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346 予想外の出会い(sideグラウクス)
しおりを挟む俺・グラウクスは白梟の鳥獣人だ。
本来ならば獣人族が多く住む獣人国に住むのだろうが、如何せん、俺の親がちょっと特殊だった。
父親は梟で当時Bランクの冒険者、母親は白梟で遺跡調査をする学者だった。
母親が調査のためにアッチの国、コッチの国と移動するたびに冒険者である父親が一緒に移動し、調査にも護衛代わりに着いて行った。
調査と研究で結構長い期間、同じ街に留まる事も多く、そうして転々と移動する中で母親が俺を身籠もった。
それで漸く腰を落ち着けたのがここ魔人国だったわけだ。
ご近所と協力しながら俺を産み、子育てをする母親。
その中で同じ頃に生まれたゾアが、いわゆる幼馴染みになったわけだ。
物心ついた時にはすでに淡い恋心を抱いていたと思う。
俺には無い逞しい身体。
さっぱりした性格。
何時しか恋愛対象になっていた。
・・・だが、ゾアはあっと言う間に運命を見つけた。
魔人族にも番いの本能は少なからずあるらしく、あれよあれよという間にその人と婚姻してしまった。
そして双子の息子を授かった。
・・・羨ましかったが、既婚者となったゾアに横恋慕はしたくないと、もう俺は独りでいいと、そうそうに恋心を消して、ただの幼馴染みとして付き合いを続けた。
冒険者PTも組んで、色んな迷宮に潜り、PTランクもAになった頃、とある誘拐事件の被害者の捜索の依頼を受けた。
「---内密に頼む。リンデンの番いが攫われた。もうじき臨月なんだ。何とか探し出して救出して欲しい」
そうギルマスに頼まれた。
---リンデン・・・。
Sランクの冒険者で竜人だったよな?
その番いを攫うって・・・。
「一筋縄ではいかんかもしれんな」
ゾアが懸念した通り、俺達が駆け付けたときには、すでに儚くなっていた。
---同じように番いを持つゾアにとっても辛い事だった。
アイツは今でも助けられなかった罪悪感を抱いていたはず・・・。
ソレがここ最近、妙に張り切っていて機嫌が良いとは思っていたが・・・。
「まさか、子が生きていたとは・・・」
何という僥倖!!
憂いているゾアも色気があって最高だが、やはりゾアはこうでなきゃ。
「通りで見た気がしたわけだ。言われてみればあの捜索の時に見せられた姿絵にそっくりだ。耳が兎じゃ無いからぱっと見、分からなかったが・・・そうか、そうか・・・良かったなぁ、ゾア」
そう言って思わずぽろぽろ泣いてしまった。
ノア達が焦っていたが、すまん。
俺は愛しい男の憂いが晴れて、猛烈に嬉しいんだ。
「お前は、いい歳して子供みたいだなぁ」
「煩い! う、嬉しいときはっ泣くもんだ!」
「「年寄りは涙腺も弛むよな・・・」」
「「関係ない!!」」
息ピッタリ、さすが幼馴染み。
そんなことを言いながらギギ達が笑った。
俺も嬉しいよ。
ここで出会えたのは必然だったんだろうな。
※短いですが、今日はここまで。
※見直したら、字下げ機能で最初、字下げ状態でしたので直しました。
(うっかりミスった模様)
最初にグラウクスの父親を魔人族にしてたため、始めの頃の文に父親の母国とか縁戚の協力とか書いてありましたが修正しました。
父親も梟の鳥獣人です。
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