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100 閑話 淡い恋心(sideローラン)
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※ノアの初恋?の元冒険者。
本編に影響はないので読まずとも問題はありません。
俺がこの街に来たのは最近だった。
このアインの街には上級迷宮があり、その攻略が目的だった。
だが、上級だけあってPTでBランク以上が推奨だったためにすぐには潜れなかった。
俺はまだBランクだったからだ。
初めてでソロのBランクでは難しいとギルド職員に言われて、ひとまずどこかのPTに入れて貰おうと思ったのだ。
それで情報を得る為に、冒険者はもちろん街の店や住人に声をかけてみた。
そこでたまたま入った雑貨店で一瞬目が合ったように思われたローブ姿の青年。
切れ長の銀色の瞳が見えて、綺麗だと思った。
暫くポカンとしていたら、さっきの青年の悪口を良いながら雑貨店の売り子が媚びを売ってきて、そうなのかと返事をしつつも、この子も可愛いなと話しているうちに青年の事は忘れてしまっていた。
それが数日後、冒険者ギルドで見かけて思い出し、声をかけたら逃げられてしまった。
ギルド職員に聞くと、人見知りで最初はあんな感じだと言う。
ならば声をかけまくって慣れて貰おうと、何故かやる気を出した。
思えば、一目ぼれだったんだろう。
しつこく声をかけていたら、一ヶ月後には少し話をしてくれるようになって、嬉しくてニヤニヤしていたら雑貨店のサリィを始め、街の住人から彼・・・ノアの悪評を聞かされるようになった。
冒険者ギルドでは聞かなかったソレは、ノアが如何に人嫌いで出来損ないで役立たずか、街の住人から嫌われているかといったモノで。
散々聞かされるうちに、ソレが真実だと思えてきて、ノアを見かけても声をかける事もなく、視線も向けなくなっていった。
ノアは以前のように誰とも話さず、自然と独りに戻っていった。
迷宮には臨時でPTに入れて貰って潜ってはいたが、思ったような成果が出ずに燻っていたときに、雑貨店のサリィに誘われるまま体の関係を持った。
そのままずるずると関係を続けていたら、サリィが子を孕んだと言ってきた。
「ねえ、ローラン。お願い・・・僕と結婚して、この店を盛り立てて欲しいの」
「お前に子が出来たならば、俺としては嬉しいが・・・俺で良いのか?」
「ローランが良いの。お腹の子の親はローランが良いの」
・・・?
サリィの言葉が少し引っかかったが、にっこり笑ってしがみついてきた彼に、すぐに気にならなくなった。
「---分かった。冒険者は辞めてお前と結婚して店を継ぐよ。よろしくな、サリィ」
「---嬉しい!」
そうしてこの街に来ておよそ一年。
俺は雑貨店の看板息子のサリィとデキ婚した。
冒険者としては余りぱっとしなかったが、可愛い嫁を貰って店を盛り立てていく幸せを噛みしめていた。
そんな矢先に、あの出来損ないのノアがSランク冒険者と番ったと聞いたときには驚いたが、家を引き払って街を出ていったことが嬉しくてすぐに気にならなくなった。
---この頃の俺はとことんおめでたいヤツだったんだ。
そもそも役立たずのヤツがAランク冒険者なのがおかしいし、冒険者ギルドでは悪評など一度も聞かなかった。
臨時のPTメンバーからは白い目で見られていた気もする。
そんな簡単な事にも気付かないほど、サリィ達に毒されていたんだろう。
暫くして、ノアが薬師マイスターになっていた事、Sランク冒険者に昇級した事、前人未到の北の迷宮を初踏破した事などを冒険者ギルド職員が話しているのを聞いた。
---何処が役立たずの出来損ないだって?
心なしか、街の住人達の顔色が悪い。
ノアをめちゃくちゃ酷評していたヤツらだ。
・・・今頃気付いた。
街の住人達があることないこと噂してノアを村八分にしていたと。
その中に俺も含まれていたんだと・・・。
暫くして、王都の騎士団が大勢やって来て、領主と薬師ギルドの癒着やノアの貸家の家賃の不正搾取など、多くの罪でたくさんのヤツらが捕まっていった。
住人達は直接の関係は無いが、悪評を広めて間接的に加担したとして一定期間の税の値上げをされていた。
当然、うちの雑貨店もだ。
「・・・ははっ、自業自得だ」
乾いた笑いが漏れたが、仕方がない。
生まれてくる子供のためにも頑張って働いて税金を納めなくちゃ。
だからな。
未だにノアを罵るのは止めてくれ。
俺がお前を嫌いになる前に・・・。
---ノア、お前のこと・・・・・・。
いや、番いのSランク冒険者に殺されるから、コレは墓場まで持っていかないとな。
こんな俺に祈られても嫌だろうが、どうか幸せになってくれ・・・・・・。
本編に影響はないので読まずとも問題はありません。
俺がこの街に来たのは最近だった。
このアインの街には上級迷宮があり、その攻略が目的だった。
だが、上級だけあってPTでBランク以上が推奨だったためにすぐには潜れなかった。
俺はまだBランクだったからだ。
初めてでソロのBランクでは難しいとギルド職員に言われて、ひとまずどこかのPTに入れて貰おうと思ったのだ。
それで情報を得る為に、冒険者はもちろん街の店や住人に声をかけてみた。
そこでたまたま入った雑貨店で一瞬目が合ったように思われたローブ姿の青年。
切れ長の銀色の瞳が見えて、綺麗だと思った。
暫くポカンとしていたら、さっきの青年の悪口を良いながら雑貨店の売り子が媚びを売ってきて、そうなのかと返事をしつつも、この子も可愛いなと話しているうちに青年の事は忘れてしまっていた。
それが数日後、冒険者ギルドで見かけて思い出し、声をかけたら逃げられてしまった。
ギルド職員に聞くと、人見知りで最初はあんな感じだと言う。
ならば声をかけまくって慣れて貰おうと、何故かやる気を出した。
思えば、一目ぼれだったんだろう。
しつこく声をかけていたら、一ヶ月後には少し話をしてくれるようになって、嬉しくてニヤニヤしていたら雑貨店のサリィを始め、街の住人から彼・・・ノアの悪評を聞かされるようになった。
冒険者ギルドでは聞かなかったソレは、ノアが如何に人嫌いで出来損ないで役立たずか、街の住人から嫌われているかといったモノで。
散々聞かされるうちに、ソレが真実だと思えてきて、ノアを見かけても声をかける事もなく、視線も向けなくなっていった。
ノアは以前のように誰とも話さず、自然と独りに戻っていった。
迷宮には臨時でPTに入れて貰って潜ってはいたが、思ったような成果が出ずに燻っていたときに、雑貨店のサリィに誘われるまま体の関係を持った。
そのままずるずると関係を続けていたら、サリィが子を孕んだと言ってきた。
「ねえ、ローラン。お願い・・・僕と結婚して、この店を盛り立てて欲しいの」
「お前に子が出来たならば、俺としては嬉しいが・・・俺で良いのか?」
「ローランが良いの。お腹の子の親はローランが良いの」
・・・?
サリィの言葉が少し引っかかったが、にっこり笑ってしがみついてきた彼に、すぐに気にならなくなった。
「---分かった。冒険者は辞めてお前と結婚して店を継ぐよ。よろしくな、サリィ」
「---嬉しい!」
そうしてこの街に来ておよそ一年。
俺は雑貨店の看板息子のサリィとデキ婚した。
冒険者としては余りぱっとしなかったが、可愛い嫁を貰って店を盛り立てていく幸せを噛みしめていた。
そんな矢先に、あの出来損ないのノアがSランク冒険者と番ったと聞いたときには驚いたが、家を引き払って街を出ていったことが嬉しくてすぐに気にならなくなった。
---この頃の俺はとことんおめでたいヤツだったんだ。
そもそも役立たずのヤツがAランク冒険者なのがおかしいし、冒険者ギルドでは悪評など一度も聞かなかった。
臨時のPTメンバーからは白い目で見られていた気もする。
そんな簡単な事にも気付かないほど、サリィ達に毒されていたんだろう。
暫くして、ノアが薬師マイスターになっていた事、Sランク冒険者に昇級した事、前人未到の北の迷宮を初踏破した事などを冒険者ギルド職員が話しているのを聞いた。
---何処が役立たずの出来損ないだって?
心なしか、街の住人達の顔色が悪い。
ノアをめちゃくちゃ酷評していたヤツらだ。
・・・今頃気付いた。
街の住人達があることないこと噂してノアを村八分にしていたと。
その中に俺も含まれていたんだと・・・。
暫くして、王都の騎士団が大勢やって来て、領主と薬師ギルドの癒着やノアの貸家の家賃の不正搾取など、多くの罪でたくさんのヤツらが捕まっていった。
住人達は直接の関係は無いが、悪評を広めて間接的に加担したとして一定期間の税の値上げをされていた。
当然、うちの雑貨店もだ。
「・・・ははっ、自業自得だ」
乾いた笑いが漏れたが、仕方がない。
生まれてくる子供のためにも頑張って働いて税金を納めなくちゃ。
だからな。
未だにノアを罵るのは止めてくれ。
俺がお前を嫌いになる前に・・・。
---ノア、お前のこと・・・・・・。
いや、番いのSランク冒険者に殺されるから、コレは墓場まで持っていかないとな。
こんな俺に祈られても嫌だろうが、どうか幸せになってくれ・・・・・・。
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