迷い子の月下美人

エウラ

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342 ギルファーム改造計画 5

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あの後、終始和やかに夕御飯も済んで、ゾアと一緒に談話室に移動したノアとアーク。
ギギルルは一旦部屋に戻ってシャワーを浴びてから来ることになっている。

移動中も相変わらず猫獣人ゴーレム7人はゾアによじ登ったまま。


夕御飯の準備の時にゾアによじ登った7人は、夕御飯が始まると頭に一人と両肩に二人ずつ、膝に二人のったまま大人しくジッとしていた。

ガッチリ体型のゾアだから肩にのられてもスペースがあるが、ノアだったら一人ずつだろう。

暫く固まっていたゾアだったが、7人が思いの外大人しくしっかりくっついていたので、ホッとして漸く動き出した。
御飯を食べているときも慣れたのか、気にはしたが普通にもりもり食べていた。

「すっかり懐かれたな、じぃじ」
「いやあ、さすがお爺ちゃん!」
「誰がジジイだ!! まだお前らの嫁か婿すら見とらんのにジジイ扱いすんなや!!」
「いや、ジジイじゃ無くてじぃじ・・・」
「お爺ちゃんだってば」

そんな大声の掛け合いにも動じない7人にゾアは終始デレっぱなしだった。


談話室に着くと、おもむろにテーブルに魔導具を広げ始めたノア。
アークもノアが何か作ってるとは思っていたが、内容は知らないので興味津々だった。

少しして着替えて来たギギ達が席に着いたので、ノアがそれぞれの魔導具の説明を始めた。

「あの後ね、魔導具を作ってたんだけど。ほら、ママンゴのジェラート、美味しいって言ってたでしょ? 傷んだママンゴがもったいないって。だから簡単に作れる魔導具を錬成しました。ここに果物を入れてこの釦を押すだけで、あら不思議! こっちからジェラートが出て来ます。種や皮は勝手にこっちに選り分けられて出て来ます! どう? 便利でしょう?」

実際にママンゴをツッコんで作って見せた。
同じ魔導具が幾つかあって、色んな果物で作れるそうだ。

「コッチはポーチとかショルダーバッグ、リュックタイプのマジックバッグで、容量は言った順に多くなってる。ポーチはこの家くらいでショルダーは従業員の寮くらい。リュックはその二つを合わせたくらいかな? 時間停止付きだよ」

満面の笑みでドヤ顔のノアに笑いを堪えつつ。

「・・・どっかの実演店頭販売みたいだな」
「それな」
「・・・でも確かに便利だ。ジェラートの魔導具は操作すれば誰でも作れるし、マジックバッグは高いから欲しくても数も容量も足らなくてな」

ギギルルとゾアはそんな話をしていた。
実際、喉から手が出るほど欲しい。

「もちろん全部盗まれないように対策済みだし、俺以外は作れないと思うよ。ジェラートはここの特産品にして欲しいしね」

確かにノアほどの錬金術師はいないだろう。
コレに幾らかかったのか恐ろしい・・・。

果たして購入可能なのか?
ゾアは知らず冷や汗をかいた。

「あ、コレはギギルルのお父さんへのお土産的なモノだからお金は要らないです。宿代とか農作業体験の対価?」
「「「・・・ッマジ?!」」」

そりゃ助かるけども対価が見合ってないと思うんだが、と困惑気味の親子にノアは真面目な顔で言い切った。

「マジ。ソレに死蔵品ばかりだから元手はほとんどタダだし」

そしてその後の言葉にギギ達は再び唖然。

「あと、その7人も農園の作業補助用のゴーレムなんで。可愛いけど!」
「はああ?! 小っさいけど?! 癒しのマスコット的なヤツじゃねえの?!」
「可愛いけど、可愛いけどー! コイツらに一体何させんだよ?!」
「ん? 普通に収穫とか害獣討伐とか?」

何か問題が?みたいに首を傾げるノアに倣って首を傾げる7人の猫獣人ゴーレム達。

「「「ぐはっ・・・・・・!!」」」
「・・・・・・ノア、その辺で止めといてやれ」
「? はーい」

膝から崩れ落ちたギギ達を、そういえば自分もさっきやったなあ、と他人事のように思ったノアだった。

「まあ、その辺は明日、実演で!」
「・・・・・・うん、まあいいや。ありがとう、ノア」
「どういたしまして。後、こっちが本題」
「・・・・・・ゴーレム達コッチはついでなのか・・・」

若干遠い目のギギ達に渡したモノは・・・。

「・・・コレって」
「うん、携帯の通信魔導具。魔人国で竜王国とのやり取りに使ったヤツね。コレならギギ達とゾアも何時でも連絡取れるでしょ? 何なら俺達ともやり取り出来るしね」
「---良いのか?」
「もちろん。やっぱり、家族同士、気軽に連絡取れたほうが良いと思うんだ。ソレに大切な親友達だもん。もちろん贈り物だから貰ってくれるよね?」
「「「---ありがとう!!」」」

くしゃっとちょっと泣き笑いな顔で三人はお礼を言った。

「その言葉だけで俺も嬉しいんだ」

そう言ってノアは綺麗な笑顔を見せた。
アークも微笑んでいた。

「お前らだからな。ノアの好意だ。遠慮なく受け取ってくれ」
「ノア、また後で色々と農園案内するからな」
「美味しい野菜もたっぷりあげるからね!」
「うん、期待してる」


・・・・・・その頃ヴァンは、仔狼姿で満腹になってずっとアークの腕の中で寝ていた。

『・・・・・・もう、お腹いっぱい・・・・・・』

夢の中でも食いしん坊だった。





※遅くなりました。




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