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340 ギルファーム改造計画 3
しおりを挟むさて、7人のゴーレムは一旦置いとこう。
一人がけのソファにわらわらと座って大人しくしている。
可愛い。
ノアがほっこりしているとアークが苦笑していた。
「ノア、このちび共どうするんだ? いや、めっちゃ可愛いんだけどよ」
なんて言うか、作り手に似るっていうのか・・・表情はあまり動かないもんで、ノアの子供時代ってこんな感じなのかなと想像してしまったアーク。
いやソレよりも、もしノアが子供を産んだらこんな感じなんじゃ無いかと思わず妄想してしまった。
そんなこととは露知らず、ノアはニコニコで応えた。
「でしょー? 可愛いよねぇ! こんな子達なら何人でも欲しい!!」
「えっ」
「え?」
お互い、キョトンと見合わせた。
「・・・ノアは、子供、欲しいか?」
アークは思わず尋ねてしまった。
天涯孤独だったノアは家族を欲していた。
もしかしたら、早く子供が欲しいと思っているんじゃ無いかと・・・。
だが、ノアから返ってきた言葉は思っていたのとは違った。
「え? うーん、今すぐは別に良いかな? アークと色々出かけたいし、まだまだ二人でいちゃいちゃしたいよ? ソレに、長命種って、子供出来にくいんでしょ? 欲しいと思って出来るもんじゃ無いだろうし・・・あっ、でもアークが欲しいなら頑張るよ!」
「---っふはっ! いや、俺も当分、ノアと二人っきりが良い。・・・別にいっつもいちゃいちゃ頑張っていいんだぜ?」
気が抜けたアークが笑ってそう言うと、ノアは真っ赤になって言い返した。
「べっ別に! エッチいな事を張り切るって事じゃ・・・っ!!」
「俺は何時でも大歓迎だぜ」
「---もう!! 錬成に集中できないから、この子達連れてちょっと農園に行ってて! 適当に遊んでて!」
「・・・良いけど、コイツら名前とかやれることとかは・・・?」
アークが戸惑う。
いきなり7人の子持ちになった気分だ。
「ああ、はい、コレが取説ね。名前は魔石の色ごとになってるから。出来ることは・・・後からゾア達に要望を聞いて付与するから、今はただの幼児と変わらない」
「・・・・・・適当に遊ばせておけば良いのか?」
「そうだね。悪戯はしないと思うけど・・・。ねえ皆、僕とアークの声を記憶して、言うこと聞いてね」
『あい』
『りょーかい』
「うし、じゃあいくぞ!」
『おー!』
ノアの言葉に反応して返事を返す。
アークの声にも応えてアークの後ろをてちてちと並んで歩いて行く後ろ姿に、ノアが再びくずおれていた。
「---可愛いが過ぎる・・・・・・」
結局暫く立ち直れないノアだった。
「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」
『あい』
名前を呼ばれた順に手を上げて、最後にリーダー格のルージュが代表して返事をしたようだ。
---きっちりしてるな。
テントの外に出て、くっついてきた猫獣人モドキのゴーレムを見る。
見事に一列に整列している。
アークは笑いながら7人に声をかけた。
「お前らのママから、好きに遊んで良いとお許しが出ているから、俺の目の届く範囲で自由に動いて良いぞ。ただし、周りをよく見て他の人の邪魔にならないように気を付けるように!」
『あい』
「ヨシ。分かったら散開!」
アークの合図でわらわらとかけだしていくちんまい7人に気付いたギギルル兄弟は、ポカンと口を開けていた。
「---アーク、いつの間に七つ子を拵えたんだ?!」
「ぶはっ!! んな訳ねーだろ! ゴーレムだよ、ノアの錬成したゴーレム! ちょっと好きに遊ばせるけど、邪魔はしないように言ってあるから心配ないと思う」
「---アレでゴーレム?!」
「ゴーレムって迷宮とかに良くいる、岩みたいな泥みたいな人形っぽいヤツだろ? どう見ても猫獣人・・・・・・いや、めちゃくちゃ小っさいけどよ」
「それな。まあ、ノアだから」
「「ああ。ノアだったな・・・・・・」」
三人は深く考えることを止めた。
その間もてちてちと動き回る7人を従業員が見つけてギョッとしたりほっこりしている。
事務所で書類仕事をしているゾアはまだ気付いていないようだった。
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