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236 箱庭の迷宮の内情
しおりを挟む「『箱庭の迷宮』の中が変化してるんだ」
ギギ達の言葉にアーク達とレオン達が怪訝な顔をした。
「・・・どういう風に変化したんだ?」
レオン達が聞く。
確かにレオン達は過去に潜ったことがあるから聞けば分かるかもしれないが・・・。
「その話をするには、まあ、以前の迷宮の様子を話してからのが良いかな。アーク達は知らないみたいだし」
「ん、俺達は全然詳しくないからその方が助かるかな」
ギギの言葉に頷くノア。
アークも名前くらいで詳細は知らないのだ。
「じゃあまず『箱庭の迷宮』の元の情報な。そもそも箱庭って言われるとおり、規模はまあデカいが、階層は一つだけ。しかもラスボスがいるわけでもない」
「そうなの?! じゃあ、魔物がいる草原とかを普通に散策するのと変わらなくない?」
「・・・ノア、普通はそれを散策とは言わない」
思わずルルがツッコむ。
「じゃあ、散歩?」
「同じだろーが!」
ノアが言い直したが変わらない言葉にルルが速攻ツッコんだ。
ノアが天然過ぎてたまに本気でおバカだと思う。
ごめん?って疑問形で謝られてもなぁ。
分かってないだろう?
とにかく。
「・・・コホン。ええと、それでだ。この箱庭ってところが厄介で、迷宮が冒険者に対して幻影の魔法を仕掛けてくるんだ。それに引っかかると、冒険者一人一人の思い出や願望なんかを見せられるらしい。・・・俺達はかかったことがないから聞いた話になるんだが」
「幻影・・・それって魔導具とか魔法耐性とか状態無効のスキルとかあればレジストしたり出来るんじゃないの?」
ノアがもっともな発言をする。
「確かにそういう対策をすれば問題ない。まあ、もし幻影にやられても混乱するうちに迷宮の気紛れによって外に吐き出されたり、じきに魔法が切れて自力で出口の扉を見つけて脱出するヤツがほとんどだな。魔物自体はそんなに強くはない」
「だから迷宮のランクは中級だったんだけどね・・・ここ最近、事情が変わったんだよ」
ルルが一拍置いてから話を続けた。
「いないはずのラスボスが棲み着いたらしい。棲み着いたというのかは定かではないけども。とにかく幻影魔法にかかり箱庭に囚われる冒険者が急増した。冒険者ギルドで送り込んだ調査に入った冒険者のうち半数は帰らなかった」
「・・・・・・俺達が魔人国に帰省する少し前からだそうだ。俺達はアーク達と合流するために急いでいたんで、話を聞いただけで実際に潜ってはいない」
それを聞いて全員、静まり返る。
軽い気持ちでノアを誘ったレオン達だったが、こう深刻な事になっているとは思わなかったのだ。
そもそもレオン達が箱庭の迷宮に潜ったのはもうウン十年も前の事だ。
今回ギギ達に話を聞かなかったら向かった後で混乱したかもしれない。
「---ということは、今は迷宮は・・・」
「ああ、上級になっていて、人数制限や冒険者ランクの制限もかけているはずだ。場合によっちゃあ封鎖されているかも」
「そこんところはギルドに情報が来てるだろうから後で確認しに行こう。レオン達もそれで良いな?」
「もちろん。言い出しっぺで何だが、どうする?」
レオン達の言葉にキョトンとするノア。
「え? ダメ元で行くよ? どのみちギギ達の国には行ってみたかったし。行ってから決めても良いよね? アーク?」
「・・・ああ、そうだな。どのみち旅に出るつもりだったし。情報がどうであれ行くだろうな。ギギ達はどうする? レオン達も・・・?」
「「一緒に決まってる」」
「「俺達ももちろんノアちゃんと一緒に行くよ!」」
ギギ達もレオン達も即答だった。
思わずアークとノアは笑った。
とりあえずどうなるか分からないが、賑やかな旅になりそうな予感がした。
ココにヴァンがいたら『面倒な・・・』と愚痴ったかもしれないが・・・。
ちなみにヴァンは昼寝だと言って大公家でお留守番である。
※書き上がらず、遅れました。次もちょっと遅れそうです。書けたら投稿します。
スランプなだけで体調は大丈夫ですよ。
すみません。
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