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160 いつかのヤバいアレ
しおりを挟む何とも言えない空気の中、急いで昼ご飯を食べたあとノアにテントを出して貰い、アークは皆に中に入るように促す。
その際、テントにギギ達も魔力登録して貰った。
「・・・良いのか? いや別に、お前達の蜜月の邪魔はしないつもりだけどさあ・・・」
ギギが心配顔で言った。
「雪も降り出して来たし、魔導具の事もあるからちょうど良い。それに本当に入ってこられると困るときはロックかけるから大丈夫。テント入り口の魔石が赤かったら入れないよ」
「---と言う事だから、気にするな」
「・・・分かった。じゃあ、遠慮なく」
ノアとアークの応えに頷いてテントの中に足を踏み入れるギギ達。
入った瞬間、自分達のテントよりも凄い魔改造にビビる。
「「・・・・・・何だ、これ」」
「---だよな? 俺も初めて入ったときには驚いたぜ」
二人の反応にアークは、自分だけじゃ無かったと内心ホッとした。
「ギギ達のテントも結構広くしてあるよね? 確認した?」
「・・・・・・いや、したけどよぉ・・・コッチは規格外だろ」
俺達のテントは、2LDKを模して作られていたがコッチは部屋が幾つあるんだ?!
まあ、ノアが薬師で錬金術師だっていうから、それらの作業部屋もあるんだろうが・・・。
---しかしこの後、更に規格外を思い知らされる事になるとは・・・。
「・・・なあ、昼飯の時に言ってた魔導具って? チラリと見たけど、あの婚姻の腕輪・・・ナニアレ・・・えげつない程の付与魔法だったんだけど?」
おそるおそるアークに聞くルル。
ギギも無言で何度も頷く。
アレなあ・・・なんて言えば良いのか・・・。
「ええとな、ずいぶん前にノアが錬金術で錬成したもので、土台はオリハルコンで出来てる」
「・・・・・・オリハルコン」
オリハルコンって、Sランク冒険者のギルドタグに使われてる、超稀少な鉱石だろう?!
「付与魔法は代表的なモノを幾つかいうと、腕輪自体の認識阻害と隠蔽、あとは持ち主への物理・魔法攻撃・状態異常の耐性。コレは元々竜人自体が耐性が高いから十分だって事で。あとはコレを付与したのはノアじゃないが、古の森にいる精霊王の元へ直接転移できる」
サラッと聞き流すにはあまりにもな内容に・・・。
「「・・・・・・」」
開いた口が塞がらないとはまさしくこの事だ。
ギギ達はポカンとしたまま暫く固まっていた。
「・・・・・・そこに、互いの位置情報が分かるように地図を表示して、尚かつ相手の位置がマーキングされるって訳だ。これは自分の魔力量によって範囲が設定されるから、ノアが言うようにお前らなら広範囲で軽く使えるだろう」
コレなら多少離れてても位置が把握できるから安心だ。
「「・・・・・・いやもう、なんて言えば良いのか・・・。こういうのを無意識にやらかしてるんだよな?」」
「そうだな。だがノアの行動に制限はつけないぜ。俺が後始末するからな」
竜人としての番い至上主義と、それが出来るからこその発言か。
「---そう、か。そうだな。ノアはアークのおかげで今はとても生き生きとしているんだな。なら俺達もやることは同じだ。ノアを護るぜ」
「うん」
「・・・・・・ありがとう。頼もしいよ」
そんな会話を交わしている間に、ノアはいつの間にかギギ達の分の魔導具の腕輪を錬成し終えていた。
「出来たよ!」
「「「え、いつの間に?!」」」
「材料があればすぐだよ?」
不思議そうに言われて、これは基準となる人物が大賢者しかいなかったからこその弊害だなと、三人は深ーい溜息を吐いたのだった・・・・・・。
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