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286 その頃のルドヴィカ(ノア行方不明事件と奪還作戦後)
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※別視点での話なので会話や内容が重複するところがあると思います。ご了承下さい。
「---マジで勘弁してくれ・・・」
所用でヴァルハラ大公家を訪れていたルドヴィカは、例の『ノアズアーク隊』専用の通信魔導具がプルプルと震えたのに気付き、ウラノスに断って席を立つと廊下の隅で応答した。
「・・・どうした?」
あの二人は見ていて面白いから何か愉快なネタでも仕入れたのかとも思ったが、さすがにそんなことで仕事中の自分に連絡を寄越すような部下じゃないな、と思い直す。
『---実は・・・・・・』
そう言って話し出した内容に、一瞬耳を疑った。
イヤだって、あのノアちゃんが『箱庭の迷宮』で行方不明になったって・・・。
改めて聞いても返答は同じ。
あのノアちゃんが?
アークの目の前で?!
『それで、アルカンシエル様がかなりマズい状態ですが、レオニード様達が何とか宥めたようです』
「・・・だろうな。そうでなくともあの溺愛っぷりだし、それが目の前で消えて今なお行方が分からないなんて、良く耐えてるよ」
はぁ---、コレ、竜王陛下にも伝わってるんだろうなぁ・・・。
「俺、今日コッチで良かったと心底思ったわ」
『・・・・・・ああ、陛下の・・・そうですね。刃傷沙汰にならないと良いのですが・・・』
「ソコはならないって言い切って欲しかったな」
通信を切って部屋に戻ると、ウラノスにさっきの情報を伝える。
「---もう一度言ってくれるかな? どうやら耳が悪くなったようで」
・・・いやいや、ちゃんと聞こえてましたよね?
嘘だと言ってくれ、という心の声がダダ漏れですけど?
それ、俺もさっき同じ事を部下にやりましたからね?
それからちまちまと情報が流れてきて、あれから無事にノアちゃんを奪還したそうだが、やり方がね・・・うん。
気持ちは分かるよ。
他所の国を潰さなかっただけマシなのも、迷宮内部はどんなに破壊しても時間が経てば原状回復するから問題は無い(・・・無いか?)のも。
案の定、予想された『迷宮の支配者』も捕縛出来たそうだし。
まあ、良いんじゃない?
それよりも、問題はその犯人がかつてノアちゃんの母親を死に至らしめ父親を苦しめた元凶ってトコロだ。
今回その辺りを詳らかにし、当事者だけでなく国同士で処罰を話し合うことになった。
その準備を進めていると、ノアちゃんからヴァルハラ大公家に新作の通信魔導具が届いて、それでもって直接竜王陛下と魔人国冒険者のギルマスが話し合いをする事になり・・・。
元凶がギルマスとサブギルマスとも因縁があり、なおかつその二人はノアちゃんの父親と育ての親とも親交があったということが分かり、二人も当事者として意見を言えるようにしたそうだ。
「---というわけで、ルドヴィカ」
「・・・何が『というわけ』なんですか?」
ウッキウキのウラノスを胡乱げに見つめていたら急に話を振られた。
「イヤほら、魔人国に討ち入り---じゃなくて非公式に訪問することが決まったので、ウチの護衛としてルドヴィカを連れて行くから。それでそっちでもあと二人、護衛として選抜してくれるかい?」
「---え、言い直しても遅い・・・じゃなく、非公式で? もう決まったんですか?!」
おーい、さっきの今でしょ?
午前中に話があって、もう?!
「当然。最優先事項だからね! 人選が決まったら日程の予定も組むから、抜けても大丈夫でなおかつ腕の立つ人頼むよ、大至急!」
「無茶振りな・・・それなら私の直属の第1部隊の部隊長と副隊長を連れて行きます。ノア様と顔見知りですし」
カナンとスレインは要塞都市でも顔を合わせてるし、この間の魔法騎士団の鍛錬場の一件でも話してるからな。
「うんうん、任せるよ。じゃあ本人達に了承を得てきて、コッチに来るように。打ち合わせするから」
「分かりました」
---さあて、忙しくなるぞ---!
ルドヴィカは前回の重い空気から途端に軽くなったウラノスを見て、自身も久しぶりにドキドキワクワクな状況を愉しみながらウラノスの前から去って行った。
そして幸運にも一波乱起きそうな現場に自分がいられることを喜びながら騎士団の詰め所に向かうのだった。
---足取りは軽く、なんならステップまで踏んでいたかもしれない。
偶然その現場を見てしまった使用人が三度見するくらいには浮かれていたルドヴィカだった。
「---マジで勘弁してくれ・・・」
所用でヴァルハラ大公家を訪れていたルドヴィカは、例の『ノアズアーク隊』専用の通信魔導具がプルプルと震えたのに気付き、ウラノスに断って席を立つと廊下の隅で応答した。
「・・・どうした?」
あの二人は見ていて面白いから何か愉快なネタでも仕入れたのかとも思ったが、さすがにそんなことで仕事中の自分に連絡を寄越すような部下じゃないな、と思い直す。
『---実は・・・・・・』
そう言って話し出した内容に、一瞬耳を疑った。
イヤだって、あのノアちゃんが『箱庭の迷宮』で行方不明になったって・・・。
改めて聞いても返答は同じ。
あのノアちゃんが?
アークの目の前で?!
『それで、アルカンシエル様がかなりマズい状態ですが、レオニード様達が何とか宥めたようです』
「・・・だろうな。そうでなくともあの溺愛っぷりだし、それが目の前で消えて今なお行方が分からないなんて、良く耐えてるよ」
はぁ---、コレ、竜王陛下にも伝わってるんだろうなぁ・・・。
「俺、今日コッチで良かったと心底思ったわ」
『・・・・・・ああ、陛下の・・・そうですね。刃傷沙汰にならないと良いのですが・・・』
「ソコはならないって言い切って欲しかったな」
通信を切って部屋に戻ると、ウラノスにさっきの情報を伝える。
「---もう一度言ってくれるかな? どうやら耳が悪くなったようで」
・・・いやいや、ちゃんと聞こえてましたよね?
嘘だと言ってくれ、という心の声がダダ漏れですけど?
それ、俺もさっき同じ事を部下にやりましたからね?
それからちまちまと情報が流れてきて、あれから無事にノアちゃんを奪還したそうだが、やり方がね・・・うん。
気持ちは分かるよ。
他所の国を潰さなかっただけマシなのも、迷宮内部はどんなに破壊しても時間が経てば原状回復するから問題は無い(・・・無いか?)のも。
案の定、予想された『迷宮の支配者』も捕縛出来たそうだし。
まあ、良いんじゃない?
それよりも、問題はその犯人がかつてノアちゃんの母親を死に至らしめ父親を苦しめた元凶ってトコロだ。
今回その辺りを詳らかにし、当事者だけでなく国同士で処罰を話し合うことになった。
その準備を進めていると、ノアちゃんからヴァルハラ大公家に新作の通信魔導具が届いて、それでもって直接竜王陛下と魔人国冒険者のギルマスが話し合いをする事になり・・・。
元凶がギルマスとサブギルマスとも因縁があり、なおかつその二人はノアちゃんの父親と育ての親とも親交があったということが分かり、二人も当事者として意見を言えるようにしたそうだ。
「---というわけで、ルドヴィカ」
「・・・何が『というわけ』なんですか?」
ウッキウキのウラノスを胡乱げに見つめていたら急に話を振られた。
「イヤほら、魔人国に討ち入り---じゃなくて非公式に訪問することが決まったので、ウチの護衛としてルドヴィカを連れて行くから。それでそっちでもあと二人、護衛として選抜してくれるかい?」
「---え、言い直しても遅い・・・じゃなく、非公式で? もう決まったんですか?!」
おーい、さっきの今でしょ?
午前中に話があって、もう?!
「当然。最優先事項だからね! 人選が決まったら日程の予定も組むから、抜けても大丈夫でなおかつ腕の立つ人頼むよ、大至急!」
「無茶振りな・・・それなら私の直属の第1部隊の部隊長と副隊長を連れて行きます。ノア様と顔見知りですし」
カナンとスレインは要塞都市でも顔を合わせてるし、この間の魔法騎士団の鍛錬場の一件でも話してるからな。
「うんうん、任せるよ。じゃあ本人達に了承を得てきて、コッチに来るように。打ち合わせするから」
「分かりました」
---さあて、忙しくなるぞ---!
ルドヴィカは前回の重い空気から途端に軽くなったウラノスを見て、自身も久しぶりにドキドキワクワクな状況を愉しみながらウラノスの前から去って行った。
そして幸運にも一波乱起きそうな現場に自分がいられることを喜びながら騎士団の詰め所に向かうのだった。
---足取りは軽く、なんならステップまで踏んでいたかもしれない。
偶然その現場を見てしまった使用人が三度見するくらいには浮かれていたルドヴィカだった。
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