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63 一蓮托生(sideオーガスタ冒険者ギルド)
しおりを挟むギルマスの執務室からノア殿を片手で抱えるように降りてきたアルカンシエル殿がこちらに向かって来ました。
何用かと窺うとおすすめの宿を聞かれたので、真っ先に『巣篭もり亭』を教えました。
お貴族様も泊まるこの街一の高級宿です。
値段はメッチャ高いですがサービス満点で料理も美味しいそうです!
泊まったことも食べたこともありませんが!
防犯もバッチリと、夜の方も・・・・・・防音で!
「分かった。行ってみるわ、ありがとう」
そういって颯爽と去って行きました。
ノア殿がちょっと目元を赤くしていたようですが、何かあったんですかねえ?
暫くしてギルマスが深ーい溜息を吐きながらぐったりと歩いてきました。
「どうかしたんですか?」
さっきのノア殿といい、様子が変ですよ。
「・・・・・・ああ、いや。うん・・・・・・」
口籠もっているギルマスをジッと見つめます。
「先程、ノア殿が目を腫らしていたようですが、何か関係が・・・?」
「---あー、うん、言っていいのかこれ。でもお前ら皆見守り隊だしなあ・・・情報共有は大事か・・・・・・」
えっ?!
結構重要なことですか?!
聞いたのはこちらですが、聞くの恐いんですけど・・・・・・!
他の職員達も聞き耳を立てる中、ギルマスは小さな声でそっと呟いた。
「実はな、ノアは221歳だった」
「・・・・・・は?」
「そうなるよな? 驚くよな?! ソレをノアが何時の間にかお爺さんみたいってショックで泣いちゃったんだよ」
「・・・・・・えーと? ノア殿は人族じゃないんですか?」
見た目丸っきり人族ですけど?!
「---一応竜人と兎人の混血だった。ソレも最近分かったらしい」
「へ?」
何か不穏な言葉が・・・。
一応って何?!
「ギルマス?! どーゆーコトですか?!」
「知らん。それ以上は怖くて聞けなかった。いやソレだって一応拒否ったのに聞かされたと言うか・・・・・・はぁ---」
ガックリきているギルマス。
ザワつく職員達。
「---こうなったら『一蓮托生』です! たとえ行く先が地獄だろうと最後まで見守ります!!」
「「「おおぉ---!!」」」
急に雄叫びを上げた僕達をビックリして見る冒険者達。
気にしません!!
僕達は何があろうとも『見守り隊』です!
早速エイダンのギルドの見守り隊に連絡して情報共有です!
ほら、ギルマス!
ボケッとしてないで仕事をして下さい!!
急にキビキビし出した見守り隊、もとい職員達に呆気にとられながらも己のデスクワークを熟すギルマス。
「しかし、色々爆弾を抱えていやがるなぁ」
ただの混血じゃあ無い言いっぷりだった。
そもそも種族不明だったって言うのがなあ・・・。
年齢は竜人の血が入っているなら分かるが、200年寝てたって・・・?
意味が分からん。
まあ、俺達に出来ることは多くない。
ひとまず見守り隊で後方支援だな。
---エイダンのヤツら、大丈夫かね・・・。
---その頃、オーガスタから連絡を受けたエイダンの見守り隊は、同じように吠えていたらしい。
通信魔導具の先で騒ぐ声が漏れていたとか。
向こうでも愛されてるな。
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