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133 北の辺境地へ 1
しおりを挟むひと月ほど滞在した要塞都市ライズだったが、新しい迷宮【ミドガルズの迷宮】の整備、検証の最終確認としてもう一度アークとノアが迷宮を1階層から入り、一通り階層を経由し、100階層のボス・ミドガルズオルムを倒して踏破をした。
「うん。問題なく、各階層の魔物もそのレベルにあったモノがいるようだ。あぶれる事も無さそうだし、ボスも最初からミドガルズオルムが出たし、迷宮の出入りだけ気を付ければ少しづつでも攻略出来るんじゃないか?」
そう言ったアークにノアも付け足す。
「そうだね。必ず数組のPT組んで、逸れないように協力する事だね。エリアはほいほい変わるから、無理は禁物。死ぬようなモンだから」
結構浅い階層でも色々と素材が良いから、無理する必要は無いだろう。
名声を得ても死んだら意味がない。
「・・・そうか、助かった。ありがとう、本当にありがとう」
そういって頭を下げるギルマスに慌てる。
「上の人はそんなに簡単に頭を下げちゃ駄目です。元々滞在中に何かあれば頼れって言ったのコッチだし」
「そうそう。俺達だって得たモノは多い。結果が良かったんだ、気にするな。それよりコレからの方が大変だろう?」
迷宮の管理やらギルドのやることは多い。
ノアはそっとポーション類をお土産としてサブギルマスに手渡した。
皆、目の下の隈が酷いよ?
それから数日後、ノアとアークは要塞都市ライズをあとにした。
このひと月で知り合いも増えた。
暇を見つけて防寒グッズもたくさん錬成したし、欲しいものもたくさん買いこんだ。
だから迷宮の確認が終わったら出発する旨は皆に話してあった。
見送りは良いよ、と言っておいたんだけど・・・。
「---壁の上」
「ああ」
「たくさん、皆、手を振ってくれてる」
「ノアもいっぱい振ってやれば良い」
「・・・ん。楽しかった。またね!」
そういって手を振りかえした。
今度は涙は見せなかった。
来ようと思えば、また来られる。
ずっとお別れじゃないから。
「---さて、この先は辺境地だ。事前に話したとおり、村や街などはほとんど無いから、道中、魔物を狩ったり野宿して進むぞ。まあ、俺達には家があるから関係ないけどな」
「うん。寒くなってきたら作った防寒グッズが役に立つはず。えへへ、もふもふいっぱい!」
「---あー、うん。楽しみだな」
ちょっと複雑な顔のアークに気付いたヴァンが、アークにだけ呟いた。
『我に抱き着くよりは良かろうが』
「・・・クソ、俺ももふもふが欲しい」
ノアに蕩ける顔で撫でて欲しい・・・。
・・・アークが切実に願っているが、もふもふなんて無くても何時もアークには蕩けているだろうが、と心の中で呆れるヴァンだった。
仔狼サイズのヴァンは相変わらずアークの肩にのっているが、時折消えるので魔物を狩ったりしているのだろう。
従魔契約をしたとは言え、基本的にヴァンは自由に過ごしている。
念話で離れていても会話が出来るし、単体でも十分強いからだ。
テントにはヴァンも登録済みで、テント内をちょっと魔改造した。
アークとイチャイチャするので、そういうのを気にしないで済むように。
さすがにノアは恥ずかしがったし、アークも他のヤツに見せたり聞かせる趣味は無い、と言うか見せたく無い監禁推奨一歩手前の番い至上主義。
と言うわけで、ライズに滞在中に大幅な錬成を行っていた。
まず、テントの入口は共通なのだが、アークとノア、ヴァンとでは入口を通った瞬間にテント内の別空間にとぶようにした。
ようはテント内で居住区を別にしたのだ。
アークとノアは何時もの部屋に、ヴァンは新しく作った離れの家にまっすぐ入るようにして、何か用があればその離れから母屋に扉一つで出入りできるようにした。
もちろん、出入りの時には双方に鈴の音がチリンとなるようにして相手に確認を取るようにした。
裸でうろうろしてるときにヴァンと出くわしたら気まずいなんてモノじゃないでしょ?
---何で裸でうろうろって・・・・・・察しろ!
後はノア達の寝室は鍵付きにした。
今まではノアだけだったし、アークと番った後もアーク以外いないし入れないし?
だから鍵なんて一つも無かったんだけど、ヴァンがいるからさすがにね?
まあ、ヴァンは勝手にプライベート空間に踏み込むことはしないんだけど、俺達の気持ちがねえ。
なのでノアかアークが中にいてもいなくても自動で鍵をかける仕様。
ノアかアークなら出入り自由で、常にロックがかかってる状態。
まあ便宜上鍵と言うが、テント入口の魔力登録と同じなので、扉が開いてたとしてもノア達の後に続こうとしても弾かれて入れないので安心安全。
そんなわけで、安心して野営でヤリ放題・・・・・・言葉にするとなんか、アレだな。
ともかく、厳しい辺境地と言っても、俺達には全く問題なしだったのだ。
強いて言えば、幻獣のヴァンは元々食べ物は嗜好品扱いで、もっぱら自然の魔素を吸収しているそうなのだが、リンデンと旅をしているうちに食の美味しさ、楽しさに目覚めて今では結構グルメなんだとか。
そのせいでライズに滞在中もあちこち食べ歩き、ノアに料理して貰ったりと、アークもかなりの量を食べるのに一匹分の食材がかなり増えたので、最後はヴァンが自分の食い扶持を稼ぎに行くようになった。
道中も好き勝手に狩ってきては腕輪に収納しておいて、食べたいときにポイッと出す。
『コレで美味い肉料理を作ってくれ!』
「良いけど、アークも俺も食べるよ? それで良いなら・・・」
『もちろんだ! 足りなければもっと出すぞ!!』
「大丈夫だよ、俺の方にも入ってるし。じゃあ作るね、待ってて」
そんなわけで今日も大量に料理を作るノアだった。
毎日のように料理を作るので、ノアのインベントリにはひと月は何も作らなくても食べられるだけの料理が入っているのだが、こうやって後から後からどんどん作っているので、ノアも量を把握できていないのだった。
※ストックが切れるので、更新が遅れる可能性があります。どうぞ気長にお待ちください。
ちょっとこの先の展開を構想中です。
この後、数話はノアとアークの出番が少ないと思います。(本人は出ないと思います)
その後は本筋に戻るはず・・・。
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