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40 婚姻の腕輪(前の街を出てからのノア)
しおりを挟むノアはアークの番いになってからずっと考えていた。
『お互いの瞳の色の魔石を嵌めた婚姻の腕輪を作りたい!』
お揃いで、ありったけの付与をしてアークを護るんだ。
冒険者ランクがSのアークにとってはゴミみたいなものかもしれないけど、こんな俺を番いにしてくれたアークの為に、今の俺に出来る最高のモノを作って贈りたい。
その為にも色々考えて準備したいんだど・・・。
隣街までの道中、野営でテントを出すといつも夕御飯を食べてすぐにアークに抱かれていて、考える余裕も時間も無い。
流されてるな、と思うけど、求められて嬉しいことに変わりはなくていつも気絶するまで抱かれてしまう。
「---考え事か? 余裕だな、ノア。じゃあもっと激しくても大丈夫だな」
そういってペロッと唇を舐める仕草に胸が高なって、結局、我を忘れて自分もアークを求めてしまい、今に至る。
---はあ、夕べも出来なかった。
ちょっと自己嫌悪に陥ってしまって溜息を吐いた所をアークに見咎められた。
「どうした? 何かあったか? 昨日やり過ぎた? 疲れてるよな、すまない」
「ちちち違うよ。慣れない旅路でちょっと考えてただけ。普通はこんな野営じゃないのかなとか、俺、そういうの全く知らないから」
アークがシュンとして言うので、慌てて誤魔化した。
でもこれは本当。
アークと旅に出て思うこと。
俺ってやっぱり知らないことが多すぎる。
何が知らないのかを知らないので、俺の発言にアークもよく驚いた顔をするから。
「まあ、そう言うなら・・・。でも分からないことは俺に聞けば応えてやるぞ。ノアに頼られてこんなに嬉しいことはないからな」
そういってホッとするアーク。
色々ゴメンね。
でもありがとう。
「今日の夕方にはエイダンの街に着くから、良い宿を探して暫く泊まろう。急ぐ旅ではないしな。ノアも欲しいものとかあったら購入して、少しのんびりしよう」
「うん、そうだね。どんな街かなあ。アークは来たことないの?」
「ああ、此処等に来たのは初めてだ。大体来ていればノアのことにすぐに気付いてやれただろう。悪かったな」
「何言ってるの。きっと今だから出逢えたんだよ。そもそもアークは何にも悪くないでしょ」
「---そうだな。ありがとう、ノア」
「ふふ、なんに対してのありがとう? 俺こそありがとうだよ」
そんな話をしながらエイダンの街に着き、門でちょっと恥ずかしい思いもしたが、概ね順調に街へと入った。
---ここに滞在中に腕輪作れると良いなあ。
ノアはぼんやりと考えていた。
割と直ぐに作れることになるとは夢にも思わずに・・・・・・。
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