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313 『箱庭の迷宮』の置き土産
しおりを挟む精霊王に転移して貰い、サッサと与えられた部屋に入るとノアは何時もの防音結界の魔法を展開した。
だがしかし、エロいことをするわけでは無い。
先日の『箱庭の迷宮』で御礼というかお詫びに貰ったこぶし大の真珠のような魔石の確認のためだ。
あの時鑑定した結果、名前だけでヤバかったので良く見もせずに咄嗟にインベントリに仕舞ったが、その後は時間も無く、良く確認出来ていなかったのだ。
「アーク、ガッツリ魔法展開したよ」
「---よし、ノア、出してくれ」
「うん」
そう言ってノアがローテーブルにそっと取り出して置くと、二人しておそるおそる鑑定した。
---結果。
「・・・・・・ヤバいだろ」
「・・・・・・うん。何でこうなったかなぁ・・・」
【迷宮の核(但し分裂した物)
レア度:判定不可
効能・効果:『箱庭の迷宮』の核が精霊王の魔力を吸収し、その余剰分から生まれた魔石。マンドラゴラの秘石と同じく『神の雫』の錬金の材料の一つ。そのままだとただの魔石だが、一定量の魔力を吸収すると『迷宮の核』として機能し『迷宮化』するので要注意】
「「・・・・・・・・・・・・」」
---何してくれちゃってんの、精霊王?!
アンタか!! アンタのせいかっ!!
そりゃあ確かに、あの時めちゃくちゃ魔力を込めてたよな!
ノアの料理と引き換えだって張り切ってたよな、テンション爆上がりだったよな?!
だからってコレは無いわ---!!
アークが心の中で騒いでいる間、ノアは何事かジッと考えていたようで、不意に思い付いたように言った。
「コレに精霊王が魔力をいっぱい注いだらもう一つ古の森が出来ないかな?」
「いや、作ってどうすんだよ?! てか、古の森の迷宮ってカオス過ぎんだろ?!」
精霊王みたいなヤツがもう一人居たらヤバいだろ!
・・・・・・いやココにいたな!
ノア、お前だけで十分だ、これ以上規格外な自由人はいらん!!
若干失礼な事を考えているが口には出さずに穏便に?諦めさせる。
「・・・・・・えー、そう? ちょっと、試してみたかったんだけどな・・・」
「・・・・・・お前、ソレで迷宮出来ちゃったらマズいだろ。ダンジョンコア壊さないといけないだろ? 精霊王の魔力を糧に生まれた、いわばお前の弟のような存在だろう? 良いのか?」
「---弟・・・・・・そっか、そういう捉え方もあるんだ・・・・・・弟・・・・・・うん。迷宮化させないし錬金の材料にも使わない。インベントリに仕舞っておく!」
「---お、おう。ソレが良い」
若干斜め上な発想に至ってしまったが、ひとまずノアのインベントリに例の秘石と共に死蔵決定だな。
---良かった・・・・・・うん、たぶんこれでいいはず。
アークはめちゃくちゃ疲れた。
一方ヴァンはというと、部屋に入るなりふかふかな毛足の長いラグの上に寝そべり、昼寝を決め込んでいた。
一応聞き耳は立てていたが、話の邪魔はせずにのんびりしていた。
暫くして気が済んだのか、今度は寝室のベッドで二人して横になると、イチャイチャし始めた。
・・・といっても単に口付けをしたり服の裾から手を入れて弄ったりと軽いモノで済んでいるが。
---きっと後で盛り上がるんだろうな。
レオニード達・・・も微妙だしの。
ギギルル兄弟は宿だしのう・・・。
今夜は如何するか・・・ノアにテントでも出して貰うか・・・。
そんな算段をつけながらのんびりしていたのだった。
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