348 / 538
344 ゾアの幼馴染み襲来
しおりを挟むソレから数日、ノア達が相変わらずギルファームに御世話になっていると、ゾアの元に急な来客があった。
「おーい! ゾアいるか---?!」
農園入り口に立つ、ゾアに負けず劣らずの声を張り上げる魔導師っぽい人。
ソコに母屋から声を張り上げながらゾアがのっしのっしとやって来た。
「煩いグラウ!! 怒鳴らずとも聞こえてるわ!」
「・・・年寄りは耳が遠くていけねえなぁ」
「いっつも怒鳴ってるよな」
「「聞こえてるわ!!」」
ぽそっと呟いたギギルルの声を耳ざとく拾う二人にうんざりした顔のギギルル兄弟。
「「うへぇ・・・地獄耳・・・」」
「「ソレも聞こえてんぞ!!」」
朝早くから大騒ぎだったが、従業員達はこれが日常なのか平然として笑っていた。
「もう少し声を抑えろ。幾ら街外れだと言っても近所迷惑だぞ。客人もいるんだ」
「・・・おう、悪い。・・・・・・てか、客? こんな農園に? ・・・・・・ん?」
ゾアに言われてバツが悪そうなグラウと呼ばれたお客(仮)が足元の気配に気付いて下を見ると、わらわらと小っさい猫獣人が7人・・・。
つぶらな瞳で興味津々に見つめてきた。
「・・・・・・お前、いつの間にじぃじになった」
「俺の孫じゃねえよ!」
「はいはい、この子達の親はこちらでーす!」
「ウチの客人でーす!」
二人の掛け合いにツッコんできたギギルル兄弟がノアとアークとヴァンを紹介した。
・・・・・・うん。一応、親で間違いでは無いな。
「・・・・・・初めまして、アルカンシエルと言う」
「・・・・・・ノア、です」
『ヴァンでーす』
ヴァンはギギ達に合わせてノリノリだった。
「・・・・・・もしかして、Sランク冒険者の? この前の『箱庭の迷宮』騒ぎの当事者?」
「・・・そうだな」
「え、そんなに有名なの?」
アークはイヤそうな顔をして、ノアはキョトンとした。
「ああ、有名なんてもんじゃ・・・!! おいゾア!! 聞いてないぞ!!」
「・・・・・・そんなの、お前には言ってないんだから当たり前だろうが」
「何で教えない?!」
「---ああもう!! お前がそうやって煩いからだろうが! とにかく一旦、家ん中入れや!」
散々騒いでゾアに引き摺られるように連れて行かれた客(仮)を見送って、アークはぽつんと言った。
「・・・・・・結局、誰だったんだ?」
「ねー?」
『・・・・・・朝早くから煩いヤツだったの』
「テンションたっか・・・」
「・・・・・・類とも?」
「確かに似てたな」
ノア達がぽそぽそ話していると、ギギルル兄弟がそっと教えてくれた。
「あの人はね、白梟の獣人で親父のかつての冒険者PT仲間で親父と一緒に育った幼馴染みなんだよ」
「だから何となく似てるでしょ」
「・・・・・・確かに」
デカい声とか仕草とか・・・。
「ああ見えても知識欲が凄くて割と有名な学者なんだよ?」
「古代遺跡とか迷宮とか遺物とか大好物でさあ・・・」
「俺達も良く集られたもんだよ。興味が湧くとしつこいのなんのって・・・」
「ちなみに名前はグラウクスって言う」
「---ああ、聞いたことがあるな。凄いけど変人だって・・・」
名前を聞いてアークが記憶を掘り起こしている。
「・・・・・・変人」
「そうらしいな」
「・・・・・・ラグ爺さんよりも?」
「いや、大賢者が変人かどうかは俺達、知らんから何とも・・・・・・」
「白梟・・・・・・羽根とかどうしてるんだろ」
「普段は背中に仕舞ってるらしいけど」
「見てみたい!」
「・・・・・・」
目がキラッキラになったノアに何となく変人の共通点を見た気がするアークとギギ達だった。
---ああ、突き詰めればノアもソッチの部類だった・・・・・・。
この後、何か騒動が起きそうだと、はあ---っと溜息を吐く三人と一頭だった。
※遅くなりました。
やっと身内が快復しました。ガンバって色々更新したいです。
224
お気に入りに追加
7,354
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中


新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる