迷い子の月下美人

エウラ

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224 見つけちゃった僕の番い(sideリュカリオンの影)

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アルカンシエル様の要望で影で色々と動いていたリュカリオン殿下専属の王家の影の一人で、竜人と金狼の混血であるラン。

見た目は金狼が強く、金のふわふわの髪に狼の耳、蜂蜜色の甘い垂れ目のカワイイ系だが、その裏で獰猛な牙を隠している。

竜人からすればやや小柄な体格で、リュカリオン殿下の命令に淡々と従う無表情な影、と言うのが彼の印象だったのだが。

「---ラン、何か良いことでもあったのか?」

天井裏に張り付いてるランに向けてそう言うリュカリオン殿下。

どうやら浮かれているのがバレバレらしい。

影失格だなと苦笑してリュカリオン殿下の後ろに下り立つ。

「スミマセン。番いを見つけたのでウキウキしちゃって」
「へえ、番い・・・・・・番い?! ランの?! ランが?! え? え?!」

聞き流しかけたリュカリオン殿下が大きな声で叫んだので、聞きとめた他の者達もわらわらと集まってきて、リュカリオン殿下の執務室はぎゅうぎゅうになってしまい、ひとまず休憩にする事になった。

「---で? 相手は誰?」

リュカリオンがズバッと聞く。
だってランはクールに仕事を熟すけど、本当はカワイイヤツだって知ってる。

他の影や護衛騎士達皆、そこら辺のヘンなヤツに渡すくらいならば一生ここにいていいんだぞと言う気持ちである。

そんな訳で興味津々で聞いてみると、どうやらこの間の鍛錬場での偵察で声をかけてきた護衛騎士らしい。

「彼、勘が良くて強いですよ。是非、殿下の専属護衛騎士に任命して下さい」

そうしたら仕事中は何時も一緒。

何時も無表情のランが幸せそうに笑った。
それを見た全員が心を一つにした。

「じゃあまず、そいつの名前と所属を確認して」
「僕、知ってます」
「だろうな。じゃあ取りあえず理由を付けてウチの専属護衛騎士と手合わせさせよう。実力は申し分ないんだな?」
「はい。めちゃくちゃ強いですよ。謁見の間の護衛に立ってるだけなんて勿体ないくらい」
「ヨシ、まあそれでも一度手合わせだな。ランの旦那に相応しいかどうか見極めて」
「あ、嫁です」
「あ?」
「向こうが嫁です。僕が旦那」
「・・・・・・まあ良い。嫁に相応しいか見てくれるわ」

そういってあっという間に場を取り持って、こちらは準備万端、あちらは訳が分からないという状況での手合わせが行われ・・・。

結果、ウチの専属護衛騎士が軒並みやられた。
マジか。

「・・・あの、これって一体何の意味が・・・?」

そう戸惑うランの嫁候補。
彼の名はヴォルフ。

「ヨシ、合格だ。後日辞令を出すから、準備をしておけ」
「はい?! 何が?!」

訳が分からないままで手合わせが終わり、宣言通り、後日辞令がおりてリュカリオン殿下の専属護衛騎士に任命された。

専属護衛騎士の控え室であの時話をした文官?な可愛い子がやって来て、ヴォルフに爆弾発言をする。

「よろしく、ヴォルフ。僕のお嫁さん。僕はラン。リュカリオン殿下の影の一人で竜人と金狼の混血。じゃあ、これから一週間休暇を貰ってるから、僕んち行こうね。ちゃんと婚姻届も出してあるからね」
「はい?! どゆこと?!」

実は辞令と一緒に婚姻届も混ぜてあって、サインを(騙し討ちのように)入れていたのだった。
よくよく確認しなかった彼も悪いが。


リュカリオン殿下達に見送られてランに新居に連れ込まれたヴォルフは、きっかり一週間躾けられて嫁になりましたとさ。


ヴォルフも満更ではなかったのでヨシ!





※あれぇ・・・。本編とは余り関係ない話が・・・。
楽しいから良いか。
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