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339 ギルファーム改造計画 2
しおりを挟む「何、作ろっかな・・・」
テント内の作業部屋に籠もったノアは、まず最初に農園の収穫の補助になるような魔導具を錬成しようとしていた。
午前中に作業を手伝って感じたのは、やはり人手不足。
ソレと重労働な作業が多いこと。
従業員は魔人族の中でも体格がいい人が多かったけど、毎日あの収穫量では体力が要る。
しかし自分のように魔法を使うという事も難しいだろう。
繊細な、しかもかなりの魔力量を持つ者が珍しいというのも、今までのアーク達の反応から気付いていたのでそんな作業はさせられない。
だからそれを補える魔導具が必要だ。
そしてそれは農園の従業員ならば誰でも使えるもので無くてはいけない。
「うーん・・・・・・そうすると、今の手持ちの素材で出来る魔導具となると・・・うん、アレかな? 今まで必要ないと思って錬成したことはないんだけど、たぶん大丈夫だろう」
一人でブツブツ言いながら必要な素材を出して作業台にのせると、慎重に魔法陣を描き、魔力を注いだ。
一瞬の輝きの後に作業台の上に残ったのは、7体のゴーレム。
額に『Emeth』と刻まれた色違いの魔石を填め込んだ、体長およそ15cmの三頭身のゴーレムだった。
「・・・・・・可愛い。7人の小人・・・・・・可愛過ぎる・・・・・・」
そう、実は可愛い物好きなノアの心を体現したような見た目なのだ。
赤子のように丸い顔には額の魔石と同じ色のくりくりの瞳。
ちょこんと可愛い小さな鼻に猫口のような形の小振りな口。
髪の毛はマッシュで、ぽっこりお腹のつるんとした身体。
耳はもふもふの猫耳でお尻の辺りに可愛らしい尻尾がふわりと動く。
「かわいいかわいいかわいい・・・どうしよう可愛いが過ぎる」
興奮気味のノアを前に、シンクロしてコテンと首を傾げる7体の猫耳尻尾のゴーレム。
「にゃ---っ!! か わ い い!!」
ノアが壊れた。
膝から崩れ落ちたノアの異変を察知したのか、作業部屋の扉をコンコンとノックする音が。
「---ノア? どうかしたか? おい、大丈夫か?!」
なかなか返事をしないノアに焦って、アークが扉を開くと、そこには床に崩れ落ちたノア。
「っおい、ノア!! どうし---」
「・・・・・・あーく、俺・・・おれ・・・・・・もう、だめ」
ノアが顔を紅潮させて涙目で見上げてきて、思わず、ウッとなるアーク。
ノアの色気がヤバい。
「一体、どうしたんだ・・・?」
ゴクリと喉を鳴らしながらノアに尋ねると、ノアはプルプル震える指で作業台を指差した。
その先をアークの視線が追っていき・・・。
「---っぶはっ?!」
つぶらな瞳でシンクロしてこちらを見つめる猫獣人っぽい7人。
---めっちゃ小さいが。
ソレを見てからノアを見て、察したアーク。
「ああ、うん。そうだな。ノアには致命傷な一撃だな・・・」
可愛過ぎて心臓撃ち抜かれたのか・・・。
安心すると共に、ちょっともやっとしたアークだった。
その後、何とか立ち直ったノアはこの7体・・・もう7人で良いか、このゴーレム達にお揃いの猫耳フード付きのケープを錬成して、シャツとパンツ、ブーツとグローブも揃えて着せた。
もう、何処からみても小さいだけの猫獣人兄弟にしか見えなかった。
「魔石も破壊できないようにガッチリ防御結界魔法を付与してあるからね。安心してね」
『ありがとう』
代表してリーダー格の、長男っぽい子がお礼を言う。
「・・・・・・喋るんだ?」
アークが驚いて言った。
ソレにノアはなんてことないように応えた。
「うん、魔石にある程度の行動を組み込んだから、ソレに付随して反応するようになってる。基本はゴーレムだからね。組み込まれた動作以外はしないよ。ただの補助要員だからね。そうじゃないと勝手に考えて動くようになったら困るでしょ?」
「そうだな、確かに。・・・・・・でもじゃあ、この可愛らしい仕草は・・・」
別に要らないのでは?
そう思ったアークに、ノアは言い辛そうに応えた。
「---単に俺の・・・好みデス」
「ああ。そういう・・・うん、まあ、良いんじゃないか? その方が可愛がられるよな」
恥ずかしそうなノアを微笑んで見つめるアークだった。
7人は相変わらずキョトンと首を傾げていた。
※遅くなりました。
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