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32 値段が決まった模様
しおりを挟む翌日、快復したノアはアークと共に薬師ギルドに向かった。
夕べは大変だった。
案の定、お腹を空かせたノアがめちゃくちゃ不機嫌で目を覚まし、満足するまでご飯を食べさせたものの、熱をぶり返してベッドに逆戻り。
結局、自家製錬金術ポーションを再び飲む羽目に・・・。
因みにアークの口移しではないし、すでに意識のないときに一本飲まされている事は内緒だ。
(最初の時のように)速攻で効き目が現れて、熱も諸々の体の違和感もすっかり元通りになって漸く機嫌が直ったノア。
アークはすっかりしょげていた。
それに苦笑しながらアークに声をかける。
「別に怒ってないよ。ちょっと疲れただけ。後はお腹が空いてると嫌なこととか考えちゃうから、それでイライラ・・・って。俺の方こそ、ゴメンね?」
アークがぱああっと顔を明るくしてギュッと抱きしめてきた。
苦しいけど嬉しいって気持ちにまた笑った。
そのまま二人で寝落ちして、今に至る。
「おはよう御座います。お元気になられたようで良かったですな」
「昨日は大変でしたね。体調はもうよろしいのですか?」
薬師ギルドの長と副長だそうだ。
昨日は気絶してて全く分からなかったからね!
「・・・・・・大丈夫です」
ごめんなさい。やっぱり人見知り発動です。
アークに任せます。
そして冒険者ギルマス、今日も朝からスミマセン。
「という訳でポーションの査定は終わったようだな?」
「ええ! 素晴らしい結果でした!!」
・・・・・・そして俺の人見知りに気を悪くもせずに普通に流してくれる。
アークが何か言ったのかな?
ちらりと見るとにっと笑った。
「昨日、ノアの人見知りの事は話してある。それにここのヤツらはお前を排除しない。寧ろ大歓迎だった」
「・・・・・・そっか」
やっぱりあの街がおかしかったんだな。
---本当にアークに逢えて良かった。
何も言ってないのにギュッと抱きしめてきたアークに愛おしさが溢れる。
ありがとう。
心の中で呟いた。
「で、どういう具合なんだ?」
「こちらにそれぞれの価格設定とポーションの効果を記載してあります。そちらを見ながら詳しく説明してもよろしいでしょうか?」
「ノアもそれで良いか?」
「ん」
アークに聞かれて、自分もオッケーを出す。
それにしても他人に自分のポーションの評価をされるのって恥ずかしい。
居心地悪くもじもじしているとアークが自分の足の間にノアを移動して後ろからギュッと抱きしめてきた!
ひええっ---!
俺、今絶対顔真っ赤!
何してんのアーク?!
プチパニック状態である。
後ろで見えないのを良いことにニヤリと笑っているアーク。
バックハグという体勢である。
マーカスは呆れ、薬師ギルド長達はほのぼのとみていた。
「じゃあ、説明よろしく」
えええ?!
これで聞くのぉ---?!
ノアの心の叫びは恐らく全員気付いているが、完全に無視されたようである。
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