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309 閑話 護衛騎士ランスロットとパーシヴァルの場合
しおりを挟む今回、魔人国に赴く竜王陛下の護衛として選出された5名の近衛騎士の内の2名、ランスロットとパーシヴァル。
初日の晩餐会には付いていかず、離宮で待機になっていたため出番が無かった。
ついていった護衛3名より先に夕食を食べておいて、陛下達が戻られた後を引き継ぐのだ。
「陛下達は今頃、ご馳走を堪能しているのだろうな」
「そうだね。でも悪いけどあんな堅苦しい食事は俺は勘弁願いたいね」
「・・・貴族はそういうところが面倒だよな。かく言う俺達も貴族だけども」
そう言う彼はランスロット・E・テュール。
伯爵家の次男で蜂蜜色の短い髪に翡翠色の瞳のややガチムチ寄りの体格だ。
キリッとした瞳で真面目で知的そうに見えるが、結構脳筋だ。
堅苦しい食事はイヤだと言っている彼はパーシヴァル・E・トール。
ランスロットと同じく伯爵家の次男。
燃えるような赤髪にルビー色の瞳が目を引く、ランスロットよりも細いがガッチリ体型。
チャラい感じだが、見た目に反してまともな常識人。
頭の回転は速いと思う。
その二人がのんびり歓談していると、帰ってきた竜王陛下達がザワついていて何事かと思っていると、何とヴェルザンティに番いが見つかったという。
「え?! まさかの魔人国の王子?!」
「第三王子のエクシア殿だ」
「へええ・・・、え? どうするの? まさか連れ去るつもり・・・?!」
「そんなわけ無いだろうが。ちゃんと求愛して了承を得てからに決まってる。いくらなんでも一国の王子に拉致監禁は出来ないだろうが」
「そうだよなあ。じゃあこの滞在中に堕とさないと」
「そこは陛下達も考えてるようだから心配はしないが・・・」
帰ってきたウルズ達三人が食事をとっている間の護衛についたランスロットとパーシヴァルは話を聞いてぽそぽそと話す。
---結局協議会二日目で用は片付いたので、残りの滞在中は観光にあてるようだ。
ヴェルザンティの嫁取りのために滞在を延ばすという理由付けだったが、単に観光したいだけでしょ、陛下。
「---クリリン、だってよ」
「・・・似合わん」
「だよねー」
お忍びということもあるが、長年近衛騎士をやっているせいか、陛下達への態度も気安くなる。
陛下自身がああいう方なので。
「幾つになっても体が大きいだけの子供ですよね」
陛下の乳兄弟である側近のリュウギが痛い頭を押さえて言う。
それな。
アルカンシエル様達と昼休憩中に入った通信魔導具での連絡で、無事に番いを承諾されたと来て、皆で大騒ぎしたのは許して欲しい。
それくらい、番いを得ることは一生に一度の事なのだ。
幸運にも番いを見つけられただけでも嬉しい事なのだから。
「良かったな、ヴェルザンティ」
「本当だよ。これで帰国するときには連れて帰れるよな」
「・・・でも、どんなに急いでも翔んで片道一週間なんだけど、その間の夜・・・如何するんだ?」
「・・・如何するんだろうね?」
新婚さんの蜜月夜事情・・・下世話だがこれでは困るだろう・・・お互いに。
「精霊王に転移して貰えば?」
アルカンシエル様のその一言であっさり解決した。
「・・・・・・俺達、結構とんでもない事に巻き込まれてないか?」
「・・・・・・今更、何言ってんのランスロット。ノア様が金竜リンドヴルム様の子だって知った時点でトンデモな事じゃん。・・・・・・やっぱりランスロットって外見詐欺。脳筋」
「・・・酷いな。そりゃ、パーシヴァルよりは頭悪いけど・・・」
「陛下の暴走抑止メンバーに選ばれるくらい強いんだから良いんじゃん? 俺と足して割ればちょうど良い」
なんて雑談をしてるうちに次は冒険者ギルドに突撃しに行った陛下を止めるべく奮闘するが、余り役に立っていないなあとちょっと凹む二人だった。
※遅くなりました。肩凝り歯痛頭痛でここ数日悶えてます。ロキソニン効きますね。今のうちにかきかき溜めてます。
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