迷い子の月下美人

エウラ

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157 旅の道連れが増えそうです

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ギギ達もアーク達の個室に通して貰う。
料理もまとめて4人分運んで貰って人払いをして、ノアに防音結界の魔法をかけて貰う。

相変わらずの魔法に苦笑しながら、ギギが話を進める。

「アーク達は明後日の朝にここを発つってギルマスに聞いたんだが?」
「そうだな」

食事に手を付けながら話す。
ノアはさすがに今回は自分で食べているが。

「以前、俺達も竜王国に向かうと言ったのを覚えているか?」
「ああ、オーガスタでの出来事だったな。覚えてるぜ」
「なら話が早い。俺達も一緒について行くぜ」
「---はぁ?! お前ら、俺達が蜜月って分かってて言ってんのか? あ”あ”?!」

・・・・・・アーク、柄悪すぎ・・・。
そんなワイルドなアークもカッコいいけど、大公家としてはどうなの・・・?

なんて思いながらも黙って食事をするノア。
やれやれという感じのルルが間に入る。

「分かってるよ。大丈夫、ピッタリくっついて行くって言うんじゃなくて、一緒に出立して同じ方向へ向かおうって言うだけだよ。アーク達と同じルートを通っていけば何かあったときに対処しやすいし、ね?」

さすがに蜜月の邪魔はしないって、とこぼすルルに溜飲を下げたアーク。

「・・・それなら良いが・・・ノアはそれで構わないのか?」
「俺? アークが良いならば別に・・・。ようは行き先が同じなだけなんだよね?」

知り合いとはいえ、さすがに一日中一緒は人見知りの俺には辛い。

「そうそう、何かあれば駆けつけるけど、アーク達の前か後かを歩くだけさ」
「なら、問題ない。・・・・・・ああ、それなら、ギギ達の野営のテントも魔改造しようか? これから寒さや雪が大変だって聞いたから、少しでも安全に過ごせるように、良いかな、アーク?」
「---良いんじゃないか?」
「「え? え? 何が? どういう事?」」

ギギ達が疑問符を浮かべているが、お構いなしに話を続ける。

「取りあえず、食べ終わったら俺達の部屋に来てくれる? そこでテントの魔改造して・・・他にもあれば付与とか色々・・・」
「そうだな、安全の為には色々とやることがあるな。じゃあそう言うことで」
「「何が『じゃあそう言うことで』だよ?! 全く分からんわ!!」」
「とにかく食べちゃおう」
「「おーい。ノアさーん?!」」
「・・・・・・諦めろ。すでに錬金での魔改造しか頭に無いから」
「「・・・・・・」」

こうしてわちゃわちゃと食事を終えた4人はアーク達の部屋に行き、ノアに言われるままテントや装備品などを渡す。

それらをあっという間に魔改造する様に唖然として、アークの過保護や苦労を垣間見たのであった。

---うん、これは放っておけない。
誰かがついててやらないとアカン。
こんな調子で色々と騙されたりしてたんだなと改めて認識した。

そうしてノアが夢中で魔改造している間にギギ達はこっそりとアークに『見守り隊』に入隊したことを話した。

「・・・マジで? 良く入れたな。基本的にギルド職員オンリーだったのに」
「えーと、ノアのいた街の冒険者ギルド、トップが変わったんだよ。知ってるか?」
「・・・ああ、たしか魔人族だって聞いたが・・・」
「ウロボロスって言うんだが、そいつ、親父のPTにいた魔人族の息子なんだよ。俺達とも知り合いでな、それで融通して貰ったんだ」
「---へえ、それはなんて言うか、凄い偶然だな」

さすがにアークも驚いた。
偶然というより必然だったのかもな・・・。

「例のノアの母親の件も知っていたから、その事をチラッと話したら喜んでいたが、反面あの街でのノアの事でかなり憤っていたよ。街のヤツらを滅ぼしそうな勢いだった」
「うんうん。まあ、新しい領主様も腹黒・・・いや、まあ・・・色々やってくれそうだし、心配イラナイヨ・・・」

何故か片言になったルルにアークは怪訝そうにしたが、まあ良いだろう。

そんな会話を聞きながら部屋の隅にゴロゴロ寝ていたヴァンは、我関せずという感じで二度寝を決め込んだ。


魔改造に満足したノアが和やかに終了の合図をするのはそれから約一時間後。

説明を受けたギギルル兄弟が悲鳴のような歓声をあげるのはそれから間もなく。

明後日の出立の時刻を確認するとアーク達の部屋をほくほく顔で出て行ったのだった。


「楽しかったか?」
「うん、もっとやりたかったな」
「この先、竜王国まで一緒なんだ。またやらせて貰えるさ」
「そうだね。また後でやらせて貰おう」

そう言って本当に楽しそうに笑った。





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