迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
上 下
170 / 538

166 試運転・・・?

しおりを挟む

*最後に軽く触れあいがありますが本番は無しなので、タイトルにマークは付けませんでした*





鮮明に映し出されたアークの御家族と思しき見目麗しい4人の方々。

基本的に記録媒体なので、向こうの映像をただ再生しているだけなのだが・・・。

『---これでいいのか?』
『あの、普通の記録媒体とやってることは一緒らしいので』
『初めまして! ノアちゃん?! 私がアークの母親のアンジェリクだよ!』
『あっ! 母さん狡い! 俺はね、アークの大兄さんのアルジェント!』
『俺、俺は小兄さんのシルヴァラね!!』
『---お前達、家長の私を差し置いて・・・、えー、コホン。アークの父親のウラノスだよ。ノアちゃん、遠慮なく義父様って呼んでおくれ!』
『あー!! 狡いウラノス! 私は義母様と』
『『俺達も義兄様って呼んでね!!』』
『・・・・・・主様方、今回はテストですのでその辺で』

ブツッと切れた。
というか強制的に終わらせられた・・・?

「・・・・・・」

アークは頭を抱えて無言。

ギギ達は呆気にとられた後、腹を抱えて大笑い。
ヴァンも珍しく笑い転げていた。

ナニコレ、カオス・・・・・・。

でもまあ、上手くいったらしいので、こちらも記録して送ってあげよう。

項垂れて無言のアークに腹が捩れるほど笑っているギギルル兄弟、転げ回るヴァン。

最後に自分を映してご挨拶。

「・・・初めまして、ノアと言います。・・・アルカンシエルさんの番いになりました。・・・あのあの、俺、家族がたくさん・・・・・・嬉しいです。ありがとうございましゅ・・・・・・。うう・・・噛んだ」

恥ずかしくて涙目の顔が映ったところで、アークに回収された。

「・・・最初の挨拶って普通、息子じゃ無いんですか? まあ良いけど。次はもう少しテンション低めでお願いします。ノアがぴるぴるするんで。じゃあ、また」

そう言って記録を止めた。
そのまま無言で魔導具に置き、魔力を注いで転移させた。

「---はー・・・、疲れた。もう寝ようぜ」
「・・・・・・そうだね。ギギルルも、先に寝るね、おやすみ」
「「おう、おやすみ!!」」

ギギ達に挨拶をして、もの凄く疲労感たっぷりのアークに続いて寝室に入り、鍵をかけるのだった。


「---ノア、癒して・・・」
「はいはい。珍しいね、そんなに疲れたの?」
「めっちゃ疲れた。主に心が」

・・・まあ、賑やかな人達だったもんな。

「よしよし」

そう言ってアークをやんわり抱き込んで頭を撫でる。
特にヘンな意味はなかったはずなんだけど、何やらアークの手が不埒な動きを始めた。
何やら顔も肩から胸の方に移動してる・・・?

「・・・ぁ、やん・・・」

腰骨の辺りをさわさわと撫で擦られて、思わずピクンと反応してしまう。
思わずアークの頭をぎゅっとしてしまった。
ソレに気を良くしたらしいアークが、ノアの胸元に顔を埋めたままクスリと笑った。

「・・・アーク・・・!」
「ノア」

腰から背中、肩甲骨の辺りをさわさわと動く手にだんだんと息が上がってくる。

そうして裾から熱い大きな手が入り込んで直に素肌を弄りだして、胸の飾りを掠めた。

この辺りで、ノアはもう陥落した。

同じテントにギギ達がいることも気にならなくなっていた。
・・・まあ、防音結界で問題は無いのだが。

「---アーク・・・」
「ノア、欲しい。俺を癒して・・・」
「・・・俺も・・・アークが、欲しい・・・」

アークが顔をあげると、情欲に濡れた銀の瞳がアークを見つめていた。

アークは喉を鳴らし、獰猛に笑った。





しおりを挟む
感想 1,191

あなたにおすすめの小説

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」  何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?  後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!  負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。  やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*) 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/06/22……完結 2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位 2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位 2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...