迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
上 下
36 / 538

32 値段が決まった模様

しおりを挟む

翌日、快復したノアはアークと共に薬師ギルドに向かった。

夕べは大変だった。

案の定、お腹を空かせたノアがめちゃくちゃ不機嫌で目を覚まし、満足するまでご飯を食べさせたものの、熱をぶり返してベッドに逆戻り。

結局、自家製錬金術ポーションを再び飲む羽目に・・・。
因みにアークの口移しではないし、すでに意識のないときに一本飲まされている事は内緒だ。

(最初の時のように)速攻で効き目が現れて、熱も諸々の体の違和感もすっかり元通りになって漸く機嫌が直ったノア。

アークはすっかりしょげていた。
それに苦笑しながらアークに声をかける。

「別に怒ってないよ。ちょっと疲れただけ。後はお腹が空いてると嫌なこととか考えちゃうから、それでイライラ・・・って。俺の方こそ、ゴメンね?」

アークがぱああっと顔を明るくしてギュッと抱きしめてきた。
苦しいけど嬉しいって気持ちにまた笑った。

そのまま二人で寝落ちして、今に至る。


「おはよう御座います。お元気になられたようで良かったですな」
「昨日は大変でしたね。体調はもうよろしいのですか?」

薬師ギルドの長と副長だそうだ。
昨日は気絶してて全く分からなかったからね!

「・・・・・・大丈夫です」

ごめんなさい。やっぱり人見知り発動です。
アークに任せます。
そして冒険者ギルマス、今日も朝からスミマセン。

「という訳でポーションの査定は終わったようだな?」
「ええ! 素晴らしい結果でした!!」

・・・・・・そして俺の人見知りに気を悪くもせずに普通に流してくれる。
アークが何か言ったのかな?
ちらりと見るとにっと笑った。

「昨日、ノアの人見知りの事は話してある。それにここのヤツらはお前を排除しない。寧ろ大歓迎だった」
「・・・・・・そっか」

やっぱりあの街がおかしかったんだな。
---本当にアークに逢えて良かった。

何も言ってないのにギュッと抱きしめてきたアークに愛おしさが溢れる。

ありがとう。

心の中で呟いた。


「で、どういう具合なんだ?」
「こちらにそれぞれの価格設定とポーションの効果を記載してあります。そちらを見ながら詳しく説明してもよろしいでしょうか?」
「ノアもそれで良いか?」
「ん」

アークに聞かれて、自分もオッケーを出す。
それにしても他人に自分のポーションの評価をされるのって恥ずかしい。

居心地悪くもじもじしているとアークが自分の足の間にノアを移動して後ろからギュッと抱きしめてきた!

ひええっ---!
俺、今絶対顔真っ赤!
何してんのアーク?!

プチパニック状態である。

後ろで見えないのを良いことにニヤリと笑っているアーク。

バックハグという体勢である。

マーカスは呆れ、薬師ギルド長達はほのぼのとみていた。



「じゃあ、説明よろしく」

えええ?!
これで聞くのぉ---?!


ノアの心の叫びは恐らく全員気付いているが、完全に無視スルーされたようである。









しおりを挟む
感想 1,191

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

処理中です...