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131 知己朋友 2
しおりを挟む「---そんな事になっていたなら、もっと大騒ぎになっていただろうが、そんな話は全く聞かなかったぞ・・・? 確か俺と出逢ったのは20年程前だったよな。その時には封印し終えてたって事か?」
アークが怪訝そうな顔でヴァンに聞いた。
『おう。お前は知らないか。今の竜王国の王は特殊なスキルの持ち主での・・・。異空間収納魔法の特殊版のようなもので、通常は生きているモノは入れられないのだが、竜王の作った空間には生き物も入れられるのよ。もちろん時間は進むがな。ただ、酷くゆっくりだったのは覚えておるよ』
ヴァンはついこの間のように思い出せる。
『そんな異空間収納魔法にリンドヴルムと我とラグナロクは入っていた。体感で2日ぐらいだったが、一歩外に出てみれば200年経っていたのだ』
「「---ハア?!」」
『我もさすがに驚いたぞ』
ヴァンは苦笑いのような顔をした。
「・・・え、じゃあ、父さんが封印されてる場所って・・・」
「---まさか」
『そのまさかだな。現竜王のインベントリの中だ』
「「・・・・・・」」
そりゃあ、誰にも分からないはずだ。
そう言えば、大賢者が引退したという話を聞いて父上に尋ねたとき、曖昧に笑ってはぐらかされたんだよな。
・・・まさか、父上も一枚噛んでいたのか?
リンドヴルムの事を知っていて隠蔽していたのかもしれない。
あの時はまさかこんな形で関わることになるとは思ってもみなかったしな・・・。
だが今回ばかりは真実を知れそうだ。
何はともあれ、ノアの父親の行方が知れた。
これは大きな収穫だった。
「禍転じて福となす---だな」
「そうだねぇ」
『・・・我、役に立った?』
ヴァンが褒めて!とばかりに尻尾をブンブン振り回して見つめてくるのを二人してふはっと噴き出し・・・。
「ああ、凄え役に立った」
「もふもふ最高!」
ノアがトンチンカンな事を言ってヴァンに抱きついたのを速攻で引き剥がし、蹴り倒した。
『動物虐待!』
「お前は動物じゃなくて幻獣だろうが!」
「アーク、蹴っちゃ駄目だよ」
「ノアも騙されるな。ただのもふもふ愛玩動物じゃない! 雄だ! 俺の敵だ!」
『・・・お前の従魔になったのだし、さすがに好一対には手は出さんよ?』
「そういう問題じゃ無い。俺以外はすべからく排除すべき対象なんだ」
『・・・・・・本当に狭量だな。竜人の番い至上主義、恐るべし・・・』
「あ、竜人と言えば、魔法騎士団の人達はどうしたのかな?」
アークにしては珍しく興奮状態だったが、ノアがルドヴィカ達の事を口にしたので一旦落ち着きを取り戻した。
「そう言えば今日は見かけてないな。ギルドにもいなかったし」
「帰っちゃった?」
「---いや、ルドヴィカの事だ。黙って帰ることはしないだろう。・・・となると、何処かの宿か領主邸にでも泊まっているかもな」
今回の件を竜王国にも報告するだろうし、何より大公家に番いの事を報告するだろう。
だがまあ、ノアの父親の素性や所在が知れたし、急いで帰る必要はないから、ノアとのんびり行こう。
そもそも急いで向かっても封印解除とか無理だろうし?
それにしても、余りにも荒唐無稽な展開で、俺でも処理がうまくいかないのに、当のノアはもっと複雑だろう。
その辺りも含めて、ゆっくり旅をしながら向かうさ。
---面倒臭いフェンリルが付いてくるけどな!
ちなみに、ノアの父親の事はヴァンにも誓約魔法で他言無用と言い聞かせた。
何処で情報が漏れて大事に発展するか分からないからな。
リスクは少ないに越したことはない。
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