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103 猫獣人の村
しおりを挟むあの後、村の広場にテントを張らせて貰い、詳しい話をする事になった。
「リーフは俺達と他の子供数人と森の浅いところに果実を採りに行ったんだが、目を離した隙に少し奥の方に入ってしまったようでな。気付いた時には姿が見えなくなっていたんだ」
「おそらく、古の森に踏み込んでしまったのだろう。・・・明確な線引きは無いが、大人達は本能でここまでという勘が働くのだが子供は経験不足なせいか、感じ取れないんだ」
リーフの父親・・・ハリィと村長のフィンが話してくれた。
確かに境界線が目に見える形であるわけでないし、子供は好奇心で動くから何処に行くか想像がつかない。
「古の森は竜人以外は弾くからな。ソレで違う場所に飛ばされたんだろう。俺達があの子供を保護したのはここからかなり離れていたぞ」
「そういえば、何処で助けてくれたんだ?」
「この村から10キロほど南の森の休憩場所だ。ちょうどそこで野営をしようと準備していたら空間が歪んで、現れたのがリーフだったわけだ」
「10キロ?! ほんの一瞬でそんなに?!」
ハリィが驚きの声をあげた。
それでは付近を探しても見つからなかっただろう。
それを想像したのか、顔を青くさせた。
「・・・・・・多分だけど、わざと俺達の元に転移させたんじゃないかな」
「・・・・・・どういう・・・?」
ノアの言葉にハリィとフィンが怪訝そうな顔をした。
「精霊王が俺達の元に送ったということだ」
「俺達がこの村に向かっているのを知っててやった可能性が高い。俺達なら生半可な敵にやられないからね」
「・・・・・・えーと、つまり?」
「ああ、俺達はSランク冒険者で竜人(と混血)だから。精霊王の知り合いで古の森に出入り出来るからな。都合が良かったんだろう」
アークがそう言ったら、二人はポカンとして固まった。
「・・・・・・えええSランク?!」
「せせ精霊王と知り合いぃ---?!」
どもりながら叫んでいる二人に、周りの住人がなんだなんだと騒ぎ出して、しまいにはリーフに『翼見せて!!』とせがまれて、苦笑しながらアークとノアは翼を顕現させて見せた。
どうやら住人達は竜人を初めて見たようで、皆、興奮しきりだったわけだが、ノアは案の定、ぴるぴる震えていてすぐに翼を消してしまった。
アークは翼でノアを抱き込むように隠してしまい、そこでお開きとなった。
「---皆がすまなかったの」
フィンが謝っていたが、驚いただけなので、何時ものことなのでと言って、普通にして貰った。
「今日はここで一泊させて貰うな」
「場所を借ります」
「こちらこそ、何もおもてなし出来ずに、スミマセン」
「気にしないで。じゃあ、おやすみなさい」
「「おやすみなさい」」
そういってテントに入って行った。
村長達も晩御飯を食べて寝るのだろう。
「---もふもふ・・・」
思わず口に出ていたようで、アークにぷっと笑われた。
「手持ちの素材でぬいぐるみとか作れば触り放題じゃねえの?」
「---!! それだ! アーク、頭良い!」
一気にやる気になったノアに、コレは失敗したかなと溜息を吐いた。
ノアが嬉々として作業を始めてしまったので大人しく見守ることにしたアークだった。
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