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公爵家騎士団(side騎士団長&副団長)後編
しおりを挟む遂にレイ様が---いや、本人のたっての希望でレイと呼び捨てであるが、成人の儀を迎えられた。
本日、神殿にて成人の儀を済ませれば、晴れて公爵家騎士団の一員だ。
この後、任命式も行われる。
その為、神殿には公爵様をはじめ前公爵夫妻に我ら騎士団長と副団長も参列していた。
---成人の儀を受けるのがレイだけって・・・。
『絶対仕組んでるよな、公爵家!!』
もちろん顔には出さないぜ。
成人の儀が恙無く終わり、この後の任命式を・・・と思ったところで、待ての出来ない駄犬様が暴走致しました。
前公爵夫妻が冷静なのを見るとこれは予想の範疇らしいですが・・・・・・。
「(抱き潰して)壊さないでくださいよ」
思わず言ったのは仕方ないと思うんだ。
---レイ、骨は拾ってやる。
副団長と二人、心の中で誓った。
「それで、任命式はどうするので?」
一応仕来りなんですがね・・・。
「書類だけで良いわよ。どうせ最低でもひと月は戻らないと思うから」
前公爵夫人がカラカラと笑っているが、ええ?
「---戻らないって、どういう・・・?」
気になった副団長が思わずと言う感じで呟いたら、律儀に前公爵様が応えて下さった。
「---レイが孕むまでは別宅から出られないそうだ・・・・・・」
「---はい?」
「そういう魔法陣を敷いているそうだ。・・・・・・彼奴の執着が父としてはちょっと恐ろしい・・・」
「「・・・・・・」」
「ほっほっほ! 何事も無関心なあの子が初めて執着したのだもの、全力で囲わせて貰ったわ! ああ、やっと孫をこの手に抱けるのね」
---レイ、骨は拾ってやる。
だから頑張れ。
結局、書類だけの任命式を終えて団員に事の顛末を説明している間にもおそらく公爵様に、あ---!な事や、あ”---!な事をされているだろうレイを思って神に祈った。
---無事、子供が出来ますように!
祈った甲斐があったのか、一月後、少々窶れた感じのレイが公爵様と本邸に戻られた。
「無事に御懐妊されました!」
侍医の診察を受けて正式に発表されたときは皆嬉し涙を流した。
「---こういう恩返しのはずじゃなかったんだけどなあ・・・・・・」
・・・とぼやいてるレイに『これぞまさしく恩返しですってば!』と一同、思ったのだった。
どうか元気な赤ちゃんを産んで下さい!
---所で、妊娠中や出産の知識は誰が手ほどきをするのです?
あ、前公爵夫人ですか、そうですね。
経験者ですものね!
閨の手ほどきは公爵様がバッチリですもんね!
「---渡り人で現公爵夫人で妊夫で公爵家騎士団員の『剣聖・覇王』って・・・・・・肩書き凄すぎだよなあ・・・・・・」
「・・・・・・盛り盛り、良いんじゃないか? 誰も手出し出来ないだろう」
「・・・・・・それもそうか」
---結果良ければ全てヨシ!
皆、幸せそうだからこれでいいのだ。
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