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第1話 入学!!
しおりを挟む俺の住むこの街、神楽町は人口の少ない小さな町。田舎だけど、四季折々景色もよく、空気も澄んでいてとても過ごしやすい町だ。俺がここに引っ越してきてからもう5年になる。今は訳あって親戚の叔母の家で叔母と俺の2人で暮らしている。
「かずき君!もう7時だよ。そろそろ起きて支度しないと。今日は高校の入学式でしょ。」
「う、うん。わかったよ恵美叔母さん」俺は眠い目を擦りながらグッと背伸びをし、カーテンを開け呟いた。
「今日はいい天気だな~、こんな日は学校なんて行かずにのんびり日向ぼっこでもしてたい気分だよ」
「何寝ぼけたこと言ってんのよ。そんなことより早く支度して朝ご飯食べなさい、
」このとても五十路には見えない顔つきの女性が俺、市原一輝の親戚の叔母さん、内田恵美叔母さんである。俺が困った時恵美叔母さんはいつも助けてくれて、支えてくれているお母さん的存在だ。そして今日は高校の入学式。辛かった中学受験も無事に終えて、今日から晴れて高校生!!
「あら、制服似合うわね~。もうかずき君も高校生か、どんどん大人になってくね」
「なに、まだまだ俺の人生はこれからだよ。」
「でもね、かずきくん高校生はね一生に1度しかないのよ。人生の中でも1番楽しい高校生活。悔いのないようにたーんと満喫するのよ!」
「うん!ありがとう恵美叔母さん!」
「あ、そうそうしっかりと勉強もしなきゃダメだからね!」
「ちぇ、分かってるよもう。」こんな他愛もない会話をし、俺は家を後にした。
通学中
「今日から高校か~。緊張するなぁ。可愛い子とかいるのかな?なんつってぐふふ」
俺は今から始まる高校生活に夢を広げていた。その時
「おっはよー!かーくん!今日から高校生だね!楽しみだね!」といきなり後ろから走って俺を叩いたのは、中学の時3年間同じクラスで唯一俺と同じ高校に通った女の子の優奈だ。
「ったく叩く癖やめろよな、痛いんだけど普通に」
「ごっめーん!叩いて欲しそうな顔してたから!」
「どんな顔だそれは」俺は呆れながらそう彼女に言った。
優奈は中学の時から頭脳、容姿共に素晴らしく、学校のアイドル的な存在だった。だからこそ俺は不思議で仕方がなかった。俺が入学する高校は、お世辞にも偏差値は高いとは言えない。神楽町には2つ高校があって、基本的に俺のいた中学はもうひとつの向陽学院高校略して向学に通うのがセオリーなのだ。俺は頭もよくないし叔母の家から近い神楽高校に通っている。
「なぁ、優奈」
「なーに?かーくん?」
「なんで優奈は、向学行かなかったんだ?偏差値的にも向学の方が優奈は合っているだろ?」
「んー。それはね……内緒!!」そういい彼女は走り去ってしまった。その時の優奈は見間違いかもしれないが顔が赤くなっていたような気がした。
「ったくなんで走って行っちまうかね。ん?」俺はふと時計を見た。
「な、なに!8時20分!?やばい入学初日から遅刻は嫌だぁぁぁ!」畜生、優奈め!自分だけ走って行きやがってあとで会ったら覚えておけよ!そう思いながら、俺は学校まで走るのだった。
・神楽高校
「はぁはぁはぁ、何とか間に合った。」今から入学式だと言うのに、場違いな程に汗をかいている俺であった。
「えっと、俺のクラスはっと、1年C組か。」俺は自分のクラスを確認し教室に向かった。扉を開けると知らない顔ばかり。優奈も別クラスなのか。ってことは俺友達居ないじゃん。俺は友達作りがあまり得意ではない。こう見えて結構シャイボーイなのである。
キーンコーンカーンコーン。学校のチャイムが校内に鳴り響く
「さぁお前ら席につけよ。今日からこのクラスの担任になった、山本龍だ。まぁ山本先生とでも呼んでくれ。歳は今年で30、ちなみに独身だ。」あの人が俺の担任の先生か。しっかりしてそうな先生だな。
「あの、私朝倉未紀って言います。あなたは?」声の方を振り向くとそこには綺麗な黒髪で透き通るような瞳にお人形のような見た目の超絶美少女がいた。
「え、あ、俺はかずき、市原かずきって言うんだ。」うわ、動転してて俺キモすぎ。
「かずきくんね、1年間よろしくね、かずきくん!」そう言うと少し恥ずかしそうに彼女は下を向いた。
こんな美少女が隣の席なんて、最高だな全く!1年間楽しみだぁ!
俺は期待と夢を膨らませ、そう心に噛み締めるのだった…
第1話 入学!! ~完~
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