迷い子の月下美人

エウラ

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304 閑話 ヴェルザンティの嫁取り作戦 4

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---結果としては丸く収まった。

収まったというか、両片想いだったのが両想いだったことが分かり、上手く落ち着いたというか・・・。

両者とも保護者?が付き添ってのお茶会再開で、何とも言えない空気だったのだが。

お互い、どうすれば良いのか分からず何となくすれ違いのような、相手を気遣うが故のヘタレ具合だったようで。

「私は、どうもその・・・・・・受け身な性質でして、話は窺っていたのですが、どうしたら良いか分からなくて」
「俺・・・いえ、私は、会ったらたぶん暴走してしまうと思って・・・。そもそもどうお付き合いすれば良いのかも分からず・・・」

そう言ってモジモジする二人に周りの四人と使用人達は微笑ましい目で見ると共に、もう二人っきりで部屋に押し込めて良いんじゃね?と呆れた思いを抱いていた。

「見てるこちらが恥ずかしくなるほどラブラブで、羨ましいよ」
「なんて言うか・・・母上にそっくりだよね」
「うわあ・・・マジでこんなになるんだ・・・。番いって凄いな」
「お前も見付けたらそうなるんじゃないか?」

ドミリオが苦虫をかみ潰したような顔をし、ヴァルタスは感嘆の声をあげる。
スクルドとウルズも物珍しげに見ていた。

「じゃあ、もう良いな? 陛下達に連絡して、エクシアとグウィン殿はもうそのままラブラブしていてくれ。部屋は・・・どうしようか」

エクシアの私室ではちょっと。
でもじゃあ離宮で、といってもなあ・・・。

「父上に判断して貰おう」

あ、宰相に投げた。

まあ、こうなることを見越して準備はしているのだろうが。

侍従に言ってサッサと段取りをつけると、やはりこうなることを見越していたのか、離宮の奥の妃の間に二人を閉じ込めるようにという指令が来たので、二人を連れて行く。

「ウチの両親のゴーサインが出たので、双方合意の元、番いになって良いぞ。・・・あ、そういえばグウィン殿の方は良いのか?」
「今更ですね。竜人は番い至上主義なのをご存知でしょう? 良いも悪いも無いですよ。そもそも我々と違ってヴェルザンティは実家とは別に侯爵位を継いでますから、問題ありません」

ソレを聞いて安心したドミリオ達。

セラフィム母上は泣くだろうが、ラヴィア父上は割と淡白だからな。

まあ、本人達に任せるという感じか。
一国の宰相だから、その辺は政略結婚も視野に入れていたから割り切っていると思う。
・・・・・・それともアレか、哀しんで泣く母上を慰めたいがために・・・うーん、有り得そうでイヤだな。

「なら良い。そういうわけだが、グウィン殿、くれぐれも我が弟を大切に扱ってくれよ。我々と違って純粋で繊細だからな・・・エクシア、良かったな」
「はい。ありがとうございます、兄上」

照れてはにかむエクシアが可愛過ぎる!

「グウィン殿、滞在中はほどほどに頼むよ」
「・・・・・・善処します」

ヴァルタスも釘を刺す。
ソレに間を空けて苦渋の表情で応えるヴェルザンティ。
・・・うん、暴走したら無理だろうな。
さすがに我らも致してるところに突撃は出来ないぞ。そもそも結界で入れないだろうけどな。

かくして、ヴェルザンティの嫁取り作戦は出だしこそ危なかったが、とんとん拍子に丸く収まり、滞在中に番って蜜月に突入する事になるのだった。


ドミリオ達が王宮へ戻った後・・・。
ウルズとスクルドはホッと一息吐いた。

「いやあ、無理矢理じゃなくて本当に良かったな! 相手が竜人じゃない場合、番いを拒否されることもあるからなぁ・・・」
「ヴェル、アレでも結構頑張って理性保ってたんだな」

これで柵が無くなって、コレからどうなるやら・・・。

「さあて、陛下達にも連絡しないと!」
「ああ、ソレなら通信魔導具でもう伝えた」
「え?! いつの間に?!」

ガビーンという顔でスクルドが叫ぶ。

「ノア様特製の小型の通信魔導具な。アレ、良いわ。顔も見られるし、持ち運び出来るから何処でも通信出来てもの凄く便利だよ」
「はー、ノア様も本当に規格外な方だよなあ。グイグイ押しまくって瞬時に番って囲ったアルカンシエル様、さすがって感じ!」
「野生の勘ってヤツかもな」
「ソレなら番いの勘じゃない?」
「・・・違いない」

二人のアルカンシエルへの印象がちょっと腹黒いヤツになっている。
実際、割と強引に押しまくっていたし、愛故とはいえ前後不覚になるくらい快楽堕ちさせていたから、否定は出来ないかもしれない。

『---クシュッ』
『大丈夫? アーク、風邪引いた?』
『・・・・・・いや』
『誰かに悪い噂でもされてるんじゃ無いの?』
『そうかもな!』
『・・・・・・うるせー!』

城下街でアーク達がそんな話をしているとは露知らず。

ウルズとスクルドは陛下達が帰って来るまで、そんなとりとめの無い話に花を咲かせたのだった。



---ヴェルザンティとエクシア殿下?

ソレはご想像にお任せします。








※296話でエクシアをエクシオと誤っていた箇所を修正しました。違和感なさすぎて気付かなかった(笑)。
何処かでまた間違えてたら報告お願いします。
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