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17 ギルドでPT登録(sideアルカンシエル)
しおりを挟むめちゃくちゃ視線を浴びながら冒険者ギルドへと向かう。
もちろんアークにお姫様抱っこされたノアを見ているのだ。
どうかしたのかと心配する視線と嫉妬や妬み、中には憎しみのような視線もある。
それらを淡々と受け流して、アークはそれらの視線をさり気なく辿る。
---色々とイヤな感じだな。
これは早々に住処を変えた方が良さそうだ。
ノアといると、彼に対しての街全体の感情が良くない事が分かる。
純粋に心配する者は少数で、大半が悪感情。
そもそも冒険者だって大半が余所者だろうに、冒険者に向けるのとは違う感情だ。
小さな村等では余所者に対して村八分なんて割とあるが、ここは結構大きな街で他にも余所者は住んでいるはず。なのにこれだけノアが排される謂れは無いだろう。
おおかた街の上層部の貴族が薬師ギルドと癒着でもしていて、住民も元からなのか長い物に巻かれる精神なのか、ノアの排除に積極的なんだろう。
だが、冒険者ギルドの職員はほとんどがノアに友好的だった。
ノアの人柄がそうさせているのか、薬師や冒険者としての実績か。
思えば俺が訪ねた日、職員達はノアに対して同情的だった。
冒険者ギルドは国から独立した組織とはいえ、一個人の冒険者に肩入れして拠点の街へ抗議するわけにもいかないだろう。
この辺が限界なんだろうな。
育ての親であるお爺さんも亡くなっているし、俺の番いになったんだから、ここにいる必要はない。
2,3日のうちに家を引き払って出て行こう。
ノアも俺に惚れてるから二つ返事で了承してくれるだろう。
自惚れでなく、ノアは俺を愛してくれてる。
今までお爺さん以外にあまり愛情を貰わなかったんだろう。
もの凄く愛情に飢えていたところに好一対の俺が現れて、初めは発情期のせいもあったろうが俺の愛を乾いた砂のように何処までも吸収していった。
竜人の独占欲と執拗な愛を際限なく受け止めてくれる。
だからこその好一対。
ここで出逢えたのは奇跡だ。
一生逢わずに死ぬことの方が多いのだから。
そんな事を考えていたらギルドに着いたようだ。
ノアはもう諦めたのか、いつの間にか俺の首に腕を回して顔を肩に埋めていた。
恥ずかしがるノアも可愛い。
だが逆にうなじの咬み痕が周りにはっきりと見えてるぞ。
俺は嬉しいが。
そのまま扉を潜って入れば、ざわざわっとしていた室内がシーンと静まり返った。
視線が集中するが、無視して受付に向かう。
受付の男がガタガタと立ち上がった。
他の職員も心配そうに様子を窺っている。
「お、お帰りなさいませ! あの、ノアさん、どうかしたんですか?! 今回は長かったので、何かトラブルでも・・・」
「・・・いえ、大丈夫です。心配かけてすみません。アーク、降ろしてくれる? 納品するから」
「あぁ。あと、俺とノアのPT登録してくれ」
「・・・は、ぇ、はい! 少々お待ち下さい」
PTの話で再びザワつくギルド。
ノアは気にしないのか、PT登録手続きの間に淡々と頼まれた素材をマジックバッグから取り出している。
無防備に晒された首の咬み痕にチュッと口づけると、ひゃっと小さく呻いて肩を震わせ、俺を睨んだ。
そんなに可愛く睨んでもちっとも怖くねえよ。
PT登録が終わり報酬を受け取って受付から去り際、さらっと言う。
「ノアは俺の番いだから」
---手ぇ出すなよ。
威圧も出しておく。
ノア以外は顔を青ざめさせた。
ノアは鈍感なのかそれとも大物なのかこういうのに疎いのか、目立った反応を示さないので俺も気にせず威圧を放てる。
今も『何で皆、顔色悪いんだろう』くらいにしか思ってないだろう。
無愛想だが気持ちが分かる。
キョトンとしているだろう。
「ふふっ」
思わず笑みが零れる。
あぁ、俺の番い最高だ・・・!
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