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231 ノアとアークを見守り隊(side竜王国冒険者ギルド)
しおりを挟むここ数週間の憂いが今日、晴れました。
アルカンシエル様とノア様が竜王国にいらっしゃって暫くののち、城下街に噂が流れてきました。
曰く、ノア様はアルカンシエル様の番いに相応しくない、彼の方を誑かした淫乱な兎だと。
どうせやっかみや血筋に拘る輩が流した根も葉もない噂話と、誰も気にも留めていなかったけれど、噂は背びれ尾びれをつけてあっと言う間に広がり。
街中、その話で盛り上がる人々が増えていった。
だがしかし、古参の住民や商店街の者達、冒険者ギルドは当然のように噂話を一笑に付した。
それでも無くならない悪評に『ノアとアークを見守り隊』は密かに情報網を駆使して探りを入れていくと・・・。
「・・・お前らの情報網を舐めてたわ」
ギルマスが職員を集めて緊急会議だというから何事かと思えば・・・。
「何を今更言ってるんですか! 大体、コソコソと私達を除け者にしてやるのが悪いんですよ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
見守り隊が(職員全員ですけど)一斉に叫ぶ。
ギルマスは思わず耳を塞いで言った。
「---悪かったよ。ここまで広がるとは思ってなかったんだけどなあ。後でやらかすから、今はちょっと我慢してくれ」
「・・・・・・でもノア様、絶対に顔には出さないですけど傷付いてますよ!! どうして平気なんですか?!」
「「「そうだそうだ!!」」」
私達を何だと思ってるんですか。
『見守り隊』を甘く見ないで頂きたい!!
「---あー、もう!! 平気なわけないだろうが!! 王城の方が片付かないと手ぇ出せないんだよ! 後でお前らにも一枚噛んで貰うからちょっと待っててくれ」
---そう言うなら・・・と一旦引き下がるが、でもノア様のお心はお慰めしなくては!!
そう思って、冒険者ギルドに顔を出す度にお声がけして、街中の人気のお店の話題で場を盛り上げたりしながら暫く。
どうやら王城でノア様がガツンとやってくれたようです。
---ということは・・・?
「お前ら、前回言ったとおりに手伝って貰うぞ」
「喜んで---!!」
「「「「待ってました!!」」」」
ギルマスの言葉に何処ぞの飲み屋かっていう返事を返す職員達。
その中には当然サリナスもいて、苦笑しながらリオンも加わっていた。
それから十日後、訓練所を貸し切ってのノア様とアルカンシエル様の手合わせがセッティングされました。
いえね、セッティングはすぐに出来ましたよ?
なのに何故か十日後。
ギルマスに聞いても教えてくれない。
サブギルマスに聞いても苦笑するだけ。
何で?!
「・・・・・・おそらくだが、王城での一件で盛っちゃったんだろ?」
「---はい?」
サリナスのぼやきにリオンがぽそっと応える。
盛った・・・・・・お盛ん・・・・・・番いで盛るって事は・・・・・・。
「---っ!! あっえっ、そういう・・・?!」
つまりはそれくらい籠もっちゃったって事?!
うわーっすげーな竜人!!
「・・・いや、たぶんノア様の発情期に被ったんだろう。いくらなんでも普通はそんなに籠もらないって。兎人の混血なんだろう? なら番った後は割と頻繁に発情期に入るだろうし」
「へえ、詳しいんですね、リオン先輩」
そう言ったら呆れた顔で言われた。
「お前は資料読んでないのか? 資料室に種族別のそういう特性の本があるぞ」
「えっ知らないです! 後で借りて読んでおこうっと!」
「それ、大事だからな? うっかり発情期のヤツに近付いたりしたらヤバいし番いがいるなら尚更。気を付けろよ」
「了解です!」
殊勝に返事をして、業務に戻る。
明日は楽しいエキシビションマッチ!
ウキウキわくわくで本日の業務に取りかかるギルド職員達だった。
ちなみに、エキシビションマッチの後のアフターケアで、人気の喫茶店の個室を予約しておいた。
ノア様、喜んでくれると良いな!
応援ありがとうございます!
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