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170 返信が来ました(sideヴァルハラ家)
しおりを挟むアークから手紙が届き、返信した次の日の午後のお茶の頃。
(返信は当日にしたが、アークが魔導具を使って受け取ったのは次の日。応答しないと魔導具に保管されたまま。新着の通知はあります)
何やらまた届いた手紙に添えられたモノに、一同唖然とした。
「・・・コレって、記録媒体だよね?」
「手紙に説明がある。・・・・・・紙を媒体とせずに、記録媒体に記録させた映像でやりとり出来る・・・って」
「しかも記録を水晶の魔導具にコピーしてから記録媒体を初期化して繰り返し使えるようにしたって」
「・・・まじ??!」
そもそも記録媒体の改ざんは出来ないように作られているが・・・。
「ノアちゃんが魔法陣を書き換えて初期化する魔導具を作っちゃった・・・って。ただし、ウチとアーク専用に設定してあって、他は絶対に使えないようになってるらしい」
「---さすがにマズいのは分かってたようで助かった・・・。で、竜王陛下に奏上して許可が下りたら使ってね、という事らしい」
「そうしたら、直接今の様子を姿付きで知らせられるな! じゃあさっそく陛下に謁見の申し込みを! レーゲン!」
「畏まりました」
側で控えて聞いていた側近のレーゲンが約束を取り付けにいく。
「謁見出来るまでにもっと詳しく読んでおこう」
「---でも基本は変わらないみたいだね」
「それにしても、ノアちゃんって凄いんだね。これって錬金術でしょ?」
ウラノス達がわいわいと騒いでいるとレーゲンが戻ってきた。
「お話し中、失礼致します。すぐに謁見なさるそうです。というか、プライベートでお会いになるそうです」
「ええ?! 早いな。ありがとう、レーゲン」
「一体どんな言い方をしたんだい?」
ウラノスが気になって聞いてみた。
「アルカンシエル様の番い様のお作りになった魔導具を奏上します、と」
「・・・・・・ああ、竜王陛下もアーク溺愛者だった・・・」
アークの名前を出せばそうなるわ。
一同納得。
その後、ヴァルハラ大公家オンリーでという条件で無事に許可が下りた記録媒体手紙魔導具をさっそく使ってみることに。
ちなみに竜王陛下も、のちに映像を見たり時には映像に混ざったりとフレンドリーな感じになるのだが、ソレはまたあとで。
ともかく、執事長のアヴィールに準備して貰い、いざ記録を・・・と意気込んだのに、アンジェリクや息子達が私を無視して好き勝手・・・。
「ノアちゃん!」
と親しみを込めて挨拶をしていたらアヴィールに記録を止められてしまった。
「・・・アヴィール?」
皆が恨めしそうに睨む中、にっこりと、淡々と話し始めた。
「・・・お話を聞くに、お相手のノア様は人見知りで恥ずかしがり屋なご様子。あれ以上騒ぎますと、驚いて引かれるかと。嫌われるのは本意では御座いませんでしょう?」
「「「「・・・・・・ああ、そうだね」」」」
「ご理解いただけたようですね」
そういって、竜王陛下の許可証などと一緒に記録媒体を転移させた。
少しして再び記録媒体が届いた。
手紙は無しで、記録媒体のみ。
さっそくウラノス達が集まって、執事や手の空いた使用人達、側近も集まる中、ソレを再生すると・・・・・・。
「・・・・・・ええと?」
「・・・・・・ああ、うん、まあ・・・・・・」
「「どういう・・・・・・??」」
映し出されたのは、項垂れて動かないアルカンシエルに、側で腹を抱えて爆笑している魔人族の双子。
床で転げ回るフェンリル・・・。
ソレを記録していたらしいノアが最後にはにかみながら挨拶を噛んで・・・。
アークがスンッとした無表情で締めくくって映像は終わった。
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
執事長や側近達は、まあ、納得のリアクションですねと心の中で思った。
どうしてこうも彼の方が絡むとポンコツになるのか・・・。
苦笑いしながら主達の復活を待つ。
「---っ可愛いかった」
「ノアちゃん、可愛かった!」
「ナニアレ噛んじゃって可愛いな! 涙目でぴるぴる!!」
「家族って言った! 嬉しいって!」
やっほーい!!
なんて騒ぎ出すウラノス達に・・・。
「そう言うところですよ、ウザがられているところは・・・。アルカンシエル様の忠告は無駄に終わりそうですね」
と、執事長のアヴィールや側近のレーゲン達は溜息を吐くのだった。
コレが恒例になりそうな予感を胸に、それぞれ自分の持ち場に戻っていった。
「はいはい、まだお仕事が残ってますよ!」
その後、レーゲンが主達をけしかけて仕事を続けさせる声が夜遅くまで聞こえたとか何とか・・・。
ヴァルハラ家は今日も通常運転だった。
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