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345 秘めた想いと好奇心
しおりを挟む引き摺られて家の中に連れ込まれたあと、グラウクスは食堂で朝食をご馳走になっていた。
「やっぱり、いつ来てもここの飯は美味いなあ!」
ニコニコしながら口いっぱいに頬張っている。
ソレを満更でもない顔で見るゾア。
「・・・褒めてくれるのは嬉しいが、毎回集りに来るな。ウチは飯屋じゃ無いんだ」
「だってさー、いっつも独りで飯食うの味気ないんだよ? 適当になっちまうし」
「独りがイヤなら誰か嫁か旦那を貰えっていっつも言ってんだろうが。ソレか飯食うくらいの付き合いのヤツ作れって」
口を尖らせてそう言うグラウクスに溜息を吐きながら応えるゾア。
しかしグラウクスは眉間に皺を寄せて呟いた。
「俺みたいなのに付き合えるヤツなんてゾアくらいなもんだよ。幼馴染みで気の置けない仲で、文句を言いながらも付き合ってくれる・・・」
そう言うグラウクスの顔は何処となく拗ねているようだった。
その様子を食堂入り口からそっと見守っていたギギルル兄弟。
一緒に様子を窺っていたノアとアークは、微妙な空気に気付いた。
「・・・・・・なぁ、グラウクスって・・・・・・」
「・・・うん・・・。たぶんそうだと思う」
アークとノアがぽそぽそ話していると、ギギルルがちょっと困った顔をした。
「・・・・・・あー、気付くよな?」
「やっぱりそう思うよね」
「・・・・・・て事は、今に始まった事じゃ無いんだ?」
「もうずっと、お袋が儚くなってからかれこれ100年くらいはやってるな・・・」
「---筋金入りだな・・・」
「でもまあ・・・親父はお袋一筋だからなぁ・・・」
「グラウクスも分かっててやってんだよ」
「お互い、一途なんだね」
---そう。
ノアでも気付くくらい割とあからさまだった。
グラウクスはゾアに好意を持ってる。
好意というか、たぶん愛してる。
そしてソレをゾアも気付いているが、ワザとはぐらかしているのだろう。
その辺りは大人の事情ってヤツなのか、幼馴染み故の何かがあるのか・・・。
「まあ、俺等は見守るだけさ」
「別にこのままだろうがくっつこうが、本人次第だからな。外野がとやかく言うことじゃ無い」
「・・・・・・そうだね。俺達も知らんぷりしよう」
ギギ達の言葉にもノア達も頷いた。
あれからグラウクスは細い体に見合わないくらいの量の朝食を平らげ、食後のデザートも要求していた。
「・・・・・・お前な、毎回思うけど何処にそんなに入るんだよ?」
「えー? 俺の場合、魔力消費すると腹が減るんだぜ?」
「・・・・・・燃費悪いんだな?」
「煩い」
「ノアも腹が減るのか?」
「---え? ・・・・・・ううん? 普通?」
入り口に寄りかかっていたノアは、急に水を向けられてびっくりしたあと、少し考えた。
お腹が空くことは無いかな?
強いて言えば・・・。
「発情期中はお腹空くよね? アーク?」
「「「ぶっ!!」」」
ノアの発言にアークとギギ達が噴いた。
「・・・・・・お前、神経細そうな見た目の癖にそういうとこおおざっぱというか、鈍いよなあ・・・」
「?」
キョトンとしているノアを見て、グラウクスは既視感を覚えた。
「・・・・・・ノア・・・誰かに似てる・・・?」
何処か引っかかっていると、ゾアが答えをくれた。
「グラウクス、ノアは『アリテシア』の忘れ形見だ」
「---っはあ?!」
思わず叫んでノアを凝視した。
ノアはその声に久々にビクッとして、アークも久々にグラウクスに威圧を飛ばした。
ソレはさすが年の功というべきか、グラウクスにはあまり効かなかったようだが・・・。
「『アリテシア』って・・・・・・約200年前の・・・アレ?! え?! 息子?!」
「---はい、息子です」
「マジ?! ソレって凄え事なんじゃ!!」
「だから煩いって言ってんだろうが!!」
ゾアに思いっきり頭を叩かれ、テーブルにゴンッと顔をぶつけるグラウクスだった。
「・・・・・・こういうところとかが変人って言われるゆえんなのかな・・・?」
好奇心は恋心を上回るようである・・・。
※遅くなりました。
暫くグラウクスのターン。
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