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28 チートなポーション 2
しおりを挟むちょっとヤバいな。
その読み通り、抱きしめているノアの体温が徐々に上がっている。
気持ち呼吸が浅い。
---あの街ではずっと気を張っていたのだろう。
お爺さんが死んで一人になってからは特に・・・。
それが初めての旅で興奮していて体調に気付かずに、ここに来て弛んで表面に出たって感じかな。
俺がノアの気の置けない存在になったことは嬉しいが、こりゃあ早いとこ終わらせて休ませねえと・・・。
「興奮しているところ悪いが、ノアの体調がちょっと思わしくないんで、早いとこ頼む」
「え、大丈夫か?! 倒れたのって、やっぱり具合が悪かったのか?」
マーカスが焦って聞いてきた。
「あぁ、やはり具合が良くなかったらしい。熱が上がってきた。早く寝かせてやりてえ」
気遣わしげにノアを見やるアークに薬師ギルド長達が提案してきた。
「それならば、サンプルとして各一瓶づつお預かりして値段を出しておきましょうか。おそらく今すぐには出せません」
「もちろん借用書を書かせて頂きます。誤魔化しは一切致しません!」
「---そうだな。それで頼む」
手早く書類を作製してくれたので、確認をしてからサインをしてマジックバッグにしまう。
「宿は何処です? 結果が出次第連絡を致しますが」
「木漏れ日亭だが、来なくていいぞ。ノアの体調が戻ったらまた来る。今日はゆっくりしてえ」
「分かりました。急を要するときには伺いますがよろしいですか?」
「あぁ、それでいい」
そういって冒険者ギルド長と薬師ギルド長に断って宿へと戻った。
宿へ戻ると、朝、声をかけてきた従業員が気が付いて寄って来た。
「おや、お早いお戻りで・・・どうしたんです?」
「あぁ、番いが熱を出しちまって。暫く部屋に籠もる。もしかしたら冒険者ギルドや薬師ギルドから連絡があるかもしれないから、その時は声をかけてくれるか?」
「そりゃあ大変だ。必要なモノがあったら遠慮なく言って下さい! 出来る限りご用意致します」
「助かる。じゃあ、その時は頼むな」
「はい、ゆっくりして下さい!」
そういって部屋へと戻って、自分達に浄化魔法をかけてからノアをベッドに横たえて装備品を外して洋服を寛げる。
---寝間着に着替えさせた方がいいな。
自分も装備を外してラフな格好になると、ノアの服を脱がせて自分のシャツを着せる。
・・・すでにノアにとっての寝間着はアークのシャツと化している。
ノアも疑問に思わず着ているからいいのだ。
盥に水を張り、魔法で氷を作って冷やしたタオルを額に乗せた。
熱が結構高くなってきて、寒いのかブルブル震えてきたのでアークも一緒に布団に入り、苦しくないように抱き込んでやった。
ホッとしたようで、体の強ばりが少し抜けたようだ。
「ん? そういえばノアの錬金術のポーションって、軽い病気にも効くってあったな」
試してみるか。
前にアークが購入したポーション(初級)をマジックバッグから取り出し、口移しで飲ませる。
頭を抱え上げてノアの口腔に咽せないように慎重に注ぐ。
コクンコクンと嚥下したのを確認して、熱い口腔内を一通り舌で嬲ってから口を離す。
「ごちそうさま」
アークがペロリと舌で唇を舐めた。
他所のポーションは苦みがあって不味いが、何故かノアのはスッキリした甘さで飲みやすかった。
使う機会が無かったから知らなかったわ。
確かにこの味であの性能なら人気が出るな。
アイツらが自分達の身の保身に走る気持ちも分かるが、しかしアレは無いよなぁ。
切磋琢磨して越えようぐらいの気概を見せて欲しかった。
もうどうでもいいが。
後は彼らがどうにかすんだろ。
・・・なんて考えているうちにノアの顔色が良くなってきた。
呼吸も落ち着いている。
---おいおい、マジか・・・。
ノアのポーション、ハンパねえな。
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