161 / 534
157 旅の道連れが増えそうです
しおりを挟むギギ達もアーク達の個室に通して貰う。
料理もまとめて4人分運んで貰って人払いをして、ノアに防音結界の魔法をかけて貰う。
相変わらずの魔法に苦笑しながら、ギギが話を進める。
「アーク達は明後日の朝にここを発つってギルマスに聞いたんだが?」
「そうだな」
食事に手を付けながら話す。
ノアはさすがに今回は自分で食べているが。
「以前、俺達も竜王国に向かうと言ったのを覚えているか?」
「ああ、オーガスタでの出来事だったな。覚えてるぜ」
「なら話が早い。俺達も一緒について行くぜ」
「---はぁ?! お前ら、俺達が蜜月って分かってて言ってんのか? あ”あ”?!」
・・・・・・アーク、柄悪すぎ・・・。
そんなワイルドなアークもカッコいいけど、大公家としてはどうなの・・・?
なんて思いながらも黙って食事をするノア。
やれやれという感じのルルが間に入る。
「分かってるよ。大丈夫、ピッタリくっついて行くって言うんじゃなくて、一緒に出立して同じ方向へ向かおうって言うだけだよ。アーク達と同じルートを通っていけば何かあったときに対処しやすいし、ね?」
さすがに蜜月の邪魔はしないって、とこぼすルルに溜飲を下げたアーク。
「・・・それなら良いが・・・ノアはそれで構わないのか?」
「俺? アークが良いならば別に・・・。ようは行き先が同じなだけなんだよね?」
知り合いとはいえ、さすがに一日中一緒は人見知りの俺には辛い。
「そうそう、何かあれば駆けつけるけど、アーク達の前か後かを歩くだけさ」
「なら、問題ない。・・・・・・ああ、それなら、ギギ達の野営のテントも魔改造しようか? これから寒さや雪が大変だって聞いたから、少しでも安全に過ごせるように、良いかな、アーク?」
「---良いんじゃないか?」
「「え? え? 何が? どういう事?」」
ギギ達が疑問符を浮かべているが、お構いなしに話を続ける。
「取りあえず、食べ終わったら俺達の部屋に来てくれる? そこでテントの魔改造して・・・他にもあれば付与とか色々・・・」
「そうだな、安全の為には色々とやることがあるな。じゃあそう言うことで」
「「何が『じゃあそう言うことで』だよ?! 全く分からんわ!!」」
「とにかく食べちゃおう」
「「おーい。ノアさーん?!」」
「・・・・・・諦めろ。すでに錬金での魔改造しか頭に無いから」
「「・・・・・・」」
こうしてわちゃわちゃと食事を終えた4人はアーク達の部屋に行き、ノアに言われるままテントや装備品などを渡す。
それらをあっという間に魔改造する様に唖然として、アークの過保護や苦労を垣間見たのであった。
---うん、これは放っておけない。
誰かがついててやらないとアカン。
こんな調子で色々と騙されたりしてたんだなと改めて認識した。
そうしてノアが夢中で魔改造している間にギギ達はこっそりとアークに『見守り隊』に入隊したことを話した。
「・・・マジで? 良く入れたな。基本的にギルド職員オンリーだったのに」
「えーと、ノアのいた街の冒険者ギルド、トップが変わったんだよ。知ってるか?」
「・・・ああ、たしか魔人族だって聞いたが・・・」
「ウロボロスって言うんだが、そいつ、親父のPTにいた魔人族の息子なんだよ。俺達とも知り合いでな、それで融通して貰ったんだ」
「---へえ、それはなんて言うか、凄い偶然だな」
さすがにアークも驚いた。
偶然というより必然だったのかもな・・・。
「例のノアの母親の件も知っていたから、その事をチラッと話したら喜んでいたが、反面あの街でのノアの事でかなり憤っていたよ。街のヤツらを滅ぼしそうな勢いだった」
「うんうん。まあ、新しい領主様も腹黒・・・いや、まあ・・・色々やってくれそうだし、心配イラナイヨ・・・」
何故か片言になったルルにアークは怪訝そうにしたが、まあ良いだろう。
そんな会話を聞きながら部屋の隅にゴロゴロ寝ていたヴァンは、我関せずという感じで二度寝を決め込んだ。
魔改造に満足したノアが和やかに終了の合図をするのはそれから約一時間後。
説明を受けたギギルル兄弟が悲鳴のような歓声をあげるのはそれから間もなく。
明後日の出立の時刻を確認するとアーク達の部屋をほくほく顔で出て行ったのだった。
「楽しかったか?」
「うん、もっとやりたかったな」
「この先、竜王国まで一緒なんだ。またやらせて貰えるさ」
「そうだね。また後でやらせて貰おう」
そう言って本当に楽しそうに笑った。
255
お気に入りに追加
7,352
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる