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39 ノアとアークを見守り隊(sideエイダン冒険者ギルド)
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ここエイダンの街の冒険者ギルドでは、ギルマスとサブギルマス以下ギルド職員達が集まり、秘かに密談をしていた。
前回、ノア達の騒ぎの時には用事で外出中だったサブギルマスのリクレが話を聞き、妙に乗り気だったのだ。
「あぁ、その場にいなかったことが悔やまれる!」
そういって本当に悔しそうな声音で天を仰いでいた。
「・・・お前、可愛いモノが大好きだもんな」
ギルマスのマーカスが呆れたように呟く。
このサブギルマスであるリクレは公言するほど大の可愛い物好きである。
図体がデカいからか、相反する小さい物や可愛い物が大好きで、可愛いと聞けば何を置いても駆けつけると豪語するほど。
そんなリクレが見逃した場面を、たまたま居合わせた職員達が思い出したように言うものだからリクレの悔しがりようが半端ない。
「あんなに美人で無表情な人がマーカスさんの大声で震えてしまって・・・」
「アークさんの背中に隠れたノアさん、可愛いかった」
「---ああクソ! 俺も見たかった!」
ノアの見た目は可愛いよりも綺麗に分類されるが、行動や仕草がなんか可愛いんだよなあ。
「それで提案なんだが、この際『ノアとアークを見守り隊』を結成しないか?」
リクレが言ってきたが、言われなくても結成するつもりだったぜ。
「リクレの提案に俺は賛成だ。実は隣街でノアが酷い目に合っていてな、でも本人はそうと気付いてないんだよ。箱入りなんだ。で、番いのアークも心配していたから、いっそのこと冒険者ギルドの情報網を使って定期的に連絡を取り合おうと思っていたんだ」
それを聞いて他の職員が挙手をする。
「あの、その件で、実は隣街の冒険者ギルドからすでに連絡が・・・・・・」
「何?!」
「どうして言わなかった?!」
皆に詰め寄られ、ビビる職員。
「す、すみません! あの、アークさん達がここに着く前だったので、後で確認しようと・・・」
「---まあ良い。で?」
ギルマスとサブギルマスが話を促す。
「はい、あの街のギルド職員から、二人がというかノアさんが心配だからエイダンに来たらこっそりと様子を教えて欲しいと・・・」
ふむ、とギルマスが頷く。
「向こうのギルドでも好かれていたようだな」
ノアを思い浮かべて、アレなら確かに好かれるなと思う。
大人しくて思いやりがあって純粋で。
・・・向こうでもぴるぴるしてたんかな?
・・・いや、ノアの事だ。
頑張って独りで強がっていそうだ。
アークがいるからこそのぴるぴるだな。
と、ギルマスが考えているうちに話は進んでいた。
「そうです。それで向こうも『見守り隊』を結成したかったらしくて。でも向こうは何やら領主と薬師ギルドがきな臭いらしくて大っぴらに活動出来ないそうなんです」
「---ああ、癒着しているらしいな。アークがチラリと漏らしていた。まあ近いうちに国から何かしらの動きがあるだろうが・・・確かに向こうじゃ難しいな」
「じゃあエイダンで結成しちゃっても問題ないな! ね、ギルマス? 良いですよね?!」
黙って話を聞いていたリクレがここぞとばかりに推してくる。
いや、だから最初からそのつもりだったって。
「じゃあリクレ、お前主導で見守り隊を結成、運営をする事。良いな?」
「---はい、了解です! ありがとうございます、ギルマス!!」
「あと、ちゃんと隊員は厳選しろよ。それと誓約魔法で見守り隊隊員以外は話せないようにしろ。それだけノアに関することは重要だ。・・・下手をすると国どころか世界が滅びる」
「---そこまで、ですか?」
リクレが顔を青ざめさせた。
「ノア自体も(天然で)かなりヤバいと思うが、番いのアークが(ガチ)ヤバい。Sランク冒険者なのは知っているだろうが、竜人だ。本人は隠していないがあまり知られていない。純血の竜人だ。番い至上主義のな」
「「・・・・・・」」
そう。番いの為なら世界を敵にまわすだろう。
まあ、ノアがああいうヤツで良かったが。
「そういうわけで、しっかり管理頼むぞ」
「・・・り、了解です。ガンバリマス・・・」
最後に爆弾を投下して密談は終わった。
それから数日後、密かに『ノアとアークを見守り隊』が発足された。
もちろんアークには許可を得ている。
「願ってもねえ。助かるよ。ただノアは人見知りで恥ずかしいだろうから内緒で頼むな」
そういって隊員番号1の印をタグの補足の欄に入れて貰っていた。
ギルド職員も職員用のタグの補足欄にそれぞれ番号が刻まれ、コレがないと反応しない通信魔導具を用意して貰って秘密厳守で隊の活動が始まった。
因みに番号2は運営者の特権でリクレが、3はギルマスのマーカス。以下は職員達がくじ引きで決めた。
後は随時受け付けた順番になる。
そして特殊な通信魔導具は、何も知らないノアが『それならコレを従来の通信魔導具に設置すれば良いよ』と錬金術で簡単に大量に錬成してくれた手のひらサイズの魔導具で解決済み。
冒険者ギルド同士で配送して設置するとのことで、足りなくなったら立ち寄ったギルドで依頼されるように手配して貰っていた。
もちろんキチンと報酬は支払って貰って、かなりの額のお金がタグに振り込まれてあわあわとしていた。
「・・・ま、先立つものがないと困るから、いっか」
そろそろどこかの迷宮に潜って素材集めしたいね。
---と軽く言っているが、普通はそんな軽い感じで行くところじゃないよ。
隊員達は改めてノアの規格外、常識知らずを再認識したのだった・・・。
他の隊員にも周知徹底させとこう・・・・・・。
前回、ノア達の騒ぎの時には用事で外出中だったサブギルマスのリクレが話を聞き、妙に乗り気だったのだ。
「あぁ、その場にいなかったことが悔やまれる!」
そういって本当に悔しそうな声音で天を仰いでいた。
「・・・お前、可愛いモノが大好きだもんな」
ギルマスのマーカスが呆れたように呟く。
このサブギルマスであるリクレは公言するほど大の可愛い物好きである。
図体がデカいからか、相反する小さい物や可愛い物が大好きで、可愛いと聞けば何を置いても駆けつけると豪語するほど。
そんなリクレが見逃した場面を、たまたま居合わせた職員達が思い出したように言うものだからリクレの悔しがりようが半端ない。
「あんなに美人で無表情な人がマーカスさんの大声で震えてしまって・・・」
「アークさんの背中に隠れたノアさん、可愛いかった」
「---ああクソ! 俺も見たかった!」
ノアの見た目は可愛いよりも綺麗に分類されるが、行動や仕草がなんか可愛いんだよなあ。
「それで提案なんだが、この際『ノアとアークを見守り隊』を結成しないか?」
リクレが言ってきたが、言われなくても結成するつもりだったぜ。
「リクレの提案に俺は賛成だ。実は隣街でノアが酷い目に合っていてな、でも本人はそうと気付いてないんだよ。箱入りなんだ。で、番いのアークも心配していたから、いっそのこと冒険者ギルドの情報網を使って定期的に連絡を取り合おうと思っていたんだ」
それを聞いて他の職員が挙手をする。
「あの、その件で、実は隣街の冒険者ギルドからすでに連絡が・・・・・・」
「何?!」
「どうして言わなかった?!」
皆に詰め寄られ、ビビる職員。
「す、すみません! あの、アークさん達がここに着く前だったので、後で確認しようと・・・」
「---まあ良い。で?」
ギルマスとサブギルマスが話を促す。
「はい、あの街のギルド職員から、二人がというかノアさんが心配だからエイダンに来たらこっそりと様子を教えて欲しいと・・・」
ふむ、とギルマスが頷く。
「向こうのギルドでも好かれていたようだな」
ノアを思い浮かべて、アレなら確かに好かれるなと思う。
大人しくて思いやりがあって純粋で。
・・・向こうでもぴるぴるしてたんかな?
・・・いや、ノアの事だ。
頑張って独りで強がっていそうだ。
アークがいるからこそのぴるぴるだな。
と、ギルマスが考えているうちに話は進んでいた。
「そうです。それで向こうも『見守り隊』を結成したかったらしくて。でも向こうは何やら領主と薬師ギルドがきな臭いらしくて大っぴらに活動出来ないそうなんです」
「---ああ、癒着しているらしいな。アークがチラリと漏らしていた。まあ近いうちに国から何かしらの動きがあるだろうが・・・確かに向こうじゃ難しいな」
「じゃあエイダンで結成しちゃっても問題ないな! ね、ギルマス? 良いですよね?!」
黙って話を聞いていたリクレがここぞとばかりに推してくる。
いや、だから最初からそのつもりだったって。
「じゃあリクレ、お前主導で見守り隊を結成、運営をする事。良いな?」
「---はい、了解です! ありがとうございます、ギルマス!!」
「あと、ちゃんと隊員は厳選しろよ。それと誓約魔法で見守り隊隊員以外は話せないようにしろ。それだけノアに関することは重要だ。・・・下手をすると国どころか世界が滅びる」
「---そこまで、ですか?」
リクレが顔を青ざめさせた。
「ノア自体も(天然で)かなりヤバいと思うが、番いのアークが(ガチ)ヤバい。Sランク冒険者なのは知っているだろうが、竜人だ。本人は隠していないがあまり知られていない。純血の竜人だ。番い至上主義のな」
「「・・・・・・」」
そう。番いの為なら世界を敵にまわすだろう。
まあ、ノアがああいうヤツで良かったが。
「そういうわけで、しっかり管理頼むぞ」
「・・・り、了解です。ガンバリマス・・・」
最後に爆弾を投下して密談は終わった。
それから数日後、密かに『ノアとアークを見守り隊』が発足された。
もちろんアークには許可を得ている。
「願ってもねえ。助かるよ。ただノアは人見知りで恥ずかしいだろうから内緒で頼むな」
そういって隊員番号1の印をタグの補足の欄に入れて貰っていた。
ギルド職員も職員用のタグの補足欄にそれぞれ番号が刻まれ、コレがないと反応しない通信魔導具を用意して貰って秘密厳守で隊の活動が始まった。
因みに番号2は運営者の特権でリクレが、3はギルマスのマーカス。以下は職員達がくじ引きで決めた。
後は随時受け付けた順番になる。
そして特殊な通信魔導具は、何も知らないノアが『それならコレを従来の通信魔導具に設置すれば良いよ』と錬金術で簡単に大量に錬成してくれた手のひらサイズの魔導具で解決済み。
冒険者ギルド同士で配送して設置するとのことで、足りなくなったら立ち寄ったギルドで依頼されるように手配して貰っていた。
もちろんキチンと報酬は支払って貰って、かなりの額のお金がタグに振り込まれてあわあわとしていた。
「・・・ま、先立つものがないと困るから、いっか」
そろそろどこかの迷宮に潜って素材集めしたいね。
---と軽く言っているが、普通はそんな軽い感じで行くところじゃないよ。
隊員達は改めてノアの規格外、常識知らずを再認識したのだった・・・。
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