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67 迷宮探索 3
しおりを挟む迷宮の入口はギルドが危険の無いように二重三重に魔導具の門で封印され、簡単には入れないようになっている。
職員達のギルドタグ確認と、門のタグ認証が合わさって初めて入れる。
まぁ、後は自己責任なので、入るときと違って出るときは特に何もしない。
稀にタグを失くしてくる冒険者もいるので、出る際にタグを認証させると出られなくなる。
それにスタンピードも稀に起こるので、いちいち認証してられないというのもある。
これは何処の迷宮でも同じだ。
「楽しみだな。どんな魔物がいるんだろう、ドロップアイテムはどんなのが出るかなあ」
「ご機嫌で何よりだ」
アークが、楽しそうに弾んだ声で言うノアに満面の笑みで言うと、ノアもにこっと笑う。
「アークと迷宮に潜るの、初めて出会った時以来だね」
「アレは一緒に潜るのとは違ったから、今回が二人で初めてになるな」
「! そうだね。初めて・・・二人で・・・」
ノアは言葉を噛みしめて、嬉しさでぴるぴるした。
それを見てアークが内心悶えていたが。
---ほんっと、可愛いよなぁ。
封印の門はギルドタグを持っていれば開くのでそのまま進んで行く。
開く、と言っているが実際は門型の魔導具で、タグに反応してすり抜ける感じだ。
認証されないと結界で弾かれる。
二つの門を通って本来の入口に到達。
さすがに朝イチで入った冒険者もまだ出ては来ないだろう。
入口は静まり返っていた。
「さて、行きますか」
「うん」
アークとノアは入口に転移の水晶を確認してから足を踏み入れた。
こちらも10階層毎に転移魔法陣があるのだろう。
とりあえずはその転移魔法陣を目指すことになる。
中はいきなりの草原だった。
聞いた話だとこれは固定では無く、次の日には岩山だったり洞窟だったり、逆に何日もそのまま草原だったりと、気まぐれに変化するので攻略が難しいという。
「確かに、色々と対策を練ってきても丸っきり違うフィールドが出て来たら焦るだろうな」
「そうだね。砂地を予想した装備だったのに湿原地帯だったりとか、丸っきり反対だもんね」
俺達は万能型だからその辺りは気にしなくても問題ないが。
サクサクと膝下の高さの草をかき分けて進む。
辺りには魔物の気配があるが、襲ってこない。
二人共威圧は放っていないが、魔物のランクが低いのだろう。
二人の強者オーラに怯えているようだ。
「・・・(襲って)来ないね」
「まぁ当然だな。面倒だし、このまま下の階層の階段を見つけて降りようぜ」
「うん、あ、薬草見つけたら採ってくれる?」
「それくらいお安いご用だ」
「ありがとう、アーク」
各々、薬草や木の実など、目に付いたモノを一通り採取しながら次の階層へと降りていく。
その際、目の端に自分達の前に並んでいたPTが戦闘しているのが見えたが、十分戦えてるし初見の自分達よりかはこの迷宮を分かっているんだろうし、と先に進んで行った。
もちろん救援を求めてくれば手助けをするつもりではいるが。
その辺りは悪事を企む者もいるので容易には手を貸さないつもりだ。
---ノアはきっと、助けを求められれば誰にでも手を貸すだろう。
下手に手助けが出来る実力があるために、疑うこともせず。
それによって傷付くのはノアだ。
そんなことは俺が許さないが。
番いの笑顔は俺が護る。
曇らせない。
そうして次の階層へと入った。
そこは森の中だった。
鬱蒼と生い茂る大小の木々に光を遮られて薄暗い。
古の森のように重い空気だった。
「・・・・・・あそこと似てるね」
「ああ、精霊王の住処以外の場所と似た気配だ。コレは当たりかな。いや、並みの冒険者にとっては外れかもな」
「うん、結構強い魔物や魔獣の気配がする」
---いやいや、結構どころじゃないんだが?
独りが長いせいか、本人のスペックが高いことを認識していないから自分基準になってるけど、めちゃくちゃ強い方だからな?
・・・言わないけど。
進行方向を確認してから進み出してすぐ、ある光景が目に入ってきた。
「・・・・・・アレは・・・」
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