迷い子の月下美人

エウラ

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368 ハイパーグレートなスペシャルポーション

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青姦モドキで盛りに盛りまくったアークに抱き潰されたノアは、次の日、漸く試薬の調合に取りかかった。

昨夜は『今日は無しだからね!!』とアークに釘を刺し、アークも自分に非があったのは認めているので大人しく抱き締めるだけに留めた。

そうしてごく普通の朝を迎えたノアは、そりゃあもう、ウッキウキ。

朝食も上の空で、アークの給餌でいつの間にか食べ終わっていた。

「じゃあ、暫く作業部屋に籠もるね!」

そう言って満面の笑みで部屋の奥に消えていったノア。

「・・・・・・クッ・・・。調薬に負けた・・・・・・」

ガックリと肩を落としてぼそっと呟くアークに気付かないほど、ノアの気持ちは完全に調薬に向いていた。

それを見ていたヴァンは苦笑交じりで言った。

『諦めろ。ああなったら、気の済むまでトコトンやるぞ。・・・思えばラグナロクも薬や錬金の事となると周りが見えなくなるほど没頭しておった。ノアに彼奴の血は一滴も入っておらんのに、そういうところはやはり育ての親に似るんだな・・・』
「確かにな・・・。ただ、寝食を忘れるといけないから時々様子を見るしかないが・・・」

ノアの性格を把握しているアークは、マメに声をかけようと思ったのだった。


「---さて、ノアが籠もっちまったから、少し周りを探索するかな・・・」
『我はノアの側で見張りをしている』
「おう、頼む。少し翔んでくるわ」

ヴァンがテントの側で寝転がったのを見て、アークは翼を顕現して高く舞い上がった。

そのまま上空で周りをぐるりと見渡す。

「この辺りには浮島は無さそうだな」

見える範囲には綺麗な青空のみ。
空の魔獣も見当たらない。

「うーん・・・・・・暇だ。俺って今まで何して時間潰してたんだっけ・・・?」

思えばノアと出逢って番いになってからは、息つく暇も無いほど色んな出来事があって暇だなんて思うことも無かった気がする。

「---あー、ノアといるときは、暇さえ有れば抱いてたからなあ・・・。え、俺ってもしかして、無趣味・・・?」

さすがにセックスが趣味なんて言えないぜ。

思わずカラ笑いした。

「あー、もう・・・考えたらノアに会いたくなった。・・・・・・もう俺、ノア無しじゃ生きていけそうもない・・・」

重いかなあ?
でもたぶん、竜人は大概重いヤツばかりだと思う。
・・・ノアもきっとそういうところがあるし、俺の重い愛も受け止めてくれてる・・・はず。

「ええい! もう良い。ノアの側にいる!」

頭をブンブン振ってテントの側に降り立つと、ヴァンにひと声かけてテントに入っていった。

「ノア---!! 俺の事も構ってくれ---!!」

作業部屋をノックして扉の前で声をかけた。
台詞が子供染みてるなんてツッコミは無しで。

「---ちょうど良いところに! アーク、この前の薬草で何種類か調合の比率を変えて調合してみたんだ。見てくれる?!」
「お、おう。・・・・・・早いな---」

どれ・・・・・・と鑑定したアークは、出て来た鑑定結果に暫し固まった。

「・・・・・・アーク?」
「---いや、スマン。驚いちまって・・・なんて言うか・・・凄いな」
「そう?! やっぱり凄いよね! 特別な感じするよね!」

そう言って笑ったノアにアークはツッコミが出来なかった。

【ポーション(初級)
品質:HGSハイパーグレートスペシャル
効果:通常のポーションの遥か上をいくもの凄い効果がある。一滴垂らすか飲むだけで瞬時に上級並みの効果あり。そこそこ重い病気にも効果あり。
製作者:ノア】

「・・・・・・」

側で喜ぶノアには悪いが、思わず眉間に皺が寄ったアーク。

---いや何なの、この品質の欄・・・。

「・・・・・・いい加減なのか真面目なのか分かんねえセンスだ・・・」

こめかみを押さえながら残りのポーション類も鑑定していく。

アークの眉間の皺がグランドキャニオン並みに深くなって、鑑定を終えたアークはフーッと深い溜息を吐く。

---どれもこれもHGS・・・・・・。

「---ノア、これは市場には出せないと思う。効果が有り過ぎて奪い合いとか騒動のタネになると思うから・・・せっかく出来上がったのに悪いが・・・」

申し訳なさそうに言うアークに、ノアはけろっと言った。

「もちろん、全然オッケーだよ。コレは自分の自己満足のため、研究のためだから。元からそういうつもりは無かったよ。でもありがとう。心配してくれたんだよね?」
「---ああ。分かってくれてたなら良いんだ」

そう言って二人、ぎゅっと抱き合った。

「一応、一通り試して気が済んだからもう良いよ」
「え、だってまだ少ししか・・・・・・」

アークが驚いて思わずノアを引き剥がして顔を覗き込んだ。

「うん、でも良いんだ。・・・・・・さっき一人で調薬しててさ、何か急に、寂しくなっちゃって・・・。やっぱりアークが側にいないとダメだなあって、思って・・・」

---ああ、俺と同じだ。

「俺も、ノアに会いたくて戻ってきたんだ。もう、ノア無しじゃダメなんだ」
「・・・ふふふ、俺も、アークがいないと、生きていけない」

そう言って再び抱き合って作業部屋を出ると、そのまま寝室に向かって、お互い、愛を確かめ合ったのだった・・・。











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