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80 昇級試験と迷宮探索 2
しおりを挟むかなりのレア度。
ちなみに誰も達成したことがない。
そもそも30階層まで行ける冒険者が少ないうえにリヴァイアサンを倒すだけでも一苦労。
更にはむちゃくちゃ低いドロップ率。
聞いた冒険者は昇級試験を受けることもせずに去って行く。
別のギルドでは昇級試験の内容が違うからだ。
昇級がかかっているのだから、皆、より自分が受けやすい試験を選ぶだろうな。
「だから挑戦者は今まで一人もいない」
いや、挑戦者って・・・。
普通、受験者じゃないの?
「30階層までPTとかで潜るのは良いんだな?」
「ああもちろん。必要なのは一人でリヴァイアサンを倒して手に入れた龍玉だからな。もちろん鑑定で誰が倒したヤツか分かるから不正は出来ないぜ」
その辺はちゃんとしてるんだな。
確かに誰かのを盗ったりするヤツもいるもんな。
「する気もないけど。でもそっか、そうなるととりあえず30階層まで行って転移魔法陣踏んで直ぐに行き来出来るようにしないと時間がもったいない」
サラッと言ったな、ノア。
ギルマスがヘンな顔をしてるぜ。
「行くだけなら直ぐだが、ドロップがなあ・・・」
「リヴァイアサンってあそこの地底竜より強い?」
「さあ? 一度戦って見ないことには・・・その辺、知ってるのか、ギルマス?」
「え? おい、まさか受けるのか?!」
ギルマスもサブギルマスも唖然としている。
「決まってるだろうが。どうせ迷宮踏破するつもりで潜ってるんだぜ。その過程でやるんだから問題ない」
「そうそう」
「はぁ?!」
頭を抱えるギルマスに言葉の出ないサブギルマス。
「えーと、試験で何か手続きがあるならお願いします?」
ノアがそう言うと、我に返ったサブギルマスのエリオットがギルドタグをくれと言うので差し出す。
机から魔導具を持ってきて・・・いや、ギルマスが慌てて取りに行った。
「これくらいでも重いモノを持たせられん」
「すみません」
そういって魔導具でタグに情報を書き込み、ノアに渡す。
「試験の内容が内容だからな、期限は特に設けてない。達成できなさそうなら取り消すだけで、ランクが下がるとか違約金を払うなんていう罰則は全く無いから、無理なら言ってくれ」
「ありがとうございます。ドロップするまで戦闘を何十回とするのは好きなので、多分大丈夫です」
タグを確認して首にかけ直すノア。
いや、ギルマスはそういう意味で言ったんじゃないぞ。
---暗に、一人でリヴァイアサン倒せるのかという意味だと思うぞ。
「・・・多分、瞬殺だろうな。リスポーンはどれぐらいだ? それを待つ時間が暇そうだ」
「はぁ?! いや、倒したことのあるPTの話では30分くらいだったらしいが・・・」
「一時間に二回か。五時間やれば出るかな?」
「計算上はな。それより早いかもしれないしもっとかかるかもしれないし」
「朝イチで潜って夕方までやればいいか」
二人の会話を聞きながら、疲れた様子のスサンダとエリオット。
「リヴァイアサン倒したPTってサウスのとこだろう? 確か30分以上かけて何とか倒したって・・・」
「そう聞いてます。彼らの会話っておかしいですよね?」
「もう、なんか、さすが竜人って感じだよな」
「・・・・・・そうですねぇ・・・」
疲れたギルマスはノア達を部屋から追い出して一息吐いた。
「朝から疲労感半端ないわ。エリオット、今日は昼で上がって家でゆっくり休め。疲れたろ」
「精神的なモノですが、そうですね。お言葉に甘えます」
「そうしてくれ。産み月が近いんだからな」
エリオットが部屋から出ると、スサンダはソファに沈み込んだ。
「でもまあ、アイツらなら楽勝な気がするなあ・・・。楽しみでもある」
苦笑して、仕事の続きの為に机に戻ったのだった。
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