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92 意外な繋がり 1(sideギギ&ルル兄弟)
しおりを挟む先日見かけたあの男、どうやらノア達と接触したらしい。
それを俺達兄弟が聞いたのは、二人が接触し終えてすでに何やら問題が解決した後だった。
ノア達と初めて会ったあの日、あの男が気にはなっていたがどうしようもなく、迷宮攻略に勤しんでいたら、ノアに食事の誘いを受けたんだ。
「ギギとルル、今度迷宮でドロップした食材で食事会をするから、来てくれないか?」
「ノアのSランク昇級のお祝いみたいな感じでな、ギルドの食堂を貸し切ったんだ。ノアが手料理を振る舞うから、予定を立ててぜひ来てくれ。準備があるから、三日後のちょうど昼の時間で」
ノアとアークにそう言われ、二つ返事で返した。
「楽しみだなあ! しっかり予定を開けて腹を空かせておかねば!」
「そうだけど、食べ過ぎないようにね? 特に肉とか肉とか・・・・・・!」
「はっはっは! 善処する」
「・・・・・・しないな、お兄・・・する気ないな」
ルルに呆れられた。
それから三日後の昼にギルドに行くと、『深緑』のPTの4人がいた。
話を聞くと、俺達がノア達に会った日の迷宮で偶然行動を共にしていたらしい。
「アーク達のお陰で10階層まで行けたんだ」
「それにノアのお陰で、俺達、お互いに恋人同士になれたんだよ」
「びっくりしたけど、上手く鞘に収まって」
「今はとっても幸せ」
「──へえ、凄いな」
「羨ましい! 俺もお兄と一緒なんてもう飽きたよ!」
「どういう意味だよ!」
そんな他愛も無い雑談に花を咲かせていたら、どうやら始まるみたいだ。
「良く来てくれたな、お前ら。今日はノアの料理を大盤振る舞いだ。好きなだけ食べて呑んでくれ」
アークがそう言うと、事前に大量に作っておいたのだろう、マジックバッグからさまざまな料理が出て来てあっと言う間にテーブルが埋まった。
「手間のかかる料理は前もって仕込んでおいたけど、簡単なモノはここで作るから、リクエストあったら俺が作れるモノは作るよ」
そう言われて、俺は早速ステーキを頼んだ。
「お兄、野菜も食べて!」
「ルル、スープが具だくさんだから、出来るまで飲ませてやって?」
ノアがクスッと笑ってそう言ったのを、周りの皆が見蕩れていた。
即座にアークの軽い威圧がとんできたが。
マスターのサウスも今日はノアの手伝いにまわっていて、出来た料理を運んだり飲み物を持ってきたりと大忙しだった。
「マスターは飲まねえの?」
「今日は全面的にノアの手伝いだ。昼間から飲まねえよ。それに料理の幾つかはレシピを貰うことになってる。それの対価だ」
「え!! じゃあこの料理のどれかは今度ここでも食えるってこと?!」
「ノア程の味になるかは努力次第だがな」
「やった! 頼むぜ、マスター!!」
苦笑交じりで言うサウスに、大喜びのギギ達。
いつしか、ギルマスや他の冒険者達、ギルド職員も混じって大騒ぎの宴会になった。
ギギとルルは厨房で料理をするノアをチラッと見た。
何時もは人見知りでぴるぴるしているノアが今日は割と平気らしい。
───人見知りが出ないくらい何か良いことでもあったのかな?
ルルとそんな話をしながら、夕方近くまで呑んで食って騒いだ。
「「「「ノア、アーク! ご馳走様ー! そしてSランク昇級おめでとうー!!」」」」
『深緑』が最後に締めて、周りから『今頃かよ!』『祝いは普通最初だろ───!』と大笑いで突っ込まれていた。
「今日は楽しかった。ありがとう。気をつけて帰ってね」
「ありがとう、またな」
ノアとアークがそういって皆を送り出し、片付け始まったのを見て、俺とルルも手伝いにまわる。
「ギギ達、そんな事いいよ?」
「いやいや、俺達がやりたいんだ。凄く美味い料理で、ありがとうの気持ちだ」
「───じゃあ、遠慮なく」
まあ、魔法であっと言う間に綺麗になるが、椅子やテーブルを整えるのは無理だしな。
・・・・・・あと、聞きたいこともあったし。
すっかり片付いた頃に、アークにコソッと耳打ちをした。
『実はこの前ノアを見てアリテシアと呟いた男がいたんだが・・・・・・』
『───ああ、アレはもう片付いたんだが・・・・・・何か知っているのか?』
『ちょとな・・・・・・それで気になってて』
『じゃあ、この後、俺達の宿に一緒に来てくれ』
『・・・・・・分かった』
そんな事を話して、ルルと一緒にアーク達の宿に共に向かったんだ。
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