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374 レインの恩返し 1
しおりを挟む無事にお互い番い認定した二人だが、おそらくレインは成人前だろうということで、まだ正式に番うのはお預けとなった。
「そもそも、冒険者ギルドで登録をして確認しようという話でここに連れて来たわけで・・・」
「そうそう。そうしたらアル義兄様の番いだって、もう驚いた。凄い偶然だよね。でもレインが番いで良かった」
アークとノアがそう言った。
今いるここはサロンで、ウラノスを始めとした大公家全員が集まっている。
「じゃあ改めて、自己紹介だね。最初に、ここは竜王国だよ。知ってる?」
「はい。翔んでいる時に見かけました。僕はたまに地上に降りて服とか雑貨とか買うのに街に行くので、噂話くらいですが・・・」
「そうか。ああ、家族になるのだから普通に話してくれると嬉しいな。ノアちゃんみたいにね」
そう言ってにっこり笑うウラノスに、戸惑いつつも頷くレイン。
「うん、じゃあ次ね。この国には竜王陛下がいて、竜王陛下には一人弟がいてね、その弟が私の父親なんだ」
「・・・うん・・・・・・?」
「つまり、ウチは竜王陛下の身内・・・親戚で準王族なんだよね」
「・・・・・・へ?」
聞こえた内容をゆっくりと理解したレインは、ポカンとした。
「・・・・・・王様の・・・・・・親戚?」
---ソレってめちゃくちゃエラい人なんじゃ・・・?!
詳しい知識は誰も教えてはくれなかったので自分で見聞きした事しか分からないとしても、さすがにレインもソレがどういう事かくらいは分かる。
「そうだね。だからアルジェント達は王子達とははとこになるね」
「---はとこ・・・」
「大丈夫だよ。皆、気さくだから。俺も竜王陛下の事、大祖父様って呼んでるし」
「・・・・・・大じいさま・・・・・・」
「今度、会いに行こうね」
「・・・・・・う、はい・・・」
心ここにあらず、みたいな顔でぼーっと返事を返すレインに、皆ほっこりしたのだった。
「はい、ではザッと自己紹介の続き! ヴァルハラ大公家の現当主、ウラノスです。義父様って呼んでね」
「ウラノスの番いのアンジェリクだよ。義母様って呼んでね!」
「改めて、アルジェントだ。この家の次期当主予定でレインの番いだよ」
「はいはい! 次男のシルヴァラでっす! まだ独身だよ。シル義兄様で良いよ!」
「すでに知っているだろうが三男で冒険者のアルカンシエル。アークだ」
「ノア。アークの番い。薬師で錬金術師で冒険者だよ。美味しいものたくさん食べて元気になろうね」
そう言って皆で笑った。
「レインはもう家族なんだから、これで寂しくない。ね?」
「・・・・・・ん、嬉しいな。本当に、ありがとう」
涙を浮かべて、心からのお礼を言った。
暫く歓談していると、レインが何か言いたげな顔をした。
アルジェントが気付いて声をかける。
「どうした? 遠慮はいらないよ、何でも言ってごらん?」
「・・・・・・うん、あの・・・僕、浮島に置いてかれてからずっと、浮島の一つに住んでて・・・」
「---うん・・・」
レインの言葉にアルジェントが一瞬、剣呑な顔になった。
ソレは皆も同じだ。
すぐに表情から消したが。
レインは置いて行かれた・・・捨てられた事を言いづらいだろうに、何か言いたいことがあるようだった。
「そこにね、ちょっとだけど、僕の荷物が置いてあって・・・大したものじゃ無い・・・んだけど」
「そんなことはない。レインのモノに要らないモノも価値のないモノもないよ」
「・・・ありがとう、アル。・・・・・・うん、それで、せめて荷物を取りに行きたいなって・・・」
それを聞いてアークとノアもハッとした。
「・・・そうか。そうだよな。俺達も気が付かなくて悪かった。でももう遅いから明日にでも行こう。場所は分かるのか?」
「うん、分かるよ。今日もね、島に戻る途中だったんだけど・・・あの鷲獣人の人に・・・襲われて・・・」
思い出したのかブルブル震えだしたレインに、その状況を想像したのかアルジェントは怒りの形相を浮かべた。
「---アル」
「・・・・・・っすみません」
ウラノスにそっと声をかけられて瞬時に怒りを消す。
それに気付かないレインはそのまま続けた。
「その島はね、どういう訳か、誰も見つけられないんだって。僕だけが行ける秘密の島だからそこまで逃げれば助かると思って、頑張ったんだけど・・・後はアークとノアが見たとおりで・・・」
そこでアーク達は引っかかった。
レインの話す秘密の島って・・・。
「---誰にも見つけられない・・・?」
「アーク、ソレって・・・・・・」
「・・・・・・まさか・・・・・・」
例の、都市伝説の島---?!
※大変お待たせしました。
感想欄で明日か明後日には、と返信しましたが、書き上がったので、いっきまーす!
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