちょっと見てくるから」

ウラノスがアルジェントを苦笑しながら窘めて、この後の予定を告げる。

「「俺達も行く」」

と、ノアとアーク。

『我は腹ごなしに駆けてこよう!』
《ふむ。我は結界魔法とかの確認をしてこようかの》

ヴァンとエレフも返事を返すと、ウラノスはうんうんと頷いた。

「じゃあ、各自別行動で、一時間後にここに戻ること。良いね?」
「オッケー」「了解」《分かった》『良いぞ』

めいめいに返事をして散っていく皆を見送りながら、レインはアルジェントとともに自分の私室に向かうのであった。





※遅くなりました。短めですが、一旦これで。


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